会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

10兆円ファンドで孫会長が抱えたサウジリスク(日経ビジネスより)

10兆円ファンドで孫会長が抱えたサウジリスク
サウジ記者殺害事件がソフトバンクグループの経営に暗雲
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トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館内で著名なジャーナリストが殺害された事件が、ソフトバンクグループの経営に与える影響を取り上げた記事。

「孫会長はムハンマド皇太子を口説き、17年にサウジの資金力を基盤とした10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を立ち上げた。1号ファンドはサウジ系の公共投資ファンド(PIF)から450億ドル(約5兆円)の出資を受け、破竹の勢いで米ウーバーテクノロジーズや米ウィーワークなどに巨額投資をしている。

孫会長はムハンマド皇太子と「運命共同体」と呼べるほど密接な関係を築いている。孫会長は諮問委員会の委員を務めるなどFIIについては主催者に近い。ムハンマド皇太子に近いPIF取締役のヤシル・アルルマヤン氏はソフトバンクグループの取締役を務めるなど深い関係を築いており、孫会長は難しい判断を迫られている。

既に孫会長は、SVFの「2号ファンド」の設立に言及している。呼応するようにムハンマド皇太子はSVFに追加出資することを表明している。だが、ムハンマド皇太子が殺害に関与したと認められれば、SVFの2号ファンドの設立が難しくなるとの見方がもっぱらだ。

SVFのCEOはソフトバンクグループ副社長のラジーブ・ミスラ氏で、拠点はロンドンにある。資金の出元はサウジであっても投資先は主に欧米企業であり、投資スキームは欧米で構築している。欧米のステークホルダーの監視下では、ムハンマド皇太子が新たな出資をすることも難しくなるかもしれない。」

ロンドンにあるソフトバンク・ビジョン・ファンドの事務所は、目立たないようにしているそうです。

「記者は10月19日、ロンドンのSVFオフィス周辺を訪れてみた。今夏までは米グーグルの地図アプリにオフィスの場所が表示されていたが、当日は表示されなくなっていた。オフィスの入り口にはSoftBankの文字が小さく記されているが、人の出入りが少なく、ひっそりとしていた。」

この事件に対し、欧米では厳しい見方をしているそうです。

「事件の真実と同時に大事なのは、サウジやムハンマド皇太子に対して世界の多くの人々がどのような印象を持つかだ。今回の事件は...欧米メディアが連日トップニュース扱いで報じている。」

「18日には国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチなどの非政府組織(NGO)が国連本部で記者会見を開催。殺害事件の真相を解明するために、独自調査に乗り出すよう国連に求めた。

こうした世論の声を政治やビジネスは敏感に感じ取っている。昨今の個人情報の流出やセクハラなどで社会的な批判にさらされているシリコンバレーの企業は素早く反応した。」

「サウジは部族社会で裏切り者には厳しい仕打ちを辞さない。孫会長はFIIに出席すればサウジとの関係は強固なものになる一方、人権を軽視するとの印象を世界に与えかねない。それは長期的に見れば、事業展開の大きな足かせになるはずだ。もちろん、FIIに出席するかどうかだけが問題なのではない。今後、孫会長がサウジやムハンマド皇太子とどのように付き合っていくかが焦点である。」

「既にSVFの事業利益は大きく、18年4~6月期決算では、ソフトバンクグループの営業利益の約3割に達した。

...サウジの記者殺害事件は、1つの巨大なファンドだけでなく、ソフトバンクの経営そのものにも大きく関わる問題となっている。」

要するに、国内外の数千万人もの一般携帯電話契約者からの料金収入で稼いでいる会社が、敵対するジャーナリストの殺害を命じるような独裁者と手を組んでいいのかという話でしょう。

サウジの「汚れた皇太子」を待ち受ける結末
国際社会はカショギ氏死亡の説明に懐疑的
(東洋経済)

「サウジアラビアの首都リヤドで23日から25日までの日程で開催されている「砂漠のダボス会議」と呼ばれる国際経済フォーラム「未来投資イニシアチブ」では、アメリカのムニューシン財務長官や国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事ら政府や国際機関の要人が欠席、ゴールドマン・サックス幹部や三菱UFJ銀行の三毛兼承頭取ら大手企業経営者にもボイコットの動きが広がった。

ある関係者は「コンプライアンス(法令遵守)が厳しく問われる時代、暗殺への関与が疑われる国家指導者が主催する会議に出席すれば、企業倫理が問われかねない」と、企業の不参加が相次いだ理由を解説する。

脱石油を目指すサウジアラビアは、2030年を目標とする包括的な経済改革「ビジョン2030」を進めているが、必要とされるのは莫大な金と海外の技術だ。だが、暗殺疑惑を持たれるようなサウジアラビアに積極的に投資しようという機運はしぼみかねない。」

「アメリカの政界では、ムハンマド皇太子という不安定で強権的な指導者に、世界最大級の産油国であるサウジの舵取りをこのまま任せていいのか、とムハンマド皇太子と強固な関係を築いてきたトランプ氏の判断にも批判の矛先が向かっている。ムハンマド皇太子を切り捨て、ほかの指導者を推すべきではないのかとの声も出ているのだ。

アメリカよりも人権意識の高いヨーロッパでも、ムハンマド皇太子に対する批判が強まっている。イギリス人ジャーナリストのデビッド・ハースト氏は論説記事で「カショギ氏の野蛮な殺人者によって生み出された危機を乗り切る唯一の方法は、サルマン国王が新たな王位継承者を探し出すことだ」と書き、国王がムハンマド皇太子を解任しない限り、事態の収束は困難との見方を示した。」

トルコ検察「入館後すぐ絞殺、切断」 サウジ記者殺害で(日経)

「サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏が殺害された事件で、トルコの検察当局は31日、カショギ氏は「イスタンブールのサウジ総領事館に入ってすぐに絞殺され、遺体は切断・遺棄された」と発表した。」
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