タックの庭仕事 -黄昏人生残日録-

<これは本当に元・新聞編集局長の文章か>

    <9月9日付『釧路新聞』第3面の「巷論」>

「…ていた」
 1. 避難指示を解除されていたというニュースを聞いて(誤)
      楢葉町は9月5日に避難指示が解除されたから、巷論執筆者は、5日夕刻、ま
     たは6日朝のテレビかラジオの放送を聞き、6日付『北海道新聞』もしくは『朝
     日新聞』ほかいずれかの全国紙を読んで内容を確かめ、自分の原稿を書いたはず
     である。各種報道機関が5日の公式発表を、日数が経過した後になって「解除さ
     れていた」と報じることはあり得ない。 「解除されていたというニュース」は誤
     りで、正しくは「解除されたというニュース」とすべきである。

 2. 避難指示解除準備区域になっていたが(不適切)
 3. 解除に向けた長期宿泊が認められていた(適切)
      一つの文章の中で「…ていた」の重複は避けるべきである。文体がだらしなく
     弛緩しているではないか。


「…など」
 1. 日本創生会議などという国の誤用機関が
 2. 釧路市なども2040年になると、
 3. 遠きにありて思うもの─などというが、

      連用修飾語「など」の連続で、文体がだらしなく弛緩している。「釧路市も」
     および「思うもの─というが」で十分用が足りる。

 文法上の問題
 1. 果たして2011年3月11日から4年半(不適切)
      連用修飾語「果たして」は、被修飾語の用言がある文節内に置くか、あるいは
     読点を打って直後の文節と区別することで、修飾関係が明確になる。「果たして
     失われた故郷は再び緑の里によみがえる…」とするのが適切。

 2. 政治の無謀に、楢葉町の人たちはどう受け止めている…(誤)

      連用修飾語「無謀に」は、他動詞「受け止める」を修飾できない。助詞の選択
     の誤りを正し、「無謀を受け止める」とすべきである。
 3. ふるさととは遠きにありて思うもの(正)
 4. ふるさととは失われていないか(誤)
      連用修飾語「ふるさととは」は「ふるさとというのは」の短縮形で、被修飾語
     の内容を補足する働きを担うものであり、用言「失われていないか」を修飾する
     ことはできない。


 以上、高校生レベルの文章作法について述べた。「重箱の隅を楊枝でほじくる」と思う向きもあるかも知れないが、「巷論」は個人的ブログとは違うのだから、もう少し気合いを入れて執筆して貰いたい。
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