10-地震とお彼岸。
先週、大きな地震があった。
飛び起きて襖をあけ、ベッドに寝ているハハを抱いて
収まるのを待っていた。
東日本大震災を思わせる大きな揺れ・・・
家が壊れるのでは、という不安に襲われながら
平静を装い、じっとしていた。
二度の大きな揺れが収まったあと、
「トイレに行く」とハハが動いた。
まもなく、「あらら~~~」と声がして
行ってみると、グラスに入れた消臭ビーズが床に散乱。
「そのままで。片付けますから。」と声をかけてから
リビングのテレビをつけ、情報を確認。
震度6弱。
トイレを片付けていたら、携帯に友人から電話があった。
「もしもし?だいじょうぶ~~ぅ?」
普段はもっぱらLINEで、滅多に電話は来ない人。
友人たちの中でも比較的近くに住んでいて
ワタシに頼れる人がいないことをわかってて
心配してくれたのだろうか、と思うと
とてもありがたく
嬉しくて涙が出そうになった。
ピーピーピー、という音は開きっぱなしの冷蔵庫だった。
作り付けの食器棚は自動ロックがかかって開かないが
冷蔵庫は前回の大きな地震でも、扉が開いてこうなったっけ。。
ふと、誰もいない実家が頭をよぎる。
物が落ちて割れたりしても、
今度行った時に片付ければよいだけだが
もしこうして冷蔵庫が開いて、警告音が鳴りっぱなしだとしたら?
先週、お彼岸のことが気になって仕方がないハハに
「雪があってお墓までは行けないだろうから、
墓掃除は19日の土曜にお参りがてらで良いんじゃないか」と
夫から提案があって
いつもなら、お彼岸の入り(18日)の前には
どこよりも早く掃除をして花を供えたいハハも納得していた。
70代、運転に自信がなくなったT市の叔母が
墓参りに行きたいと言うの、とハハに言われて
叔母の家も回って実家に連れて行く、ことになっていた。
「S(夫)がいる時に」
ワタシを気遣っての言葉とわかってはいるが
去年までは言わなかったじゃない。
夫が来れない日でも平気で呼び出しが来たし、
お彼岸や命日のことは平日にワタシが一人で行って
なんでもやっていたのに、どうしてこの頃はそう言うの?
(・・・まあ、使えないヨメだと思わせておくのはラクで良い)
朝、実家から30分ほどのところに住む
ハハの姪のF美さんから電話があって
お彼岸の予定を聞かれたので、19日に行くつもりだと話すと
「ああ、そう。・・・んじゃ、私、明日にでも行って
お墓参りしてくるから。」という返事。
F美さんもハハと同じY田家の血筋か。
お彼岸の入りには行かないと、という考えが伝わってきた。
ワクチンが3時からだから、その前に行く、とのこと。
ん~~~~~~
Y田家のお墓でもないのに、ありがたいことだけど
当家のヨメとして、ワタシはそれでいいのか?
夫は新幹線が復旧するまで当分来られないとなると
19日じゃなくても良い話。
中日も、お帰りの日も、ワタシが行かなくては。
地震のことで、あちこちの親戚や実家の近所の人から
ハハに電話があった。
「行ってみたいんだけどね、るかさんも忙しいし・・・」
トカナントカ話しているのを聞くと
ワタシのせいかいっ!とだんだん投げやりな気持ちになってきて
「家も気になるし、
叔母さんに電話してもし予定が大丈夫なら、今日行きましょう。」
と、急きょ決意し、10時過ぎに家を出た。
実家までは片道2時間。
叔母の家を回ると3時間かかる。
高速は地震で通行止め、一般道で行くしかない。
お天気は良いし、ドライブ日和。
出かけてから思ったが、
散乱した家の中を優先すべきだったかな?
こういう時のワタシは「ダメな人」。
早く片付けなくちゃ、というよりも
ハハの機嫌とお墓参りの方が気になる。
往復6時間の運転。
花を買って、お墓掃除とお墓参り。
相当疲れた。
ハハが何度も「大丈夫?疲れたんでないの」と言うが
気遣いの言葉と受け取れない。
それを言ってどうなるの?事態は変わんないのに。
「ハイ、疲れました」と言うのも癪だし
「そんなことないですよ」と言わせたいのか?
叔母は何度も、「疲れたでしょう、ごめんなさいね」と言ってくれた。
ハハの「疲れたんでないの」と言う言葉は
ごめんなさいでも労いでもなく、どこか冷たく響く。
ありがとう、とかそういう意味が
含まれていると察すればいいのだろうか。
とにかく、ワタシの仕事は済ませたからね、と
自分が納得しただけの、お彼岸の入り。
それでもご先祖様にお参り出来てよかった。
どうか、私たちを見守ってください。
・・・次回に続く。