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スタジオジブリ作品 レビュー

2014年04月09日 | 雑記・イベント
スタジオジブリの作品を一気に見たので、個人的な感想を独断と偏見でメモ。
2011年以降、金曜ロードショーを撮りためてきましたが、代表作では千と千尋以外は
ほぼ3年間で網羅してました。以下は、2014年冬以降に見た映画のみの評価と感想です。

・『天空の城ラピュタ』 宮崎駿 (1986年) ある日、少女が空から降ってきた・・・
未(2013年のバルス祭りで見たので今回は見るのをパス)

・『風の谷のナウシカ』 宮崎駿 (1984年) 少女の愛が奇跡を呼んだ ★★★★
科学文明を崩壊させた巨神兵による火の7日間の後、異形の生態系に覆われた終末世界を舞台に、
人と自然の歩むべき道を求める少女ナウシカの姿を描く。第三次世界大戦後を描いているように
感じた作品でもあり、約30年前から日本は工業化で空気が汚れ、自然が破壊され、先進国が改善に
動いた時でもあった。現在も後進国の工業化により空気が汚れ、この作品は現在でもけっして
過去のことではない。ジブリ初作品として、おちゃらけた部分もなく真剣に物語が続いていく。
描写も細かくて、この時期からジブリは完成されているように感じた。

・『となりのトトロ』 宮崎駿 (1988年)このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。 ★★★★★
火垂るの墓との同時上映の作品。1988年は、宮崎駿と高畑勲の代表作を生んだ凄い年となった。
姉妹のさつきとめいが、子供にしか見えない森の主のトトロと出会い不思議な体験をしていく物語。
何回も金曜ロードショーで放送されているから、日本人には何とも言えない感動や懐かしさを覚える。

・『火垂るの墓』 高畑勲 (1988年)4歳と14歳で、生きようと思った。 ★★★★★
第二次世界大戦の日本での14歳の兄と4歳の妹の物語。二人が死んでいるところからの回想で始まる。
とにかく表情の描写力が群を抜いているアニメ。兄として、妹としての気持ちも感情移入しやすい
ように作られ、戦争の悲惨さをよくこの約1時間30分に詰め込んだものだと感心した。
なぜ、火垂るの墓なのかも意味があった。大人になって初めて見たけど、これほどの作品だったとわ。

・『魔女の宅急便』 宮崎駿 (1989年)おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。 ★★★★
13歳になると1年間新しい街に行き暮らすことが必要な、魔女のキキと黒猫のジジの物語。
田舎から都会に行き、様々なギャップで落ち込むことがありながらも、周りに恵まれ成長を描いている。
凄い優しいお婆さんの孫が捻くれていてショックを受けるシーンや、途中魔法が使えなくなるが、
最期に少年を助けるシーンなど、ほろりとくる場面もあり、あったかい作品だった。

・『おもひでぽろぽろ』 高畑勲 (1991年)私はワタシと旅に出る ★★★
東京生まれ東京育ちの田舎に憧れる27歳の主人公が、小学5年の頃の自分とを行き来しながら物語は進む。
子供時代は1966年頃が舞台で、ひょっこりひょうたん島とか、父親が寡黙で威厳がある父親像など、
時代を感じさせる。当時の27歳といえば一般的に婚期が遅いが、特に焦っている訳でもなく、ただ普通に
仕事を来なしている。昨年から始めた山形での紅花摘みを手伝いのために有給をとるが、田舎暮らしに
憧れた小5の自分をよく思い出す。短い田舎暮らしの中で、精神的に成長したという感じ。
紅花の逸話とか、田舎についての考え方とか、なかなか勉強になる箇所はあったものの、主人公に
対しての感情の理解は不可能だった。私が男だからか、または世代が違い過ぎるからかも知れない。

・『紅の豚』 宮崎駿 (1992年) カッコイイとは、こういうことさ。★★★★
すべての言動がかっこよすぎる豚が主人公。元空軍の人間だが、なぜ豚になったかは公式には発表されていない。
雲の平原でポルコが生き残ってしまったことが何らかの影響があるのだろう。機体が赤いのもあるが、イタリアの
ファシズム政権=共産主義の時代から紅とつけられているようだ。
第一次世界大戦が終わり、世界恐慌の1929年以降のイタリアが舞台。空賊狩りの賞金稼ぎポルコが、空賊狩りの
連合から雇われたアメリカ人(イタリアの血も引く)のカーチスと闘い、一度撃破されてしまう。その後、
ピッコロ社に飛行機の制作を頼み、孫娘である設計者のフィオと会う。その後、再びカーチスと闘う。
流れはそんな感じだけど、ポルコの昔の話しやジーナとの色恋など、物語に引き込まれる内容だった。
音楽も時代によくあった歌詞で素晴らしかった。

