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冬のソナタに恋をして

友達


サンヒョクとチェリンが病院に到着すると、入れ替わりにジヌは帰宅することになった。あまり長い時間留守をしていると、妻のチヨンにいろいろと聞かれる恐れがあるからだ。病院の入り口まで送ってくれたサンヒョクが口を開いた。

「父さん、これで何もかも解決すると思うんだ。ユジンとチュンサンは別れることにしたよ。だから父さんも心配しないで。」


「もうそんなところまで話が進んでいるのか、、、、なあサンヒョク、お前チュンサンのことをどう思う?彼のことを好きだったか?彼とどれくらい親しかったんだ?」

矢継ぎ早に質問する父親を前に、サンヒョクは目を丸くした。すると、ジヌは我に返ってバツが悪そうになってしまい、そそくさと帰っていくのだった。そんなジヌを、サンヒョクは不思議そうに見つめていた。


そのころ、病室で眠ったままのチュンサンの額を、チェリンがタオルで拭いていた。すると、チュンサンが眠りながらも「ユジン、、、」とつぶやくのが聞こえた。チェリンは顔色を変えたが、そこにちょうどサンヒョクが戻ってきた。
「ちょっと、サンヒョク、ユジンはどこなの?彼女こそ、真っ先にここにいなくちゃいけない人じゃないの!いったいどういうこと?二人はもう駄目なわけ?なんで連絡をしてあげないの?」
しかし、サンヒョクは淡々と告げた。

「二人はもう駄目なんだよ。彼のお母さんが猛反対していて、それで別れてしまったんだ。チュンサンも愛は錯覚だったって。」

「チュンサンが愛じゃないって言ったの?」

「うん」

しかし、サンヒョクはチェリンの目も見ないし、その声は不自然に上ずっていた。


「うそよ、そんなのウソ。彼は意識がなくたってユジンの名を呼んでる。彼はユジンを愛してる。あなた、私に秘密にしていることがあるんでしょ?」

いまだにチュンサンに未練のあるチェリンには、チュンサンの気持ちが手に取るようにわかっていた。チェリンは射貫くような目でサンヒョクを見つめた。


サンヒョクはこれ以上嘘はつけないと観念して、二人は病院のロビーで座って話をすることになった。

「チェリン、あの二人はあの二人はね、兄妹なんだよ。」

チェリンは夢にも思わない展開に、言葉を失った。

「父親が同じなんだよ。ユジンの父親とチュンサンの父親は一緒なんだ。」


チェリンはそれを聞くと、呆然となってしまい、ただただ目の前を向いていた。かつて愛した相手と、かつては憎んだ友達だったが、そんな残酷な事実に直面しているとは、あまりにかわいそうでならなかった。チェリンは友人としてどうにかしなければと、チュンサンの病室に戻っていくのだった。

同じころ、チュンサンは独り意識を回復していた。目を開けると、そこはいつか見たような光景で、看護師が隣に立っており、真っ白な病室の天井が見えた。チュンサンはそっとつぶやいた。

「ああ、目覚めてしまったんだ。もう2度と目を覚まさなくてもよかったのに。」と。そしてノロノロと病院着から私服に着替えおわると、検査結果が出るまでは退院して、自宅に帰ろうとしていた。するとそこに、チェリンが入ってきた。何気ない様子で

「あら、着替えたのね。検査は済んだ?もう帰れるの?」

と言うチェリンに、チュンサンは目を丸くした。

「なんで君がここにいるんだ?」

「行きましょう。迎えに来たのよ」チェリンは優しい笑顔でそう言うと、チュンサンを自宅まで車で送ってあげた。


チェリンは何も言わずに、チュンサンを部屋まで連れて行き、ソファに座ったのを見届けるといった。

「ゆっくり休んで。じゃあ、行くわね」

そして立ち去ろうとしたが、決心したように戻ってくると涙を浮かべて言った。

「チュンサン、あなたユジンにきちんと話した方がいいわよ。二人で逃げちゃえばいいのに。あなたたちは知らなかったんだし、出会いたくて出会ったんじゃないもの。いったいどうしろっていうの?」


チュンサンは隠すことをあきらめて静かに言った。

「いつ知ったんだよ」

「ずっと、ずっと前よ。」しかし、チュンサンはそんなことはないと知っていた。

「サンヒョクか」


「あなたたちが普通に別れたと思ってた。でも、そんな別れ方をして、私が喜ぶと思う?そんな別れ方じゃ、そんな嫌な別れ方じゃ、それっきり会えなくなったら、あなたに戻ってきてって言えないじゃない。何で何にも言わないの?ちょっと、カンジュンサン、何とか言いなさいよ」

チュンサンは涙を流しながら、不器用な口調で励ますチェリンを、優しい目で見つめて言った。


「ミニョンさん、て呼ぶのやめたのか?」

「そうよ。あなたはカンジュンサンでしょ?」

ミニョンを求めても愛が報われないチェリン、ユジンを愛しても決して手に入れられないチュンサン、二人は今、同じ立場にいた。チュンサンは初めてチェリンの気持ちが痛いほどわかるのだった。チェリンに申し訳ないとも思った。二人が初めて友人として分かり合えた瞬間だった。そしてそのままソファに座って、静かに痛みの涙を流し続けるのだった。

