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AIが変えるお金の未来

2021-11-07 14:30:00 | 読書




「AIが変えるお金の未来」
坂井隆之・宮川裕章+毎日新聞フィンテック取材班著、文春新書、2018年11月

AIというよりは、IT全般の発展が金融に与える影響をリサーチした本。
2018年発行。たった3年しか経っていませんが、最近では耳にしなくなった固有名詞もちらほらあり、
時の流れの速さを感じます。


第一章 AIに分析される私たち

スコアレンディングやロボアドバイザーについて。
3年前の期待ほどは伸びていないように感じます。

ロボアドに関しては、取材した会社の社員3名が、本書出版前に退職してしまったそうです。
顧客に長期の付き合いを求めるロボアドの特徴とどう折り合いをつけるのかが課題と述べています。


第二章 メガバンクを脅かすフィンテック

家計簿アプリ、PFM(パーソナル・フィナンシャル・マネジメント、個人金融管理)は、
現在、利用されている方も多いように感じます。
自分も一時期無料版を利用していましたが、1年以上遡っての管理は有料だったため、
いまはあまり使っていません。

アマゾン、グーグルなどプラットフォーマーの金融業への進出や、
銀行店舗の削減・多様化は、現在さらに進んでいる感覚です。


第三章 ITが変える保険業界

この章はもはやタイトルが「AI」ではなく「IT」になってしまっています。
歩数データやドライブデータが容易に収集・分析できるようになったことによる保険の差別化は、
一段と進んでいると思われます。

話は広がって、遺伝情報の取扱いについてもページを割いていますが、
こちらは自分のような部外者から見るとあまり進んでいないように感じます。


第四章 仮想通貨狂騒曲

2018年は「コインチェック」が良くも悪くも話題を独占。
最近またテレビCMを流しています。

「仮想通貨」だと通貨と認識してしまう人もいるため、
いまでは「暗号資産」と呼ばれることが多いです。
自分は投資対象としては考えていません。

2018年に毎日新聞記者たちが出版した書籍として触れないわけにはいかなかったのか、
ブロックチェーンの項目の前振りとして、こじつけ気味に森友問題が出てきます。


第五章 キャッシュレス覇権

スウェーデン、中国などキャッシュレス先進国の事例を取り上げています。

日本では外国人旅行者向けを想定してキャッシュレス決済を推進していましたが、
コロナの影響で外国人旅行者向けは成り立たず、
代わりに国内居住者向けコロナ対策として進展した感があります。

ただ、最近新500円硬貨が発行され、2024年に新紙幣が発行予定。
まだまだ紙幣・硬貨が一定の信用を得ています。

メガバンクによるMUFGコイン、Jコインは、現在あまり使われていないようです。

QRコード決済の項目がありますが、PayPayについては触れられていません。
ここ2年くらいで一気にシェアを拡大したのでしょう。


第六章 国家が発行するデジタル通貨

スウェーデン、インド、ウルグアイ、イギリス、エストニア、ベネズエラなど諸外国の事例。
日本も検討はしているようですが、デジタル通貨に国境はなく、
外交問題も絡んでくるため、簡単には始められないようです。


第七章 フィンテックの「影」

一言で言えば、利便性とセキュリティ、プライバシーのトレードオフ。
災害時やシステム障害時は手元に現金があった方が安心です。



関連エントリ:
人工知能と経済の未来

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