指揮予定の飯守さんが急病で急遽、高関さんが代役に。公演前日に合わせで本番を迎えるという事態になりましたが、新響は高関さんと何度も共演していますし、
実際、見事な公演になりました。高関さん、よくスケジュールが空いていたな..と思いました。
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開演前の感染対策も万全。マスクもひとりひとりチェックされました。私は2F席でしたが、ここは席を1つ空けての指定席。
ご夫婦で来られた方が隣同士で着席すると、スタッフが歩み寄り、「指定のところにお座りください」とご注意を。
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演奏ですが、私は高関さんのワーグナー管弦楽曲を聴くのは初めて。「リエンツィ」冒頭のTpから安定していて、
また曲の構成がとてもわかりやすく感じ取れました。「タンホイザー」は木管もよく聞こえてきました。
飯守さんとの練習で培われてきたワーグナーを、出来るだけ忠実に再現したい..という雰囲気を感じました。
ただ、飯守さんが振れば、もう少し重い演奏になったかも..とも思いました。
そういえば、今から20年ほど前でしょうか..。飯守・新日本フィルのワーグナー管弦楽曲プロという演奏会に接しました(サントリーで私はP席、最前列で鑑賞)。
今でも鮮烈に覚えているのですが、「は、拍がわからない...、ど、どこで音を出せば...。新日本フィル凄いな..」と思ったものです。
それ以降、何度も飯守さん指揮の演奏会に接し、指揮はもっと深いものなんだ..と認識しました。
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後半はブルックナー3番。私は同曲の実演に接するのは今回で5回目。高関さんによる演奏にも接しています(シティフィル)。その時は第2稿を採用。
しかし第3楽章のコーダはカット等、氏独自のこだわりも感じました。札響でも第2稿で演奏したようです。
シティフィルとの演奏時の配置を正確には覚えていないのですが、対向配置でCbは左だったと思います。
しかし、今回は第3稿。高関さんのことですから、第3番の各版を研究し、第2稿を自身の選択にしたわけですから、
今回の第3稿を振ることについては、多少、複雑な想いもあったかと思います。また配置も対向等ではなく、一般的なもの。
恐らく飯守さんがこのスタイルで演奏を考えていたのでしょう。
飯守さんと新響が一緒に練習してきたその音楽を大事にしようと、その考えに徹したと思います。
演奏ですが、第1楽章前半に少し木管の乱れを感じましたが、その後はいつもの高いレヴェルの演奏へ。
ブルックナーパウゼをしっかり取って、前へ進む演奏。聴衆もしっかり「間」を取ってからの拍手喝采。
Vcのトップの女性がとてもお上手でした。いや、皆さん上手いけど。
演奏が終わり、高関さんが一礼して舞台脇へ。そして再び登場以降は、毎回、温かい拍手が。
団員一同から「高関先生、ありがとうございました!!」という強いメッセージを感じました。
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私はブルックナーが好きですが、3番はそれほど好きでもなかったのですが、今回の公演にあたり所有している同曲のCDを
いろいろこの一か月聴いてきました。この曲の魅力を再発見したり...。そういう機会を与えてくれた新響に感謝。
飯守さんの指揮する演奏会に初めて接したのは1985年、都響定期。飯守さんが欧州から戻ってきて直後だったかとい思います。
「アルプス交響曲」がとても聴きごたえがありました。私はそれまで飯守さんのお名前は全く存じ上げていませんでした。
あれから35年以上経過。
しっかりお休みされて、また指揮台に戻ってきてほしいです。