ローゼン学園 序章
BY六連猫 ストーリー すばる 表、挿絵 ネルコ
11月の寒い朝の中を、僕 桜田ジュンは歩いていた。
教員用の通用門を通り、いつものように職員室へと向かう。
時刻はもうすぐ八時。職員朝礼の時間。そしてこの時間にいつも聞こえてくる、バタンという大きな音を聞き、僕は「ハァー」とため息をついた。
「よーし、何とか間に合った!!」と、音を立てた主、桜田のりが言った。
「桜田先生、遅刻ですよ」
「えぇー!!そんなぁ」
「全くあなたは何度遅刻すれば気がすむんですか。いい加減にしてくださいよ」
教頭に怒られながら、のりはいそいそと席についた。みなさんは察しがついたと思うが、こいつ、桜田のりは僕の姉貴だ。ずり落ちたメガネをあげ、走ってきたのか知らないが顔を赤くしてゼィゼィと息を切らしてる奴を姉とは呼びたくは無いが、仕方ないから呼んでいる。姉は、この学校で家庭科教師をやっている。(よく教員採用試験に受かったものだといつも思う)
朝礼が終わると、担任はそれぞれの教室へ向かう。そして教室へ向かうたび、僕のため息はいっそう深くなるのであった。
今日もあいつらと顔をあわせなければならない。世話を焼かなくてはならないのだ。肩に乗った重荷と共に、教室の引き戸を開けた。
・・・その時だ。僕は一瞬にして耳を塞いだ。
「いーやーなーのー!!」騒音が、朝の教室中に響いた。
「くんくんは雛苺とあそぶのー!!」
「いいから放すのかしらー!!雛苺!!」
ジュンはそっと手を耳から離しながら、幼い小競り合いを見つけた。
「うるさーい!!朝からいったい何を騒いでいるんだ!!」
ジュンの声に小競り合いをしていた二人が振り向いた。
「うわぁぁん。ジュン~」振り向いた生徒、雛苺が突然泣き出した。
「あのね~、ひどいの~!!ヒナがくんくんと遊んでたのにカナがくんくんを盗ろうとするの~!!」
「はぁ!?」 くんくんとは、教室に置かれてる犬の人形のことだ。
「ちがうのかしら~!!カナが遊ぼうと思ったのにヒナが独り占めするの~!!」
「おまえらなぁ・・・。とにかく、お前は独り占めなんて子供じみた事するな!!そしてお前も遊びたいなら一言言って遊ばしてもらえばいいんだろ!!っていうかお前らそもそも人形遊びって・・・一体いくつだと思ってるんだ!!」
「中一」二人同時に答えた。
「分かってんならやめろ!!」
「でもこの学校では雛苺が一番子供かしら」もう一人の生徒、金糸雀が答えた。
「・・・それはそうだけど・・・」ジュンには返す言葉が無かった。
「もうおよしなさい二人とも。いつまでたっても貴女達のせいで朝礼ができないわ」ジュンは声のした方を向いた。長い金髪をツインテールにした、クラス委員長―真紅が紅茶を飲みながら二人に言った。
「ほら。もう席につきなさい」雛苺と金糸雀はしぶしぶ自分の席に戻った。
「・・・では、朝礼を始めましょう」
「起立」真紅の合図で皆が立ち「礼、着席」で皆がガタガタと音を立てながら席についた。僕は六人しか名前の無い出席簿を取り出した。「出席とるぞ~。水銀燈」
「・・・はぁい」
「金糸雀ー」
「はーい!!」
「翠星石~」
「はいです~」
「蒼星石~」
「はい」
「真紅」
「はい」次の名前に行こうとした所で僕は止まった。
「お前はいつまで紅茶飲んでるんだァァァ!!」
「あら。目覚めの紅茶(アーリーモーニングティー)は大切なのよ」
「知るかァァァ!!食堂で飲んで来いィィィ!!」シャウトした後で次に言った。
「次いくぞ~、雛苺」
「は~いなの~!!」チャイムが鳴った。
「じゃあこれで朝礼終わります。一時間目から体育だから遅刻しないよーに。あとやりすぎて薇切れとかにもなるなよー」
「はーい」生徒たちの声を聞いた僕は教室を後にした。
