会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

「中期運営方針」の公表(企業会計基準委員会)

「中期運営方針」の公表

企業会計基準委員会は、「中期運営方針」を2019年10月30日に公表しました。

「これまでの活動を振り返るとともに、今後 3 年間の日本基準の開発の基本的な方針及び国際的な会計基準の開発に関連する活動を行うにあたっての基本的な方針を示すもの」です。

基本的な方針は...

「2016 年の中期運営方針で記載した基本的な方針、すなわち、我が国の上場企業等で用いられる会計基準の質の向上を図るためには、日本基準を高品質で国際的に整合性のとれたものとして維持・向上を図るとともに、国際的な会計基準の質を高めることに貢献すべく意見発信を行っていく必要がある点については、継続して基本的な方針とする。」

日本基準の開発については...

開発に関する方針として、以下のような項目を挙げて説明しています。

高品質(「高品質な会計基準は、基本的には、それを用いて作成された財務情報が投資家の意思決定にとって有用であることを目的とする」「作成者にとって過度の負担とならないこと、それを用いて作成された財務情報が監査可能であること等、基準開発のプロセスに参画する関係者の合意が得られたものであることが必要」)

国際的に整合性のあるもの(「国際的に整合性のあるものとすることは、国際的な会計基準を自動的に日本基準に採り入れることを意味しない。」)

・我が国における会計基準に係る基本的な考え方(「企業の総合的な業績指標としての当期純利益の有用性を保つこと、すなわち、当期純利益を測定する上での収益及び費用の配分、事業活動の性質に応じた資産及び負債の評価を行うことなどがある。」

周辺諸制度との関係(「ディスクロージャー制度において開示される財務情報は、分配規制、法人税法、金融規制(例えば、自己資本比率規制、ソルベンシー・マージン規制)などの関連諸法規や規制においても副次的に利用されるため、会計基準を開発する上ではこれらも考慮の対象となる...」

連結財務諸表と単体財務諸表の関係(「原則として、開発された会計基準が連結財務諸表と単体財務諸表の両方に同様に適用されるものとして開発」「単体財務諸表においては、関連諸法規等の利害調整に関係することが連結財務諸表よりも多いと考えられるため、個々の会計基準の開発においては、これらを考慮の対象とし検討を行う。」)

具体的な課題のうち、「日本基準を国際的に整合性のあるものとするための取組み」としては、連結範囲、引当金、保険契約などについて、ふれています。どのテーマも、着手するかどうか決まっていないようです。(前回の注記運営方針でふれていた「収益認識」、「金融商品(分類及び測定、減損、一般ヘッジ)」、「公正価値測定に関するガイダンス及び開示」及び「リース」については、これまでに検討を行っている。)

「その他の日本基準の開発」については、今後も「基本的に基準諮問会議からの新規テーマの提言を尊重する」とのことです。

そのほか「開示(注記事項)に関する方針の整理」として、「単体財務諸表における開示」や 「重要性の考え方」について、「今後、検討すべき論点を整理した上で、当委員会で開示(注記事項)を定める際の指針となる文書を作成する」と述べています。
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