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改善報告書の徴求及び公表措置:東京産業(株)(東京証券取引所)

改善報告書の徴求及び公表措置:東京産業(株)

東京証券取引所は、東京産業株式会社(東証プライム)に対する改善報告書の徴求及び公表措置を発表しました(2024年5月17日)。

理由の詳細。

「東京産業株式会社(以下「同社」という。)は、2024年1月15日に同社における不適切な会計処理に関する外部調査委員会の中間調査報告書を、同年4月1日に最終調査報告書を、同年4月15日に過年度の決算内容の訂正を開示しました。

これらにより、同社では、太陽光発電案件に関連して生じた長期未収入金に対する貸倒引当金が適切に計上されていなかったこと及び太陽光発電工事請負案件において、工事原価総額及び工事進捗度を合理的に見積もることができない状況が生じた後も本来適用すべき原価回収基準を適用せず、いわゆる工事進行基準を継続適用していたこと等が明らかとなりました。

その結果、同社は、2022年3月期第1四半期から2024年3月期第3四半期までの決算短信等において、上場規則に違反して虚偽と認められる開示を行い、それに伴う決算内容の訂正により、2023年3月期において、営業利益及び経常利益が7割以上減少するとともに、親会社株主に帰属する当期純利益が黒字から赤字に転落することなどが判明しました。

こうした開示が行われた背景として、本件では主に以下の点が認められました。
・ 不適切な会計処理の原因となった太陽光発電案件や太陽光発電工事請負案件は、取引形態・規模の点において、同社にとって新たなビジネスであったにもかかわらず、役職員のリスクに対する認識が不足しており、慎重なリスク評価が実施されていなかったこと
・ 太陽光発電案件において、債務者の連帯保証人により担保資産の無断譲渡が行われるなどの想定外事象が生じた際にも、その原因分析を適切に行うことなく、十分な対応策が検討・実行されなかったこと
・ 役職員の会計リテラシーが不十分であったことに起因して、いわゆる工事進行基準を適用していた請負案件で、追加費用が工事原価総額に影響を与える可能性などについて十分な検討が行われていなかったこと

以上のとおり、本件は、役職員のリスクに対する認識不足や会計リテラシーが不十分であったことなどに起因して、投資者の投資判断に相当な影響を与える虚偽と認められる開示が行われたものであり、同社の適時開示体制について改善の必要性が高いと認められます。同社は、既に外部調査委員会の調査結果及びその提言を受けて2024年4月15日付で再発防止策等に係る開示を行っていますが、再発防止に向けた取組みの徹底を促す観点から、同社に対して、その経緯及び改善措置を記載した報告書の提出を求めることにしました。

また、本件について、公表を要するものと認められることから、公表措置を行うことにしました。」

当サイトの関連記事(2024年4月)(訂正報告書の提出など)

やはり、太陽光発電関連は魑魅魍魎が住む世界なのでしょうか。進出するにはそれなりの準備と覚悟が必要なのでしょう。

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