「崖っぷちシリーズ 数学IIIの微分積分の検定外教科書」 安田亨著
私自身は教育関係者でも何でもないのだが,ちょっと癖のある参考書が大好きなんです.
安田亨先生を知っている人は知っているであろうがもう70歳近い方なので最前線を退いて少したちはするが,ご自身で出版社を作り参考書を出されている.
検定外と書かれているだけあって,微分積分,極限など高校範囲外(大学範囲)を使って説明されている.
大学数学を使ってはいるが,高校範囲ではあいまいな,中途半端部分において見通しがよくなるように使われているので高校生でも十分に読めるものになっている.
基本的にはこの本では著者である安田亨先生が考える極限,微分積分をはじめて勉強するさいに最も効率よく学べるように進んでいく.
この本の最大の特徴は著者の主観が全開のところである,入試問題にたいしてもはっきりものをいうところや入試に関する話など読んでて面白い(ものすごく人を選ぶが).
基本的には1つのトピックスに対し説明,例題(大学入試問題150題+α),補足という風な流れである.
数学が苦手な学生はなかなか大変だろうが,解析学の視点から高校の微積分を眺めると非常に見通しがよくなる.
極限や置換積分のような単なる計算技法の暗記みたいなところが一段上がったところから眺めると理屈がわかり単なる解法暗記ではなくなる.
数学な得意な方が基礎の部分からしっかりと理解していくには格好の参考書でしょう.
または,大学と高校の解析学のいい橋渡しの本になってくれることでしょう.
次
・本書の方針について
数学は定義が重要
接線を引きたい
・極限
数列の極限と公式
数列のいくつかの極限と無限級数
関数の定義と合成について
いくつかの関数の基本について
・微分法
微分法の基本定理
合成関数の微分法
三角関数の微分法
ℯの導入
パラメータ微分
逆関数の微分と高次導関数の練習
符号の考察
増減を調べる
最大値・最小値
凹凸を調べる
頻出グラフを描く
方程式への応用
不等式への証明
接線が何本引けるか?
平均値の定理を巡る練習問題
力学系
微分の基本練習
・ロピタルの定理について
教師の教え
ロピタルの定理
イプシロン・デルタ論法
ロピタルの定理を試験で使う
・積分法
面積を求めたい!
無限小
積分全体の展望
積分計算への助走
プロセスを楽しめ
部分分数に分解する
恒等式になるための必要十分条件
(ax+b)^aの積分
三角関数の積分
指数関数の積分
特殊基本関数
部分積分
置換積分
いろいろな積分の問題
面積の公式
体積の公式
区分求積
曲線の長さを求める
パラメータ表示の曲線と求積
速度・加速度
総合的な問題
微分方程式
斜回転
ガウス・グリーンの定理
・2次曲線と極座標の基本
2次曲線と座標
極座標の基本
2次曲線の練習問題
アルキメデスの方法