化学分科会第A分散会
高校で講師をしてみて
大阪府立金岡高校 奥村政則
[レポートの要約]
昨年度までは支援学校に在籍し、障害児・者と科学教育分科会に参加していたが、今年度より非常勤講師で高校の化学を教えているので化学分科会に参加。高校で3年生に6月中旬から下旬に実施したアルデヒドの生成と性質についての3つ実験、Ⅰメタノールからホルムアルデヒドを合成する実験、Ⅱ銀鏡反応を調べる実験、Ⅲフェーリング反応を調べる実験、をiPadを使ったり、一つひとつの実験を確認しながら進めたり、黒板に操作法を板書したり、3つ実験の説明を2回繰り返したりして種々検討してみた。
生徒からの意見感想から、実験について論議の材料を提示した。
[言いたかったこと]
支援学校から普通高校にやって来ての驚いたこと、支援学校では少人数であることも幸いして発達に応じ本質的な認識体感認識のための実験重視の授業が組めたが、高校では授業進度のことや、単位取得するための定期テストがあるので、なかなか実験は組めない。でも、実験をやってみて、その感想から生徒の生の声、「実験大好き」「もっとして欲しい」「実験をして良く分かった」「面白かった」が聞けたのはよかった。
分科会ではこの実験をしていくための注意点について先生方からさまざまな貴重なご意見をいただき掲載できた。
[議論を通して]
・実験Ⅰではホルムアルデヒドを実際にかがせるのはまずいのではないか。
・実験Ⅱでは硝酸銀にアンモニアを入れてアンモニア性硝酸銀にするとき入れすぎないよう充分指導がいる。アルデヒドの性質だが、ブドウ糖を何で使ったのかということは言っておくことに意味があるのではないか。
・実験Ⅲではフェーリング反応のこだわりがあるが、ベネジクト反応の方が保管し続けることが出来るのでは。
べっこう飴は砂糖の固まった物なのか?グラニュー糖ベネジクト反応出ないがべっこう飴にすると出る。
フェーリング反応の水浴は、直火にした方がよい。そうすると沸騰すると吹き出すのでゴーグルがいるのでは。直火はだめ。水浴することも意味があったのでは。
フェーリング反応は色を薄くしていくと赤くなる。演示実験でブドウ糖で真っ赤に。
フェーリング反応赤沈殿では出ないが黄色っぽくても検出できたら良いのでは、酸化第一銅が出るとわかればよい。
・全体では、事前指導をいろいろ変えてしたが、iPad使用した指導について、IT化の波は避けては通れないが、流行に流されないことも大切だ。
教室の授業で、淡々と指導するのも問題がある。授業で何が起こるのか教えておく事が大事だ。アルデヒドの還元性とは何なのか教えることは必要だ。有機を自然の中に位置づけて戻していくのも必要。
この実験は試験管の中でしておもしろい。意味が分からなくてもやってよかった。ということもある。しかし、意味の指導も必要。
かって授業プランがあり、おもしろ実験があった。どちらも揺れ戻しつつきているのではないか。
物がない指導と物がある指導。演示実験は物を通して語らせる。でも、物だけに語らせたらだめ。科学万能主義におちいる。教師の独善になることもある。独善も教師の思いがないとメッセージを伝えていかないといけない。また、生徒の考える時間も大事。
試験管を目盛り付きにしなくても良いのでは。等のいろいろな意見があった。以上充分まとめることができずそのまま載せておくことにした。