最後に投稿してから相当期間が経過してしまいました。前回までは株式投資のスタンスとして,主に投資信託にまつわることを書いてきたつもりです。冷静に考えれば投資信託に問題があることはもともとわかっていたはずですが,日本銀行の資金循環統計が間違っていたと騒いでみたところで,投資信託残高が増加することは無いでしょう。
日本銀行のゼロ金利政策によって銀行の本業であるはずの融資から得る収益の源泉を絶たれてしまったことが原因で,銀行は証券販売によるおいしい手数料収益の獲得に手を染めるようになりました。そうして,個人取引先を相手に詐欺まがいの行為を繰り返してきた結果,それが社会問題として認識され始めているわけです。極めつけは,資金循環統計にはあたかも投資信託残高が増加していたとする事実とは全く異なる記載がされていました。
日本の金融業界では頂点から麓まで自分たちの都合を優先させるためにウソと詐欺が横行し,個人の金融資産を踏みにじってきたことになります。ひと昔前の大蔵省(現在の財務省)と日本銀行の考え方として「銀行と保険会社は優等生だが,証券会社は金融業界の暴れん坊」というのがありました。しかし,その実態は親分の日本銀行と子分の市中銀行は犯罪者と呼んでも過言ではないほどですから,われわれはこのことをよく認識しておかなければならないのです。
さて,今回はこんなことを書きたかったわけではありません。焦点は,投資信託から株式にかわります。
最初に「いったい何才くらいから株式投資を始めるのが理想なのか」というところから話を始めたいと思います。しばしば指摘されるのは「なるべく若いときから株式投資を始めたほうが失敗してもやり直しがきく」というものです。本当にそうでしょうか?
確かに若いときから始めれば経験を積むことができます。ですけれども,学校を卒業して間もないころはまだ収入も少なく,生活に余力が少ない事の方が多いはずです。わかり易く言うと「お金は無いが時間はある」状態です。社会人としての経験を重ねていくうちにだんだんと生活余力が出てくるはずですが,そのうち「お金と時間が反比例の関係にある」ことが分かってきます。年を取ってくると「お金はあるが時間が無い」状態になります。最初から「お金も時間も両方ある」人は特殊な人か,あるいは何か他の要因でお金が手に入った人と考えたほうがよいでしょう。決して誰もがそうではないのです。
そうすると「若いときは失敗しても何度でもやり直す時間はある。しかし,やり直すお金は無い。」「年を取ってからでは失敗してもやり直す時間は無い。しかし,やり直すお金はある。」と言った方がより正確です。ですけれども,手許のお金全部を一度に投資しないでその半分だけ投資すると考えると,少し事情が変わってきます。
若いときは「失敗してもやり直せるように半分だけ投資」すればよいのです。一方,年を取ってから失敗して「収入が無いのに生活資金が無い」状態は避けなければなりません。やはり「半分だけ投資」することで,失敗しても生活に困ることが無いようにリスクを減らすべきなのです。もし,資産の範囲内で生活できるなら,わざわざ危険を冒してまで株式投資する必要はどこにもないはずです。
(続く)