僕は友達が少ないの星菜と夜空の小説
夜空が可愛そうな目に遭うのでそんな感じの展開が 嫌いな方は少々ご注意下さい
ある日の休み時間の事、ガラの悪そうな女子生徒数人が
校舎の裏でグチグチと一人の人物に対する文句を呟いていた。
「…このクラスの女子で一人、凄いムカつく奴が居るよね」
「たしか、三日月夜空とか言う名前だっけ?アイツ」
「この前、トイレでヤニ吸ってたらアイツにそれをチクられて酷い目に遭ったよね」
「そうそう、だからあのアマに一発痛い目にあって貰いたいよね」
「だ・か・らね‥」
ゴサゴサ…
「このお腹の調子が良くなるお薬を用意してみましたw」
「ああwこれをあいつの飲み物に混ぜて食べた物を
全部吐かせてあげましょうって魂胆ね、面白いーw」
「うはwアンタ達ってばマジ悪党ーw」
「じゃあ、早速アイツの机の所に向かおうぜw」
ドタドタドタ…
「これがアイツの机ね」
「そしてこれが奴が飲む飲料を入れてるボトルに
これを入れてっと‥」
サー…ガバッ!
「あ、やばっw淹れすぎちゃったw」
「うわっwアタシしらねw」
「ほっとけば良いって、それよりさっさと退散してアイツが
もがき苦しむ様を見学させて貰うといたしましょうw」
そして、夜空を憎む女子生徒のグループはそのまま姿を消した。
(…っ!、お腹が痛い‥)
その日の昼休み、教室で一人で読書をしていた夜空は
急に腹に強い痛みを感じ、読んでいた本を机から床に落としてしまった。
(もう少しで授業も始まるし、我慢出来たら良いが…)
夜空は初め、それは一時的な腹痛かと思い、何とか我慢していたが
その腹痛は段々と酷くなり仕方なく夜空は担任に気分が悪いので
保健室に行くと伝え教室を出た。
(ぐっ‥これは保健室よりも前にトイレに行った方が良いかもしれないな…)
教室を出る時、担任は付き添いの生徒を一緒に
付いて行かせようとしたがプライドが高く人見知りな彼女は
それを拒み一人で保健室へと向かった。
(‥よし、この階段を二階下りれば保健室だ…っあぐ!?)
フラフラとした足取りでようやく保健室のある階段まで来た時
彼女の腹に今までに無い激痛が走ったと同時に体の中から胃液が一気に逆流してくる感覚がして
夜空は腹と口を押さえながらその場に屈みこんだ。
(っ‥さっきよりずっとお腹が痛い…それに今度は吐き気まで‥何も変な物食べた覚えもないのに‥
何故こんな事に…)
気が付くと後、数分で昼休みが終わる時刻で
生徒は殆ど教室に帰ってしまっていて誰かに助けを求めようにも
それも叶わない状態であった。
(誰か助けて、小鷹…)
朦朧とする意識の中、夜空は涙を浮かべ
無意識の内に心の中で幼馴染の名前を呼んでいた。
コツ、コツ、コツ‥
(!‥上から誰か‥来る…)
その時、下から誰かが階段を下ってくる音が聞こえてきて
夜空は力を振り絞って階段の上を見上げた。
「‥あれ?夜空じゃない、どうしたの?そんな所で」
(っ!?‥肉…)
夜空が上を見上げると其処には彼女と同じ部活の仲間であり
口喧嘩の相手でもある、柏崎星奈が立っていた。
「ケイト先生に授業で使う教材を運ぶのを手伝ってくれって
頼まれちゃってさ、今頃になって解放されて授業に向かう所なのよ
まあ、此処でアンタと会うのは予想外だったけど」
星菜は普段通り一方的に自分が何故こんな時間に
この場所を通ったか訳を説明すると、嬉しそうな顔で夜空にじゃれ付いてきた。
「ほら、早くしないと次の授業始まっちゃうわよ普段は口が悪い
アンタも授業をサボるほど不良じゃないでしょ‥夜空?」
そう言って星菜は夜空の手を取って教室の方に向かおうとしたが
其処で普段なら彼女を罵倒している夜空が何も言わず大人しくしていて
何か様子がおかしい事に気付いた星菜はハッと彼女の顔を覗き込んだ。
「夜空、もしかして調子悪いの?顔が真っ青よ…」
「ああ‥昼休み頃から急に吐き気がして、腹が裂けそうに痛いんだ…」
夜空からはっきりと病状を聴き星菜は思わず声を上げた。
「‥それって大変じゃない!担任はその事知ってるの!?」
「…いや、保健室に行くとだけは伝えてあるが‥こんなに気分が
悪くなるなんて思ってもいなくて」
普段の強気な態度から一転目に涙を滲ませながら
そう言って自分に語る夜空の姿を見た星菜は何かを決心した
表情で頷き顔を上げると
「分かった、私が保健室まで連れて行ってあげるから、ほら肩貸して」
そう言って星菜は彼女の手を取り、腕を自分の方に掛けた
「‥済まない、肉…」
「良いのよ気にしなくて、それじゃ行こうかしら」
今、自分が登ってきたばかりの階段を夜空と二人で下り始めた。