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ギリシャ語由来の語がギリシャ語に逆輸入されたら

欧米の言語ではギリシャ語に起源を持つ語彙も多い。ギリシャ語を基にした造語も多く作られた。

古代ギリシャ語と現代ギリシャ語の発音の違いで特に大きなものは、β、γ、δは古代はそれぞれ/b/、/g/、/d/と有声破裂音で発音していたのが、現代はそれぞれ/v/、/γ, ʝ/、/ð/と有声摩擦音で発音するようになったこと。
英語など欧米の言語におけるギリシャ語を基にした造語では古典ギリシャ語を基にしていて、古典ギリシャ語の発音に合わせてβはb、γはg、δはdで対応させている。

ギリシャ語で「生命」を意味するβίοςは古代は[ˈbios](ビオス)と発音したが、現代は[ˈvios](ヴィオス)と発音する。英語などでは古典ギリシャ語の発音に基づいてbio-という形で接頭辞に取り入れられた。
Biology(生物学)はギリシャ語の「βίος + λόγος(言葉、学問)」が語源、biography(伝記)は「βίος + γράφω(書く)」が語源。現代ギリシャ語では「生物学」はβιολογία、「伝記」はβιογραφίαとなり、現代ギリシャ語の読み方で発音される。
沖縄県うるま市にある「ビオスの丘」の「ビオス」の英語表記も古代ギリシャ語の発音に合わせてBiosとしている。

現代ギリシャ語で/b/はμπ、/g/はγκ、/d/はντで表される。前述の例とは別に、ギリシャ語に由来する言葉を外来語としてギリシャ語に取り入れる場合、(ギリシャ語に逆輸入する前の)原語の発音に基づいて転写した形が用いられる。この場合、元をたどればβ、γ、δに行きつくものもμπ、ντ、γκで書かれる。
例えば、英語のbase(基、土台、基礎、基地、塁)は古代ギリシャ語のβάσις(現代ギリシャ語では形を変えてβάσηとなった)に由来するが、ギリシャ語で「野球」は英語のbaseballから取り入れてμπέιζμπολと言う。

会社名、スポーツチーム名などは基本的に現地語やネーミングに使用された言語(英語など)の発音から転写した形が用いられる。
シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)のhebdoはhebdomadaire(フランス語で「週刊誌」)の略で、「週」を意味するギリシャ語εβδομάδαに由来するが、シャルリー・エブドはギリシャ語でΣαρλί Εμπντό。
バイオンテック(BioNTech)のbio-はギリシャ語のβίοςに由来するが、この社名のギリシャ語表記はΜπάιοΝ-Τεκ。
「ダイヤモンド」はギリシャ語でδιαμάντι(<αδάμας「征服できない」から)だが、浦和レッドダイヤモンズ(Urawa Red Diamonds)はΟυράβα Ρεντ Ντάιαμοντς。

ギリシャ語の文の中で外来語や外国語による固有名詞(商品名、社名など)をギリシャ文字に翻字せずラテン文字表記をそのまま用いることも少なくない。

国際単位系で10億倍を表すgiga-(ギガ)はギリシャ語で「巨大」を意味するγίγαςに由来し、ギリシャ語ではγίγα-となるが、giga-とbinaryの合成語で10の30乗を表すgibi-(ギビ)は英語の発音に合わせてγκιμπι-となる。Gigabyte(ギガバイト)はγιγαμπάιτの他、μπάιτ(byte)が英語から来ているということもあってγκιγκαμπάιτと言うこともある。

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