コメント一覧

kirakira0611
@81sasayuri1018 さま、返事が遅くて申し訳ありません。
本当にデジャブのような展開ですね。人間間違ったことをしても、心根が良ければ、最後のところで踏み止まれると思います。
その点ミヒは自己中ですね。いつか反省して改心できるといいですが。
ありがとうございました😊
kirakira0611
@breezemaster さま、このシーンは全く覚えてなかったんですが、ブログを書くにあたり気がつきました。日本バージョンではカットされてたかな?
チュンサンとチェリンが本当の友人に戻ったステキなシーンですね。
息子が熱を出してお休み中でバタバタしてしまい、返事が遅くてすみません。
ありがとうございました😊
kirakira0611
西風さま、ありがとうございました😊
また良かったら読んでくださいねー。
81sasayuri1018
おはようございます。

>二人は今、同じ立場にいた。

この人間模様は、ミニョンがヒョンスでユジンの母を想い、
チエリンがミヒで、ヒョンスを想う・・・に思えるのです。

でも、この回で、チエリンはミヒとは違って、
これでミニョンさんは私のモノと想わないので、この回は爽やかですね(*^^*)

「想い」というのは強烈なモノで、良いほうに行けば物事が成就するエネルギーになりますが、
悪い方へ向けば周りの人を傷付けもしますね。

この冬の間に、またDVDみて置こうと思います。
キラキラさんのおかげに有難うです♡  うばゆり
breezemaster
おはようございます

見ているようで、昔なので、忘れている場面が、たくさんあり、
こんなシーンが有ったんだ、こんな思いだったんだと
毎回、思い出とともに、新たな感動を感じています。

彼とどれくらい親しかったんだ?
サンヒョクは不思議そうに見つめていた。
次への展開、ジヌとサンヒョクに、こんな会話が有ったんですね。

「うそよ、そんなのウソ。彼は意識がなくたってユジンの名を呼んでる。彼はユジンを愛してる。あなた、私に秘密にしていることがあるんでしょ?」
チェリン、感のするどい女性に感じていましたが、
まさに、サンヒョクの表情から読み取ってしまったんですね

「チェリン、あの二人はあの二人はね、兄妹なんだよ。」
事実を知ったチェリン、ライバルと言うより、
意地悪なイメージから、友達に戻ったチェリンを感じさせていただきました。

ミニョンを求めても愛が報われないチェリン、ユジンを愛しても決して手に入れられないチュンサン、二人は今、同じ立場にいた。
華やかなチェリンが、ユジンに対して、憎しみまでいだくように
なったのに、
こんな二人になるとは、誰も想像できなかったですよね
チュンサンに呼び方が変わったチェリン、
二人で逃げちゃえばいいのにと、
気持ちの中でも、ミニョンから、もとのチュンサンに
戻り、ユジンのことを考える友人に戻ったのを感じさせていただきました。
次回も楽しみにしています。
でも、無理せず、日々元気にお過ごしくださいね
西風
情報に感謝です♫
ありがとうございます。
ワタシはTVそのものは見ないのですが、
あのテーマ曲は好きですよ🤣🤣🤣

はい!了解です♫ありがとうございました😊
kirakira0611
西風さま、おはようございます😊
すごく早起きなんですね。見習いたいです。
コメントありがとうございます。
ヨン様は、事実上引退していて、実業家として大金持ちになりハワイ在住、チェジウさんは一応俳優してますが、本当に脇役とかチョイ役ぐらいのレベルです。良くも悪くもこのドラマが日本でヒットしすぎて、二人とも巨万の富を得たことで、俳優人生あくせくしなくても良くなり、今に至るというところでしょうか。
ブログを書くにあたり、しつこく観てるから思いますが、二人とも若い主人公を演じるにはぴったりですが、幅の広い役をやれるタイプの俳優さんではなくて、頭打ちだったと思います。加えて冬のソナタでイメージが固定されてしまい、イメチェンに失敗してしまい、金もあるから頑張る必要もなく事実上引退、だと思います。
いやー、人生狂わされたドラマですね。ヨンハさんは自殺しちゃったし。平穏なのは人気が出なくてあんまり注目されなかったパクソルミさんチェリン役ぐらいでしょうか。
今日も楽しい一日をお過ごし下さいね。
西風
おはようございます😃
いつもありがとうございます。

冬のソナタについての質問なん
ですが、もう十数年前になりま
すね。日本で冬ソナが大ヒット
したの…なんだか懐かしいです
ね。😆😆
それで、当時の俳優達(出演者)
さんは今でも何か映画ドラマに
出ているのでしょうか?
あの主人公のヨンとヒロインの今
を知りたいです〜アッハハ🤣🤣🤣
宜しくです♫

それでは!本日も明るく元気に
いきませう😆😆😆
kirakira0611
@hananoana1005 さま、今回はチェリンとチュンサンが初めて本音で分かり合える場面でした。
先日の優しい嘘の話、とってもよかったです。
あと白梅が綺麗ですね。
ありがとうございました😊
hananoana1005
こんばんは
この章・・泣けました!

寒い毎日です。
暖かくしてお過ごしくださいね(#^^#)
冬ソナも残り少なくなりました。あと少し頑張ってくださいね~
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