チャチャは公園に戻っても
元気がありません。
とても気になります。
「どうしたの？」
と、たくちゃんは聞いてみました。
「あのね・・・思い出すんだ。陸ちゃんの事」
「陸ちゃんって？」
「ぼくがいつも一緒にいた男の子」
「その子はどうしたの？」
「・・・」
「逢えないの？」
「うん。遠くへ行った・・・」
その子は陸ちゃんという
小学三年生の男の子でした。
チャチャはこの陸ちゃんのお家で
暮らしていたのです。
チャチャと陸ちゃんはとても仲良くて
寝るときも遊ぶ時もいつも一緒でした。
ある年のクリスマス。
陸ちゃんはお小遣いで
プレゼントを買ってくれました。
「チャチャが寝る時に使ってね」と言って
渡してくれたのが
今はあのダンボール箱の中にある
タオルだったのです。
チャチャの一番のお気に入りです。
でも、お父さんのお仕事の都合で
引越しをしなければならなくなった陸ちゃんは
チャチャが寂しくないようにと
あのタオルを残していったのです。
そうです。
あそこは陸ちゃんとチャチャが住んでいた
お家だったのです。
そうしてこの公園は
いつも陸ちゃんと遊んでいた
楽しい思い出の場所です。
今は別の人が住んでいますが
ガレージだけは開けたままで
あの箱を置かせてもらっているのでした。
それは、陸ちゃんが街を離れる日
お父さんにお願いしたのです。
「このタオルだけは捨てないで！
チャチャが寂しくなるから。
ね、お父さん、お願い！」
陸ちゃんの気持ちがよく解るお父さんは
そのタオルを入れる箱を見つけて
新しく住む人に頼んでくれたのです。
そうして今もチャチャは
眠る時になると
あの箱の中に入るのでした。
陸ちゃんと一緒にいるような気がします。
