林檎、蜜柑、柿の山盛り盛られた端っこで、居心地悪そうに柘榴ふたつ。昔祖母の家の側に柘榴の木があって、とってくれる実をうれしそうに一粒一粒、食べた。変わったものが好きだね――ある日、祖母が言った。おばあちゃん、好きじゃなかったの?それから後の記憶がない。別の日、柘榴がまたふたつ、空っぽになった棚にポツンと売れ残っていた。買って、食べた。