ぶらり旅スローライフを楽しむ

サウナの利用方法 命にかかわることも 注意!

ブームが続く「サウナ」で死にたくない…心臓死の報告も
2024/09/06 09:26 (日刊ゲンダイDIGITAL)



 ブームが続くサウナでの事故が増えている。やけどやケガだけでなく、心臓血管病や循環器障害を起こして死亡したケースもある。サウナで命を落とさないために心がけるポイントを、東邦大学名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏に聞いた。

 消費者庁は、70代男性が保養施設のサウナで急性循環器不全を起こして亡くなったケースがあったほか、心筋梗塞の既往がある50代男性がスポーツクラブのサウナを利用中に心臓発作を起こして3日間入院し、医師からサウナは利用しないよう言われたという事例も紹介している。

「本来、サウナには数々の健康効果が認められています。体を温めることで全身の血管を広げて血流を良くし、血管を広げる内皮機能を改善して血栓の予防や血管の弾性を保持する作用もあると報告されています。サウナ発祥の地といえるフィンランドの研究では、サウナ入浴の回数が増えるほど心臓突然死、狭心症、急性心筋梗塞などの心血管イベントが減ったという結果が出ています。日本でも、サウナを利用した和温療法が重症心不全の治療法として保険適用になっています」

 サウナが健康に良いのは間違いない。しかし、冒頭のように一歩間違えると心臓トラブルを引き起こしたり、最悪の場合は命を落とすケースもあるから、注意が必要だ。

■「脱水」と「血圧」に注意
「心臓トラブルを起こす原因のひとつが『脱水』です。サウナでは長時間にわたって大量の汗をかくため、脱水状態になりやすい。そうなると、血液が濃くなっていわゆるドロドロの状態になり、血栓がつくられやすくなることで心筋梗塞や脳梗塞につながるのです。高血圧症や糖尿病などの生活習慣病を抱えていて、動脈硬化が進んでいる人ではさらにリスクが高くなります」

 サウナで生じやすい「血圧の急激な上下動」も心臓トラブルにつながる。サウナに入ると最初は体が温まって血管が広がり血圧も下がるが、熱さにより徐々に血管が縮まってくる。その状態でサウナから上がり、そのまま水風呂につかると、血管がさらに収縮して急激に血圧が上昇する。そして、水風呂から出ると今度は血圧が下がってくる。短時間で急激な血圧の上下動を繰り返すため、心臓や血管に負担がかかり、心筋梗塞、大動脈解離、不整脈、脳卒中といった命に関わる疾患を引き起こすリスクが高くなる。

「自律神経の乱れも血圧の大幅な上下動に関係します。サウナに入って徐々に体が温まると、深部体温が緩やかに上昇して副交感神経が働き、血管が拡張して血圧は下がります。その後、体が『熱い』と感じ始めると、熱さに順応するために交感神経が優位になり血管が収縮します。血管の収縮と心拍数が増加することにより血圧が上がるのです。さらに水風呂に移動すると、冷たさに順応するために交感神経は優位なままですが、血管が収縮しているため血液は体内の中心に集まります。そのまま水風呂から上がって休憩すると、副交感神経が優位になって血管が拡張し、血圧が急激に下がるのです」

 若くて健康な人であれば問題ないが、高齢者、高血圧や高血糖などの生活習慣病のため動脈硬化がある人、心臓病の既往や心臓血管病の持病がある人は、サウナに入るなら注意した方がいい。

「該当する人は、①サウナに入る前と入った後にしっかり水分補給して、②水風呂にはなるべく入らない。③いきなりサウナ室に入るのではなく、まずお湯につかって体を熱さに慣らし、④サウナ室では最初は温度の低い下段に座るといいでしょう。⑤1回の時間は100度なら5分、80度なら10分、50度なら30分程度を目安にしてください」

 また、40代以降で不安なくサウナを利用したい人は、事前に自分の生活習慣病の有無を知り健康状態を把握しておきたい。脳・心臓血管ドックで精密検査を一度は受けて、動脈硬化の程度や脳・心臓血管病の有無をチェックする。もしも問題が見つかった場合、サウナに入りたいなら医師に相談すればいい。

 健康のためのサウナで命を失わないようにしたい。

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