「【集会と記者会見】東電株主代表訴訟・驚愕の犯罪事実を示す証拠がついに」
【東電株主代表訴訟Facebook】
本日のNHKの18時からのニュースで流れました。
福島第一原子力発電所の事故で、東京電力の株主が歴代の経営陣に賠償を求めている裁判で、原告側は、東京電力が新たな内部資料を証拠として提出したことを明らかにし、「事故の3年前に津波対策は不可避だと認めていたのに先延ばしにしていた」と主張しました。
この裁判は、東京電力の株主50人余りが歴代の経営陣らに対し、「安全対策を怠ったために事故が起きた」として、合わせて5兆5000億円を会社に賠償するよう求めているものです。
東京地方裁判所で行われた18日の審理で、原告側は、東京電力が裁判所の勧告に応じて、新たな内部資料を証拠として提出したことを明らかにしました。
原告側によりますと、資料は平成20年9月に福島第一原発で当時の所長などが参加して開かれた会議のもので、政府の地震調査研究推進本部が福島県沖を含む日本海溝沿いで大地震が起きると想定していたことについて、「完全に否定することが難しく、現状より大きな想定の津波対策は不可避だ」と記されていたということです。
同じ資料には、この想定を2~3年かけて検討する方針が示されていて、原告側は「津波対策は不可避だと認めていたのに先延ばしにしていた証拠だ」と主張しました。
一方、東京電力側は、この資料について、「津波が現実的に襲来する危険性があるという意味ではない」としたうえで、「地震調査研究推進本部の想定は具体的な根拠がなく、専門の学会に改めて津波の想定を委託するなど改善策に取り組んでいた」と主張しています。
原告の代理人の海渡雄一弁護士は、審理のあとで会見を開き、「東京電力が、最終的には津波対策の工事をするしかないと認識していたことがはっきりした。老朽化した福島第一原発の運転を続けるため、問題を先延ばしにしていたと考えられる」と述べました。
また、東京電力は「訴訟中につきコメントを控えさせていただきます」としています。
福島第一原発津波対策巡る経緯
福島第一原子力発電所の津波対策を巡る経緯は、政府や国会の事故調査委員会でも重要な点として検証されてきました。
平成14年、政府の地震調査研究推進本部は、大津波を伴う地震について、過去に発生した記録がないとされた福島県沖でも発生する可能性があるという評価結果を発表しています。
政府の事故調査・検証委員会の報告書などによりますと、これを受けて東京電力は、福島県沖で大地震が発生した場合、福島第一原発に押し寄せる津波の高さは最大で15.7メートルに達する可能性があるという試算を、6年後の平成20年の6月までにまとめました。
これについて、当時、東京電力本店で地震や津波対策の責任者を務めていた吉田昌郎氏らは、政府事故調に対し、試算は情報が少ないなかで行った仮定のもので、こうした津波は実際には来ないと考えていたとしています。
吉田氏は、翌月、原子力・立地副本部長だった武藤栄氏と共に、政府の推進本部の評価結果が安全性に影響を及ぼすものか土木学会に検討を依頼したうえで、最大で5メートル程度としていた従来の津波の想定を当面は変えないことを決めました。土木学会に検討を依頼したことについて吉田氏らは政府事故調に対し「念のため」のものだったとしています。
今回、原告側が明らかにした資料には、こうした対応を決めたあとの9月に行われた会議の中で、「現状より大きな津波高を評価せざるをえないと想定され、津波対策は不可避」という発言があったことが記されています。
その後、東京電力の社内では土木学会の検討の行方によってどのような津波対策が必要になるかを検討するチームが設けられましたが、事故が起きた時点では具体的な対策はほとんど取られていませんでした。