本の紹介させてください お願いします

主に理工学系の専門書、大学受験参考書の紹介。
ジャンル問わずに紹介もする予定。
備忘録です。

崖っぷちシリーズ 数学IIIの微分積分の検定外教科書

2022-02-08 20:35:16 | 日記

「崖っぷちシリーズ 数学IIIの微分積分の検定外教科書」 安田亨著
私自身は教育関係者でも何でもないのだが,ちょっと癖のある参考書が大好きなんです.
安田亨先生を知っている人は知っているであろうがもう70歳近い方なので最前線を退いて少したちはするが,ご自身で出版社を作り参考書を出されている.
検定外と書かれているだけあって,微分積分,極限など高校範囲外(大学範囲)を使って説明されている.
大学数学を使ってはいるが,高校範囲ではあいまいな,中途半端部分において見通しがよくなるように使われているので高校生でも十分に読めるものになっている.
基本的にはこの本では著者である安田亨先生が考える極限,微分積分をはじめて勉強するさいに最も効率よく学べるように進んでいく.
この本の最大の特徴は著者の主観が全開のところである,入試問題にたいしてもはっきりものをいうところや入試に関する話など読んでて面白い(ものすごく人を選ぶが).
基本的には1つのトピックスに対し説明,例題(大学入試問題150題+α),補足という風な流れである.
数学が苦手な学生はなかなか大変だろうが,解析学の視点から高校の微積分を眺めると非常に見通しがよくなる.
極限や置換積分のような単なる計算技法の暗記みたいなところが一段上がったところから眺めると理屈がわかり単なる解法暗記ではなくなる.
数学な得意な方が基礎の部分からしっかりと理解していくには格好の参考書でしょう.
または,大学と高校の解析学のいい橋渡しの本になってくれることでしょう.


・本書の方針について
数学は定義が重要
接線を引きたい
・極限
数列の極限と公式
数列のいくつかの極限と無限級数
関数の定義と合成について
いくつかの関数の基本について
・微分法
微分法の基本定理
合成関数の微分法
三角関数の微分法
ℯの導入
パラメータ微分
逆関数の微分と高次導関数の練習
符号の考察
増減を調べる
最大値・最小値
凹凸を調べる
頻出グラフを描く
方程式への応用
不等式への証明
接線が何本引けるか?
平均値の定理を巡る練習問題
力学系
微分の基本練習
・ロピタルの定理について
教師の教え
ロピタルの定理
イプシロン・デルタ論法
ロピタルの定理を試験で使う
・積分法
面積を求めたい!
無限小
積分全体の展望
積分計算への助走
プロセスを楽しめ
部分分数に分解する
恒等式になるための必要十分条件
(ax+b)^aの積分
三角関数の積分
指数関数の積分
特殊基本関数
部分積分
置換積分
いろいろな積分の問題
面積の公式
体積の公式
区分求積
曲線の長さを求める
パラメータ表示の曲線と求積
速度・加速度
総合的な問題
微分方程式
斜回転
ガウス・グリーンの定理
・2次曲線と極座標の基本
2次曲線と座標
極座標の基本
2次曲線の練習問題
アルキメデスの方法

「無限と連続」の数学 微分積分学の基礎理論案内

2022-02-06 08:48:50 | 日記

無限と連続」の数学 微分積分額の基礎理論案内 瀬山士郎著

「正比例」の数学 線形代数学の基礎理論案内 瀬山士郎著の姉妹書のような本である.
こちらの,「無限と連続」の数学のほうが先の出版になる.
この2冊とも面白いのが各々にテーマがありストーリーが存在しているというところだろう.
多くの参考書や教科書は定義,定理,証明のような順で並んでいき,いま証明した定理がいつ必要になるかという見通しはなかなかつかないが,この本は網羅型の参考書ではないが,1つ1つが伏線となっていてミステリーというかドキュメンタリーというか,読み進めていけばいくほど面白くなっていく.(余談ではあるが著者の瀬山士郎さんはミステリー小説バナッハ‐タルスキの密室: 『数学者シャーロック・ホームズ』というのを書かれている.)
内容は,「ロルの定理」を起点にし,最大値の存在の証明,そして理学部工学部問わずお世話になるテーラーの定理(テーラー展開)の証明そして現在の解析学の基盤となる,位相空間論までを紹介せいている.
関数の連続性,イプシロン・デルタ論法,位相空間での閉集合,開集合,コンパクト性など一筋縄ではいかない概念ばかりであるがこの本を一通り読み終えたときにはある程度理解されているだろう.
数学が苦手な私は逆算的な,1つ1つ遡って基本的概念を説明されているので非常に納得しながら読み進めることが出た.