BY六連猫 ストーリー すばる 表、挿絵 ネルコ
11月の寒い朝の中を、僕 桜田ジュンは歩いていた。
教員用の通用門を通り、いつものように職員室へと向かう。
時刻はもうすぐ八時。職員朝礼の時間。そしてこの時間にいつも聞こえてくる、バタンという大きな音を聞き、僕は「ハァー」とため息をついた。
「よーし、何とか間に合った!!」と、音を立てた主、桜田のりが言った。
「桜田先生、遅刻ですよ」
「えぇー!!そんなぁ」
「全くあなたは何度遅刻すれば気がすむんですか。いい加減にしてくださいよ」
教頭に怒られながら、のりはいそいそと席についた。みなさんは察しがついたと思うが、こいつ、桜田のりは僕の姉貴だ。ずり落ちたメガネをあげ、走ってきたのか知らないが顔を赤くしてゼィゼィと息を切らしてる奴を姉とは呼びたくは無いが、仕方ないから呼んでいる。姉は、この学校で家庭科教師をやっている。(よく教員採用試験に受かったものだといつも思う)
朝礼が終わると、担任はそれぞれの教室へ向かう。そして教室へ向かうたび、僕のため息はいっそう深くなるのであった。
今日もあいつらと顔をあわせなければならない。世話を焼かなくてはならないのだ。肩に乗った重荷と共に、教室の引き戸を開けた。
・・・その時だ。僕は一瞬にして耳を塞いだ。
「いーやーなーのー!!」騒音が、朝の教室中に響いた。
「くんくんは雛苺とあそぶのー!!」
「いいから放すのかしらー!!雛苺!!」
ジュンはそっと手を耳から離しながら、幼い小競り合いを見つけた。
「うるさーい!!朝からいったい何を騒いでいるんだ!!」
ジュンの声に小競り合いをしていた二人が振り向いた。
「うわぁぁん。ジュン~」振り向いた生徒、雛苺が突然泣き出した。
「あのね~、ひどいの~!!ヒナがくんくんと遊んでたのにカナがくんくんを盗ろうとするの~!!」
「はぁ!?」 くんくんとは、教室に置かれてる犬の人形のことだ。
「ちがうのかしら~!!カナが遊ぼうと思ったのにヒナが独り占めするの~!!」
「おまえらなぁ・・・。とにかく、お前は独り占めなんて子供じみた事するな!!そしてお前も遊びたいなら一言言って遊ばしてもらえばいいんだろ!!っていうかお前らそもそも人形遊びって・・・一体いくつだと思ってるんだ!!」
「中一」二人同時に答えた。
「分かってんならやめろ!!」
「でもこの学校では雛苺が一番子供かしら」もう一人の生徒、金糸雀が答えた。
「・・・それはそうだけど・・・」ジュンには返す言葉が無かった。
「もうおよしなさい二人とも。いつまでたっても貴女達のせいで朝礼ができないわ」ジュンは声のした方を向いた。長い金髪をツインテールにした、クラス委員長―真紅が紅茶を飲みながら二人に言った。
「ほら。もう席につきなさい」雛苺と金糸雀はしぶしぶ自分の席に戻った。
「・・・では、朝礼を始めましょう」
「起立」真紅の合図で皆が立ち「礼、着席」で皆がガタガタと音を立てながら席についた。僕は六人しか名前の無い出席簿を取り出した。「出席とるぞ~。水銀燈」
「・・・はぁい」
「金糸雀ー」
「はーい!!」
「翠星石~」
「はいです~」
「蒼星石~」
「はい」
「真紅」
「はい」次の名前に行こうとした所で僕は止まった。
「お前はいつまで紅茶飲んでるんだァァァ!!」
「あら。目覚めの紅茶(アーリーモーニングティー)は大切なのよ」
「知るかァァァ!!食堂で飲んで来いィィィ!!」シャウトした後で次に言った。
「次いくぞ~、雛苺」
「は~いなの~!!」チャイムが鳴った。
「じゃあこれで朝礼終わります。一時間目から体育だから遅刻しないよーに。あとやりすぎて薇切れとかにもなるなよー」
「はーい」生徒たちの声を聞いた僕は教室を後にした。