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【破綻の構図】ガイア ~ 金策に奔走した業界大手 ~(東京商工リサーチより)

【破綻の構図】ガイア ~ 金策に奔走した業界大手 ~

パチンコホール大手、ガイアの倒産についての解説記事。

2006年5月期には5,853億円もの売上を計上していたそうです。その後、売上は下降し、2010年5月期は4千億円を割り込んでしまいますが、黒字は維持していました。

その後、代表取締役の逮捕(覚せい剤使用)(2011年)や所得隠し報道(2012年)といった危険信号が出ていました。

粉飾決算疑惑もあったそうです。監査法人も登場しています。

「2016年5月期の売上高は2,991億5,900万円まで落ち込んだが、それでもガイアは最終黒字を維持していた。こうしたなか2018年7月、ガイアの粉飾決算を指摘する文書が取引金融機関などに流された。

ガイアは関係先へ遊技台を高額で売却することにより不適切な利益を得ているという趣旨の「循環取引」を糾弾する内容だ。これを受け、ガイアは会計監査人に文書の精査を要請。これに対して会計監査人(監査法人)は、「利益の水増しによる粉飾決算の事実はないと判断。過年度決算について訂正を行う必要はなく、監査の結論にも変更はない」と回答した。

この回答で表面上、騒動は落ち着きをみせた。ただ、文書を手にした関係者の一部は「これほど資料の揃った怪文書は過去に見たことがない」と漏らすなど、取引金融機関や取引先はガイアへの疑心暗鬼を強めた。TSRは監査法人がガイアの取締役会に提出した「怪文書」に対する意見書を入手したが、「当該結論はガイアの個別財務諸表における会計処理に対する意見であり、連結財務諸表を作成した場合、グループ会社の範囲等も検討したうえで会計処理を別途検討する必要がある」と記されていた。」

非上場なので、連結は作成しておらず、グループ会社(その範囲も明確ではないのかもしれない)における取引に関して、監査人が調べられることには限度があるのでしょう。ただし、理屈からすると、もし、グループ会社に対する出資や融資、債務保証などがあれば、個別財務諸表の監査であっても、その評価が必要になるので、完全に監査対象外とはいえません。そのほか、グループ会社との取引などの関連当事者取引についても、十分な手続きが必要でしょう。

その後、国会議員の汚職事件に関連して地検特捜部に捜索されたという報道があります(2019年)。

コロナ禍の影響も受け、「2020年6月末の決済資金が不足し、借入金とリースの返済をストップ」、金融機関にはリスケを要請します。今年3月には、金融機関に対して、メインバンクとフィナンシャルスポンサーからの資金調達や店舗売却などの「再生計画」を示して、いったんは落ち着いたそうです。

しかし、その後、代表取締役と親族が所有する不動産やグループ会社が保有する倉庫に新たに担保が設定されたりして、資金繰り難の徴候が見られたそうです。

2023年5月期決算は、最終利益が65億円の赤字、9月末の決済でとうとう不渡りを出してしまいます。

「ガイアは店舗売却の契約締結を急ぎ、それにより得た手付金などを基に10月の手形を決済していた。しかし、遊技台メーカーからの信用は低下し、最新台の取得が難しい状況に陥った。業界では自力再建は困難との見方が大勢となっていた。

10月31日の手形決済の前日の30日、ガイアはグループ6社とともに民事再生法の適用を申請した。手形の不渡り前からガイア側による資金繰りについての説明が乏しく、金融機関が不信感を強めていた矢先だった。」

「民事再生の申請で、ガイアグループの困窮の背景は透明性が担保された中で明らかになることになる。「怪文書」が指摘した決算処理も含めて、全容の解明が期待される。」

非上場とはいえ、会計監査人がいたとすれば、でたらめな決算ではなかったとは思いますが、連結決算が行われていないことによる限界もありそうです。

自社の調査報告書を自慢しています。

民事再生のパチンコ大手、(株)ガイアの信用調査報告書を読み解く(東京商工リサーチ)

「民事再生を申請する2年以上前の2021年9月に作成された信用調査報告書の「資金調達状況」には、「関連会社への多大な貸付金、赤字補填などにより、借入金は多大なものと思料」、「金融機関及びリース会社などにリスケ要請を行った模様」と記載され、資金繰りが平時の状況にはないことを伺わせている。また、「リスケ期限が2021年12月」と断定的な記載もある。リスケについて、当事者からの明言はないものの側面取材により得た情報から、「有事の資金繰り」を伺わせる書きぶりだ。」

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