簡易目次
第1章 ロルの定理を見直す
1.1 微分積分学に流れているもの
1.2 微分係数と微分,導関数
1.3 平均値の定理,テーラーの定理を見直す
1.4 テーラーの定理の内容
1.5 ロルの定理を証明してみる
第2章 実数の連続性ということ
2.1 ロルの定理の問題点
2.2 実数の性質(1)四則演算と大小
2.3 実数の性質(2)稠密性とアルキメデスの性
2.4 実数の性質(3)連続性と切断公理
2.5 有限集合の上限・下限存在
2.6 有界単調数列の極限値の存在
2.7 区間縮小法の原理
第3章 数列の極限と四則演算
3.1 数列の極限再説
3.2 数列の四則と極限
3.3 正の項の数列の極限値について
第4章 実数の連続性ということ
4.1 関数の連続性
4.2 関数の連続性と数列
4.3 中間地の定理
4.4 最大値・最小値の定理
第5章 関数の一様性と積分の存在
5.1 ハイネ=ボレルの被覆定理
5.2 コンパクトという性質
5.3 ボルツァーノ=ワイエルシュトラスの定理
5.4 閉区間と関数の一様連続性
5.5 定積分の存在と原始関数
第6章 位相空間と連続写像
6.1 数直線から位相空間へ
6.2 位相空間としての数直線
6.3 連続写像とε-δ論法
6.4 最大値・最小値の定理とコンパクト性

「正比例」の数学 線形代数学の基礎理論案内

2022-02-05 18:19:09 | 日記

「正比例」の数学 線形代数学の基礎理論案内 瀬山士郎著
工学部や理学部とはず,線形代数(行列)を使う学問や仕事は多いと思う.
とはいえ,大体は計算技法の習得と実際の計算が主になっていき,理論をしっかり学ぶのは理学部くらいかもしれない.
線形代数とは代数(方程式の解を求める方法)や幾何(複数のベクトル)という2面性がある.
この本は線形代数を代数のほうからアプローチをしていく.
具体的には,小学生,中学生で学ぶ正比例や1次方程式を拡張していき,それが線形変換であることをいう.
この本の1番の特徴は比例関数から少しずつ拡張してゆき線形性の意味を理解するというストーリーがありなおかつ丁寧な導入と,丁寧な証明,解説があるのでメインの教科書には少し内容が少ないかもしれないが,複読本としては読みやすく内容に迷子にならずに読み切れるであろう.
ジョルダンの標準形まで扱っているので学部1年生程度の線形代数はある程度網羅されていると思う.

簡易目次
第1章 方程式ax=bと正比例y=axを見直す
第2章 行列:数の表
第3章 行列式:特殊な多項式
第4章 n次元1次方程式を解く
第5章 正比例関数を見直す
第6章 n次元正比例関数と比例定数
第7章 半単純正比例関数
第8章 固有値,固有ベクトルと固有方程式

宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃

2022-02-03 08:20:56 | 日記

宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃 加藤文元著
京都大学 数理解析研究所 教授の望月 新一 氏が出された論文の説明,数学的読み物である.
内容自体は,望月 新一 氏の人柄であったり著者が一緒に焼肉食べたりと数学の読み物である.
内容は中高生でもわかるくらいの内容なのでハードルは高くない.
実際の内容はhttps://www.youtube.com/watch?v=kq4jbNl4lJk&t=16sを見てください.
これを書籍したものですね.
数学を大学で(特に代数)を先行された方では物足りない内容になりますが,とはいえ望月氏のホームページで論文は読めますが,素人が読んでもちんぷんかんぷんです.
最先端の数学研究の一端を垣間見える内容になっていると思う.
もしかしたら,のちの時代に「フェルマーの最終定理」 サイモン・シン著のような本になるかもしれないし,ならないかもしれない.

大数学者に学ぶ入試数学

2022-02-02 13:12:07 | 日記

クリエイティブ高校数学講座
「大数学者に学ぶ入試数学Ⅰ・A  Ⅱ・B」 秋山仁著

高校時代新しい概念が出てくるたびにどうしてこんな発想をしたのかや,教科書のきれいにまとめられた公式,証明を見るたびにもやもやした気分になったのを憶えている.
なぜもやもやしたかというと,どう言ったいきさつでこのような概念が生まれ発展したかがほとんど説明されなかったからだと思う(数学史と数学の違いをのちに知ることになるが).
そんなもやもやした気持ちに終止符を打ってくれたのが,この本である.
内容は,数学の概念の誕生,発展を大学入試を通して紹介していくものである.
流れ的には,章の最初に数学史的史実をのべ,問題を通し大学入試問題に帰着させている.
もちろん数学史的に必要十分な内容かと言われれば少し物足りない感じではあるが,ちょこちょこ入るコメントもあり補足されている.
高校数学も数学史的視点から眺めてみると紀元前2000年ごろのバビロニアあたりから始まり(語弊があるかもしれないが,くさび文字の数字が発見されているため),1800年代のド・モルガンやコーシーくらいまでである.
幾何の分野に限ってしまえば内容のほとんどは1000年以上さかのぼるものもだいぶある.
目次を載せておく.