恵之助は社内で「異端児」と言われる直属の上司
太川店長の勢いに巻かれ、カンボジアへと旅立った。
アジアのハブ・シンガポールを経由して
カンボジア・プノンペンへ。
国の香りってあるんだなぁ、独特な香りのプノンペンだった。
ふたり中央市場(セントラル・マーケット)を訪れると、
強烈な臭いに鼻がひん曲がる。
魚の腐ったような臭いと、フルーツの様々な甘い香りが混ざって
なんとも言い難い独特な匂い。
それも次第に慣れて来た頃、太川店長は
「助、ちょっとこれ値切ってこい!」
と、、、、、
「世界各国に散らばっているチャイニーズの商売人から値切ることができたら大したものだぞ、助〜。行ってこい!」
と。。。。
恵之助は、買いたくもない香水を手にキャッシャーへ向かい、
片言も片言、ほとんど喋ることの出来ない英語で、
「please down the price!please、please」
と交渉にもならない、
「値段下げて、お願い、お願い!」と幼稚な言葉を繰り返す。
きれいな女性2人は嘲笑。
まけていただけるはずもなく、恵之助は言い値で買いたくもない香水を購入した。
太川店長のところへ戻ると、ニッコニッコの笑顔で、
「どうだった、助!よく行ったなぁ〜、勇気あるなぁ、やったな助!」
と、撃沈した恵之助の勇気を称えてくれた。
この人は、ダメダメな自分をカンボジアまで連れてきて、
鍛えようとしてくれているんだ。。。。。
と、有り難くもあり、この先どんな試練を与えようとしているのか?
と恐ろしくもあり、複雑な気持ちになる恵之助だった。
つづく。