「この魚、知ってる?」
とおじさんがきいてくる。
「知らない」
「なんていうの?」
「これはアコウ」
「名前、知ってる! へえ・・・」
見たこともあるはず。
だけど気持ちは初めまして。
黒くて赤い斑点があって・・・
こんな顔だったんだ・・・
「これは知ってるよ。カツオでしょ?」
「そう、よく知ってる!」
夏から秋にかけての戻りガツオ。
すごく脂がのってる。
「お造り?それともタタキ?」
「これは知ってる?」
・・・サッパリわからない。
「これもカツオ」
「え?カツオって、
大きくて縦に筋が入ってて・・・」
「それは本ガツオ」
「これはスマガツオで・・・」
こんな大きくなるんだよと、
捌こうとするおじさんの両腕が全開。
カンパチ、
じゃない。
目の上に「八」のラインがない。
これはシマアジ。
大きい(40センチほど)、
けれどアジの仲間。
カツオもアジも、
一種類じゃない。
フツウのことなんだけど、
そうなんだよね。