「見て見て!遥架、カチュア、ムーアちゃんこの子、こんなに元気になったよ!」
「ピューイ!ピューイ!」
その数分後、意識を回復させたスライムとリュリュは部屋の中で無邪気に遊んでいた。
「あのスライム元気になって良かった…でもつまり、あの子の来た場所を探すには私達が別の世界に行かなくちゃいけないって事?」
「そうだ、だが、この狭間の世界はこの世に存在する無数の数の世界から夢や思念が集まって出来ている場所である為、普通に探すには
星の数ほど無数にある世界を片っ端から探さねばならぬだろうな」
リュリュ達が和やかにしている中、カチュア達はムーアとスライムの故郷の事について真剣に話し合っていた。
「じゃあ、一体どうしたら良いんだ?適当にやっても駄目なら他に方法とかあるのか?」
「そう案ずるな、完全に無理と言った訳ではない、既にこの件について詳しい知識を持つ部下を今から此処に呼ぶ」
そう言ってムーアは意味ありげな笑みを浮かべると椅子を立ち、部屋の中心に立つと何か小声で呪文を呟き始めた。
「‥きゃあっ!?」
「っ!これは、召喚魔法か?‥」
その途端、急に部屋の中全体に強い突風が吹き初め
カチュア達の目の前に部屋全体を包む程の大きさの魔方陣が出現した。
「‥さあ来い!忠実なる私の右腕よ!!」
そう言ってムーアが声を荒げた瞬間
目の前の魔方陣が強く輝き、まるで雷が落ちた様な強い衝撃が走り
部屋に居たムーア以外の皆は咄嗟に自分達の目を庇った。
「‥やっと収まったか…」
そして暫くして光が収まり、それぞれが目を開いてみると
「魔王様、只今到着致しました!」
先程、魔方陣があった場所には巨大な穴が開き、その中心に
手に大きな黒いトランクケースを持ち眼鏡を掛けた一人の少女が立っていた。