・『海がきこえる』 望月智充 (1993年)高知・夏・17歳 ★★★★
TVアニメとして制作された作画監督が近藤勝也の作品。高知県が舞台で、吉祥寺や成城とかも出てくる。
東京から親が離婚して高知に引っ越してくるヒロインと、高知の親友二人が織りなす青春物語。
甘酸っぱい感じのする作画や音楽とかが絶妙であった。特に心情の観察力はジブリ作品随一でないかと思う。
大学編があると思っていたので少し消化不良。もう少し長編であれば、物凄くいい作品になると思う。

・『平成狸合戦ぽんぽこ』 高畑勲 (1994年) タヌキだってがんばってるんだよォ ★★★
高度経済成長期の多摩ニュータウンが舞台。山が削られ森林が激減し、狸たちは住処を追われた。
縄張りを争うことを余儀なくされたが、最終的に狸同士が手を組み人間と闘う道を選ぶ。長らく術を
封印していたので修行をしつつ、四国の狸に力を貸してもらう。たぬきの思惑道理に物事は進まないが、
できるだけ共生出来るように人間も考え出すという流れ。
ジブリ作品としては異色でナレーションでほとんど話が進む。ものすごく真剣な話の中におちゃらけた
部分も分断に使われてバランスが良い。ただ、少しだけ話が長いので人によっては最後の方が疲れてくる。
動物の視点から見た自然破壊の実情をよく表し、この映画により後の都市開発に与えた影響も大きい
のではないだろうか。

・『耳をすませば』 近藤喜文 (1995年)好きなひとが、できました ★★★★
自分が中学生だった頃の作品なので、多感な時期に同じ視線で見れていたことが、個人的にはこの作品が
ジブリの中で特別な存在になっている。また、カントリーロードを直訳した「国道」が、私が高校の頃に
友達と自転車で四国の国道を11日かけて一周したときのテーマソングだったので、とにかくこの作品を
見ると学生の頃を思い出す。図書カードなんかあったとか、GパンにTシャツを入れるファッションとか、
その他いろいろと当時の情景が思い出され、登場人物の中学生らしい人間模様を見ていて、あの頃に戻り
やり直したいと感じる作品だった。この作品の監督である故人の近藤喜文氏は、スタジオジブリの
後継者と目されていた人物で、生きていれば、今のジブリは大きく変わっていただろうと思う。
彼の最初で最後の監督長編作品として見たら感慨深いものがある。

・『もののけ姫』 宮崎駿 (1997年)生きろ。 ★★★★
この作品は私が学生の頃の作品で、友達とカラオケで歌えもしないのに主題歌の米良美一の裏声を
真似していた淡い思い出がある。とにもかくもこの作品は、後にも先にもジブリ作品で一番話題に
なったような記憶がある。千尋やポニョもすごい話題でしたが。。
人間の自然破壊により追われる動物など、現在の自然問題を風刺した作品だった。朝廷や武士などの
時代背景も然り、日本人が本来持っていたアミニズムの文化が失われていく時代を描いている。

・『ハウルの動く城』 宮崎駿 (2004年) ふたりが暮らした。 ★★★★
日本にしか、いや、スタジオジブリにしかできない世界一の細かい描写力で、映像に見とれてしまう。
後半は反戦や恋というのを急いでシナリオに入れてしまった感があるが、概ね良く出来た魔法
ファンタジーだった。ハウルと関わり、荒れ地の魔女に老婆に変えられてしまうソフィー。
父の帽子屋を長女なので引き継ぎ、世の中を知らずに過ごしていたが、老婆に変えられたことで
呪いを解くために旅に出る。そして、ハウルの城で掃除婦として働きながら、それぞれ魔法を
かけられた登場人物と過ごしながら、実は心の弱いハウルに恋をしていく。就寝時と感情が
動くときは若返るような描写で、日々変化のない暮らしをしていたソフィーが、真新しい世界を
見ているときの感情はよく見る側にも伝わった。何回か見ると味が出そうな作品。

・『ホーホケキョ となりの山田くん』 高畑勲 (1999年)家内安全は、世界の願い。


・『ギブリーズ』 百瀬義行 (2000年)


