071「痩」 秋野原 痩せた紺菊 手折る君 深き空ごと 拐っていくね 072「瀬戸」 瀬戸際を はらりと抜けて 何事も 無いよな笑みの 夕陽の赤く 073「マスク」 物言わぬ ツタンカーメン うら若き マスクの君の 恋を訊かせて 074「肩」 背を向けた 肩越し青き 下弦の月 君に絡まり 触れもさせず に 075「おまけ」 ポケットに 飛び込んできた 冷たい手 おまけのkissは 暖かいでしょ?
066「角」 赤き実の 曲がり角より 靡いてる 巻き毛の感じ 見つけたよ君 067「フルート」 牧神の 午後のmelody 奏でてる 君のフルート 息遣い見てる 068「秋刀魚」 メス捌き 秋刀魚もいいね エスカベッシュ 赤胡椒挽き 手伝い気分 069「隅」 焼き蟹の 甲羅の隅を つつきあう 日本海辺り 荒波の窓 070「CD」 助手席の 君の忘れた ipod U.K.CD 1000曲越えの
061「ピンク」 コスモスの ピンクの海へ diveして お喋りな口 重ねてみたり 062「坂」 まだ青き もみじの坂を 迷うまま 青蓮門院 光の招きの 063「ゆらり」 見えぬひと そして僕との ゆらりるら ゆきつもどりつ 君さ迷いて 064「宮」 青白き 月の宮より 滑り来よ 銀のすすきに 金のすすきで 065「選挙」 期日前 選挙の後の ただふたり 肩車越し 星は降る降る
056「アドレス」 微笑みと 拗ねた横顔 アドレスも NEVERMOREだと 鴉の鳴ける 057「縁」 これっきり 縁がないのね さようなら 毒づく口が 不意に近づく 058「魔法」 逢いたくて 魔法の言葉 口にする 走る雲間の 朝虹のよな 059「済」 送付済み メール見返し 遠き部屋 鳩時計のして 二つポッポと 060「引退」 恋ふ心 引退の道 捗ゆかん 魂となり あくがれ出ては
051「言い訳」 押されてた 木肌が少し 痛いだけ 気持ち憂いた 瞳の言い訳 052「縄」 縄張りの 範疇にあり 君という 全てのものに マーキングしたき 053「妊娠」 子を望み 妊娠できる 幸せを 少し遠くで 見てる君とは 054「首」 夕顔が 首肯(うなず)きかける 夜明け前 星も眠りて 恋も眠らす 055「式」 秋夜長 式子の君の ため息が 耳もと掠む 窓の月影