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入院するときに、持っていったのがこの本です。
「介護はつらいよ」(文庫版) 大島一洋著
別の小説2冊を事前に用意していたんですが、店頭の新刊コーナーに並んでいるのを見て、興味のあるテーマでもあり、即買いしました。
裏表紙の紹介文
「2006年、出版社を定年退職した63歳の著者は、93歳と88歳の父母を介護するために、東京に妻子を残して単身田舎へ帰ることにした。08年、母、死す。一二年、父、老人ホームに入居。一三年、父、満百歳を迎える。文庫化にあたって、15年3月、父が101歳と6か月で天寿を全うするまでを増補。著者は、若き日の不倫を隠さず、介護のかたわらAVを楽しみ酒も飲む。そして、裸で現実に立ち向かう。男ひとりで奮闘した、壮絶だけどなぜか明るい介護実録。その上、施設への入居費から葬儀料金までを詳細に紹介。実用書としても役立つこと受け合い。」
著者は、「ダカーポ」編集部、「平凡パンチ」副編集長、「鳩よ!」編集長を勤めた方で、お父さん、弟さんともに有名な歌人らしい。
この文庫本は、単行本発行時には、まだご存命だったお父さんが亡くなるまでを追録している。
良いところ
①読みやすい。(一気に読める。)
かなり遅読の私が早く読めた。もちろん、元編集者だからの文章でもあるから、当然か。
②内容とは裏腹に悲壮感がない。
著者はヤクザな家業出身だが(実際にそう言うところもあったよう)、進んで介護を引き受け、表現や両親に対するまなざしがやさしく感じる。
七転八倒の展開もあり、おそらく実際はかなり大変な状況であったことを察するが、感情的に荒ぶることなく、ある意味淡々と進んでいく書きぶりが著者の人柄も表している様に思う。
③役に立つところがある
排泄物の処理や、施設への入所までの経過など、介護の状況が詳細に書かれており、想像もしていなかったことや、知っていれば役に立つ可能性もあることが結構書かれている。
ただし、著名な一家でそれなりに財産もあったように思えるし、お父さんは教員で、(おそらく現在の状況と異なり)退職金、年金ともに高い水準だったのではないかと考えるが、そのためか結構お金を使う場面が多いので、経済状況により同様のサービス等は受けられない可能性がある。
介護は、今の日本で、誰もが抱える可能性のある最も難しい問題の1つかも知れない。
残念ながら、今の制度や今後の国の方針では、厳しい局面ばかりが想像され憂鬱な気分になる。
著者のように、対応できるかどうかは人や状況によりけりではあるが、少なくとも私はこの本を読んで、(実際は大変だとわかった上で)少しではあるが気持ちが前向きになれた。