・・・だから、久しぶりのアカペラ練習にも
義母を連れて行くつもりでいた、し
きっとついてくると思っていたのに
その日は、前日から始めた、フクザツなかぎ針編みを
何度やっても理解出来ずに間違って、
根気よくヨメに教わりながら、
もういい加減、自分でも嫌になっていた、こともあって
「行かない」と・・・。
「帰り、暗くなると思うし、そしたらおばあちゃんまた
寂しくなっちゃうから。」と説得したが
「いいから、待ってるから。」
・・・せっかく、向こうで時間をつぶせるようにと
毛糸を買いに行って備えていたのに。
(こんな難しいの編まなくても、と思うのだが
あきらめず、どうしてもこの、私と同じセーターを編むらしい)
「また電話くるから~」
「電話、しない」
そうですか。
それじゃあ、と、義母を置いて出掛けた。
五時半くらいになります、と少し長めに言っておいて
片付けもそこそこに急いで帰ってきたら、
リビングのテレビがついていて、灯りは消えている。
あれっ、電気の点け方、忘れたのかな?と、部屋に入ると
・・・・こたつにすっぽり入って、義母が寝ていた。
起きあがるのが痛くて大変だから、と
今までは、昼間は絶対に横にならなかったのに、、、、
ダイジョウブ??
「あれ、早かったねぇ」と、気が付いて起きる義母。
えっ?・・・こんなスムーズに、起きられるんじゃん!
びっくり。
「30分くらいウトウトした」と、
今日編んだところを見せてくれた。
「またわからなくなって・・・」
それから、いつも以上に丁寧に、編み物を教えた。
左の穴に長編み、鎖一目、右に戻って長編み・・・と
延々とガイドしてあげれば、編み進められる。
「あー、なるほどね、こうなるの」
「調子出てきましたね!」
などと、仲良しモードになったところで
夫を迎えに行く時間。
「そろそろSさん(夫)を迎えに行かないと」
「ああ、そう、じゃあ気を付けてね」と
編み物から目をそらさず義母が言った。
・・・今日は一緒に行かないのか?
調子出てきたからね、中断したら忘れちゃうから。
内心しめしめ、なんて思いながら、一人で出かけた。
(・・・続く)