悲しみは突然に

(「忘れられない電話」の続き…)

父からの

「大変なことが起こったよ！」

この声のトーン、響き…

きっと一生私は忘れられないだろう。

「大変なこと」

私はそれがまさか、弟のことだとは微塵も思わなかった。

………………

「わたるが死んだ！」

ま…ま…ま…ま…ま・さ・か！！！！！

いったい何が起こっているのか、

これは現実なのか、夢なのか

幻なのか、頭はなにも働かない

なにも理解しようとしない。

父の声は冷静で(そう聞こえただけだろう)

「今、警察が来て、検死してるところだよ」

と…

「もし、死因がわからなかった場合

死亡解剖するかどうか、家族で話し合ってくれということだが…どう思う？」

ちょっと待って！

それどころじゃないよ、死んだって

なに？どういうこと！？

私は絶対そんなの認めない！

理解しない！わからない！

聞きたくない！信じない！

鼓動が激しい。こんなの初めて。

気持ちの持って行き場がない。

自分が生きているかどうかさえ

怪しいくらい。

それでも私は間違いなく生きてる

息してるし、感情もある

かなり、ボーッとしてるけど…

それでも、耳も聞こえ、目も見える

わたるは…

もうそれも出来ないの？

本当に…う・ご・か・な・い・の？

(続く…)

忘れられない電話

見慣れない相手からの電話…

それは、親戚のお姉さんでした。

前に仕事頼まれたことあったなぁ…

あの時、なぜかサラッと断っちゃったなぁ。

どうしよう…気まずい

…と考えていたら、今度は父から電話。

「こんにちは😊お父さん」

「あぁ…」

聞き慣れた声だ。

しかし、その後

「大変なことが起こったよ！」

「えぇ…!?大変なことってなに？」

「お母さんに何かあった？」

最近、認知症が徐々に進行しつつある母のことを私はとても心配していたから。

「いやっ」

「◯◯◯◯◯」

「えぇ〜⁉どうして…⁉」

私は一瞬でパニクった。

(続く)