沖縄県の酒造会社が、高額な役員報酬を当局から指摘されたことに対して、裁判で争っているという記事。
「泡盛「残波(ざんぱ)」を全国的にヒットさせた酒造会社「比嘉酒造」(沖縄県読谷村)が、沖縄国税事務所から4年間で6億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。役員4人に支給した報酬計19億4千万円のうち6億円が「不相当に高額」と判断され、経費として認められなかった。同社は過少申告加算税を含む1億3千万円を追徴課税されたが、処分を不服として東京地裁で争っている。」
「弁護士は「社長らは業界トップといえる経営能力の持ち主なのに、近隣の経営者とだけ比較するのは違法な課税処分だ。法人税率より所得税率の方が高いので、租税回避にはあたらない。国がみだりに役員報酬を抑えれば、勤労意欲を阻害し、中小企業の活力をそぐ」と訴えている。」
今の制度は、法人から役員個人に所得を移して節税することを制限しているわけですが、最高税率でみた場合には、弁護士のいうとおり、個人の給与所得に課せられる税金の方が、法人の所得に課せられる税金(地方税含む)よりも、税率が高くなっています。また、給与所得控除も、高額報酬部分は頭打ちで増えないようになっています。したがって、税金という面からすると、役員報酬をうるさく制限するのは、あまり意味がないように思われます。(ただし、退職所得は優遇されているので何らかの制限は必要かもしれません。)
今後法人税率を大幅に引き下げる方向とのことなので、なおさらです。
もちろん、上場会社などでは、会社のガバナンスとして、役員報酬を監視し、制限することは意味のあることです。また、上場・非上場にかかわらず、業績不振の会社が、債権者を害するような過大な役員報酬を支払うのも、まずいでしょう。
役員報酬どう決める? 上場企業、赤字で1億円超16人(朝日)
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事