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イベント紹介-「民主主義について話し合う哲学カフェ 村夏輝」

「民主主義について話し合う哲学カフェ 村夏輝」

 

 

 

哲学カフェ開催

先週一週間、日比谷公園やら国会正門前に通いながら、國分功一郎さんの『来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題』を何度も繰り返し読んだ。再読するのはほぼ2年ぶり。なぜ一番新しい『近代政治哲学』ではないかというと、『来るべき民主主義』の方がより状況に直接フィットしていると思われたからだ。


國分さんがこの本で問題として取り上げたのは、道路建設という政治的決定が行政によってなされており、民主主義国家であるにもかかわらず住民は黙って従わざるを得ない状況に置かれている、という事実だった。安保法制をめぐる現在の政治的問題状況は、まさに同じ事態が国政レベルで成立していることを示している。すなわち、行政の長である内閣総理大臣がアメリカ議会で勝手に約束をし、そして内閣がそれに沿って法律を作る。国民の8割がそれに反対しているにも関わらず、別の政治的イシューをめぐって選出された国会議員たちは法案の成立に賛成する。本書の帯をもじって言えば、「内閣は言う。『この国を他国防衛のために戦争できる国にします。決まったことなので、国民は黙っていてください』」ってなもんだ。


 新国立競技場をめぐる混乱も問題の本質は同じである。結局は安倍首相が白紙撤回したが、「終わりよければすべてよし」などというわけにはいかない。結果としてよかったとしても、それが安倍首相という個人の利害によってなされたという事実に変わりはない。彼は別に国民の声に動かされたわけではなく、ここで見直しを選択しないと自分の地位がよりまずくなるから選んだだけだ。民主主義であるにもかかわらず、政治的意思決定が行政の長の恣意的決断によってなされたという本質は同じである。


 この問題に対して、たとえば都議会議員のおときた駿さんは国民投票による解決を提案している。しかし民主主義とは必ずしも投票による決着を意味しない。国政であれ、地方政治であれ、国民・市民の意志を反映する仕方は国民投票・住民投票である必要はないのではないか。議論の深まりがないまま住民投票を行えば、国民・住民の間に深い亀裂が残り、政治的統一を回復するのが難しくなる。それは大阪都構想をめぐる住民投票騒動が教えてくれたことである。投票の重要性を認めつつ、それ以外の多様な可能性にも目を向けながら考えていきたい。


『来るべき民主主義』は、今から二年前に、すでに以上のような問題状況を取り上げ、分析し、可能な対策を多数提案する、実に示唆に富む著作である。そこで今回、この本を参考書として使用しながら、民主主義について話し合う哲学カフェを開催することにした。8月1日、午後6時から8時まで。場所は小田急線相模大野駅からすぐの商業施設「ボーノ 相模大野」のサウスモール3階、「ユニコムプラザさがみはら」(http://unicom-plaza.jp/)にて。参加希望の方は、下記のメールアドレスにご連絡ください。また情報拡散のご協力もお願いします。


村夏輝(ntakamura@shoin-u.ac.jp

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