096「マイナス」 キシキシと マイナス5度の ゲレンデを 眩き朝陽 君と歩けば 097「断」 まだ君は 横断歩道の 白だけを 歩いてるんだね 手を繋いでも 098「電気」 電気消し ろうそくの灯に 息かける 甘い恋闇 あえかな君と 099「戻」 これ以上 後戻りなど させぬよう 君のことだけ 見つめていよう 100「好」 雪が降る 君住む街の 朝まだき 好きのひと言 手のひらに受く
091「冬」 終焉を 向かえし錦 冬ざれた 陽射しが包む 楓のひと葉 092「夕焼け」 切な色 濃く染め上げて 夕焼けの 君待つ頬に ひとひらの雪 093「鼻」 戯れに 鼻先重ね クシュクシュと 間近な瞳 指示待ちの僕 094「彼方」 美しく 愚かしいこと むさぼりつ 此方彼方の 恋身動(みじろ)ぎて 095「卓」 音も無く 落ち葉は積もり 卓上の 迷いひと葉の 光孕みて
086「符」 オリオンに 昨日の恋を 添付して いつしかとなく 符合点とす 087「気分」 群星を かき分けるよに 君探し タッチパネルで 取り込む気分 088「編」 風邪ひきの ベッドの乱れた 三つ編みの 熱き額に くちづけてみる 089「テスト」泣き真似は テストだったと 気づいたよ 秋の水面に 映る微笑み 090「長」 君去りて 長く切ない 夜明け前 濃霧のように 疲れ果てゆく
081「早」 沈黙の 微かな呼吸 近づけば 早まる鼓動 棘も溶けゆく 082「源」 冷ややかな 言葉に弾き 飛ばされる 震源の君 不敵な笑みの 083「憂鬱」愛しさと 憂鬱の極 すれすれの Edgeを切って 君を呑み込む 084「河」 タゴールの 詩を口ずさみ 朝靄の ガンジス河は 寄る辺となりぬ 085「クリスマス」クリスマスツリーの片付け みたいだね 君を送った 帰り道の僕
076「住」 重き空 異国に住みし 日々のこと ふいと連れ来て 秋雨の音 077「屑」 秋の夜半 星屑の中 流れゆく 光跡かた 手繰るひとのいて 078「アンコール」 神々の 宇宙が降りて 波羅密多の アンコールワット 青く光りて 079「恥」 黄緑の Christmasrose 恥じらいて 俯いたまま 好きと溢した 080「午後」 野苺の 群れなす麓 君連れば 尾行してくる 午後の陽だまり