細かな傷など些細な点は気にせずに磨いてみた。
元々の駒師の磨きと面取りが、作者が駒木地に対するベストとして施している。
セカンドユーザーかサードユーザーの方からの依頼である。
その駒の磨き直しである。
既に一度下手な磨きが施されて使い込まれた駒の、サードユーザーの様に思われる。
幅広い面や長い辺は傾きに対して寛容性が有る。
しかし短い辺や、狭い面を磨くのは高い精度のバランス感覚が求められる。
残り四枚の時に証拠写真を撮影する。
傾いた面取りは修正して真っ直ぐにする。
全体的に斜めにバラバラにぶれていた面取りを一定にする。
短い辺の面取りは傾き易くて、駒師の技量が問われる部分だろうけど、雑な面取りは素人の磨きか未熟な駒師さんなのだろうか。
左は既に磨いて整えてあるが、全体が揃うと駒を並べた時に、見え方が綺麗になって、格段に品格がアップします。
駒尻の面取りは指し味に大きく影響するが、肩落としではなく一般的な仕上げで、磨きと面取りで二組を仕上げました。
既にひと組は本砥ぎ仕上カスタマイズ作品として、肩落とし面取りと光沢と艶感のある磨きで仕上げを終えている。
御蔵島黄楊と思われる綺麗な色味の駒である。
若干だが薩摩黄楊に比べると柔らかくて、彫りの練習には向いているらしい。
細かな傷が付くのは止む負えないが、磨いて多少は傷が目立たなくなる。
強く爪が当たって深い傷になっている部分は、磨いても傷が光って残っている。
強く盤の星に当てたのか駒同志が押し合ったのか、かなり窪んだ凹みや、痩せた秋目の維管束が落ち込んでいる。
もう少しだけ極細目で磨き直すしかない。
少し汚れている表面に極細目で軽く磨きを入れて磨き直して行く。
先に完成画像が見えているが、とりあえず途中経過も記録する為に画像を残しておく事にした。
細目の磨きの後にイボタ蝋で磨く際に、指紋の付着を防ぐ為に、漆塗りで使用する柔らかいプラスチック手袋を用いている。
実は最近になって漸くイボタ蝋の二回目の磨きが、手袋を付けると圧倒的に綺麗な仕上がりになる事に気が付いた。
指紋の跡がついていたイボタ蝋磨きが、指紋の跡が残らない。
対局に使用する駒なので若干の期間でも、艶感を保ち汚れ防止になればと、イボタ蝋で磨いているのだが、光沢感は既に磨いた時にその細目の磨き目で決まっている。
イボタ蝋で磨いて少し艶感が出るが、一時的な気休めで使い始めた。
表面に乗っている蝋は落ちるので車のワックスの様に一時的な艶なのだろう。
開封して駒を見たお客様が、艶感があった方がより綺麗に磨かれた駒を受取り感動する度合いが違うだろう。
手袋をして駒を持つ人は居ない。
駒には手汗手脂と呼ぶ指紋が必ず付着するから、少しの期間だけでも艶感がある汚れとは無縁な駒を指して欲しい。
使い込んで行くなら手汗手脂が駒に乗って、それぞれの色に染まって行くのである。
自分色に染まるのは、その駒がパートナーの様に阿吽の呼吸で応える自陣の兵なのであろう。
阿吽の呼吸で応えない (T . T)
そんなパートナーは仕方が無いけど。
笑🤣
もの言わぬ駒は自らの指し手の、兵としてパートナーであり、将棋の指し手は自らの責任である。
まぁ結論として、肩落とし面取りと磨かれた駒は、柔らかくて優しいタッチで、軽い所作で気持ち良い指し味なのである。
一度使ったら市販品の駒とは違う、そんな指し味を感じる。
コマーシャル😀笑
磨き上げられた将棋駒は眼に良し、指して良し、集めて良し⁉️
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