5分?10分?
待ちわびるたくとはなの耳に届いたもの・・・
それは
タッタッタッタッ!
タッタッタッタッ!
足音!
誰かの走る足音でした。
それはどんどんふたりに近づいてきます。
「あっ!お兄さんだ!」
「お兄さんだ!」
たくとはなはこんなに興奮した事はありません。
「遅くなってごめんね。」
お兄さんは少し苦しそうにハァハァ云いながら
「この子かい?」
と言ってダンボール箱の中のチャチャを見ました。
「だいぶ弱ってるな」
「すぐに病院へ行こう」
お兄さんは箱を抱えました。
「大丈夫。すぐ元気になるよ」
「遅くなるかもしれないから
キミ達は帰りなさい。
明日ここで会おう」
見上げるふたりの頭を撫でて
お兄さんは車に乗りました。
チャチャを乗せた車が走ります。
たくとはなの前を通り、角を曲がって
見えなくなって行きました。
「チャチャ・・・きっと帰って来てね・・・」