・『千と千尋の神隠し』 宮崎駿 (2001年) トンネルのむこうは、不思議の町でした。


・『猫の恩返し』 森田宏幸 (2002年) 猫になっても、いいんじゃないッ? ★★★
耳をすませばの主人公である月島雫が描いたとされるスピンオフ作品である。耳をすませばの
猫の置物のバロンが紳士に躍動する。猫の王子を助けたことで、猫の王様より王子の嫁にと猫の
世界に招待されるが、あまり気乗りはせず、とある猫の声が頭に響きバロンとその一味に助けを
求め猫の王国に向かうことになる。むりやり王国の一員にされそうになるが、バロンたちの助けや、
王子や子供の頃に出会った猫の恩返しで現実世界に帰ることができるようになる。この経験が
少し彼女を大人に変えた。悪役の王様猫もどことなく間抜けで、ほんわかとした猫のファンタジー
ワールドを描いていた。

・『ゲド戦記』 宮崎吾朗 (2006年) 見えぬものこそ。★
意味が分からない作品。宮崎駿の息子の作品として酷評であったが、まさにその通りだった。
手嶌葵の歌だけは良かったが、声優としては下手だった。衝動的に父親を殺し、真の名を
知ると人を操れるという、妖怪漫画の地獄先生ぬーベーにもあったような話しで、
ドラゴンが出てくる意味も分からないし、物語にいいところがなかった。

・『崖の上のポニョ』 宮崎駿 (2008年) 生まれてきてよかった。 ★★
さかなの子ポニョが5歳の男の子に助けられて恋をする。魔法を使って半魚人となり人間生活を送り、
最後は人間となるみたいな感じの物語。ポニョは元人間の父、海の女神を両親に持つ。物語が段階的に
描かれていないので内容が分かりにくい。ただ、この作品は物凄い奥が深いというのがネットとかで
云われており、それを読んでから再び見れば、大きく評価が変わるだろう。

・『借りぐらしのアリエッティ』 米林宏昌 (2010年)人間に見られてはいけない。 ★★★
人間の姿をした小人(妖精)と、心臓手術を控え母方の田舎の実家に1週間過ごした青年との物語。
青年が良かれとしてしたことが、結果的に借りぐらしを崩壊させてしまうことになるが、物語のなかで
絶滅危惧種の妖精が一生懸命生きる姿を見て、青年に生きる希望が湧いたという感じのお話し。
あまり心に響くようなシーンは無かったけど、小人が現実にいたら、もしくはいるかもしれないという
ファンタジー作品としては良かった。

・『コクリコ坂から』 宮崎吾朗 (2011年)上を向いて歩こう。 ★★★
東京オリンピックを控えた1963年の横浜が舞台。学生運動の勢いで離れ校舎のカルチェラタンの取り壊しを
反対する主人公と、朝鮮戦争で父を亡くし海に向かって毎朝、旗を上げるヒロインとの物語であるが、
戦後の爪痕が二人の関係に出生の秘密をもたらす。結果的にハッピーエンドで終わる。悪くはないが、
ドラマにありがちなシナリオを2時間に詰め込んだ感じだった。

・『風立ちぬ』 宮崎駿 (2013年)生きねば。 ★★★
2013年の9月に三鷹の森美術館から最も近い映画館・吉祥寺オデヲンに見に行きました。
日本がかつて経験した生きるのに辛い時代。関東大震災、未曾有の不況、戦争という時代に全力で生きた
人の姿を描いた作品。主人公は実在したゼロ戦を製作した堀越二郎。エヴァの庵野秀明監督が声優という
凄い起用が話題をよんだ。感想は、主人公が特に堀越二郎でなくてもよかったのでは思ってしまった。
2013年になっても、相変わらず宮崎駿監督の絵の細かさには恐れ入る。いまのスタジオジブリがあるのも、
日本アニメ史の伝説となるこの男がいたからだと改めて思った。

・『かぐや姫の物語』 高畑勲 (2013年)姫の犯した罪と罰。


・『思い出のマーニー』 米林宏昌 (2014年)この世には目に見えない 魔法の輪がある。


番外編『夢と狂気の王国』 2014年5月21日BD/DVD化予定
宮崎駿監督の「風立ちぬ」、高畑勲監督の「かぐや姫の物語」を同時に制作中だった
スタジオジブリに約1年にわたって密着した映画。

・「未来少年コナン」全26話 宮崎駿 (1978年)★★★★

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