救 心 庵

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自らの心を救うための記録

認知症とのつきあい方 2 徘徊編

2019-08-28 21:52:19 | 介護
認知症で、かつ徘徊する家族を抱えていると、神経の安まる時がない。
認知症かどうか遠隔地に住む家族には分からないという段階では、むしろこちらの方がキョドってしまう。
この不明な段階では、免許証を持っていて、車の運転もしてしまうとなると、警察からの突然の呼び出しにも否応なく出向かざるを得ない。
まぁ、歩きであっても徘徊中はハイになり、どこまででも歩いて行ける気分になるという。

うちの場合、山村で一人暮らししていた義父は、生活の為に車を所持していたが、ある時、夜中に警察から電話が来て保護しているので迎えに来てくださいと言われた。
翌日も仕事だが、否応なしだった。
5時間ほどかかって迎えに行った先は、義父の居住地の隣県。
何故そこに行ったのかと思っていたが、本人は迷ったと言っていた。

自宅に戻してから翌日、脳の検査やら、介護保険の手続きをする為に、ケアマネさんや、保健師さんが入った。
でも気楽な一人暮らしをしてきた老人は、他人が生活に介入する事を嫌い、全く受け入れない。
ちょっと道に迷い、帰れなくなっただけだと思っているようだった。

それから少しして、夜明けごろ、また別の警察から電話が来た。
車の中で寝ていた所を保護したので、迎えに来てくださいと言う。
え⁉︎、また?となる。
前回に、車を引き取らなければならないと学習したので、今度は電車を乗り継ぎ、迎えに行く。
またもや隣県まで行き、帰れなくなったらしい。

自宅に帰らせ、再びケアマネさん達と協議し、夕食を毎日届けたり、病院やお買い物にヘルパーさんを利用してもらうよう、説得するが、やはり本人は嫌がっている。

なだめすかしながら、ヘルパーさんの関わる日常生活を過ごしていたが、あちこちで知り合いの村民が歩いているところを目撃し、連れ帰ってくれていると聞き及ぶ。
そうしているうちに、車での自損事故。
他人様に怪我をさせてしまわないうちに、車を処分することとした。
本人にも納得してもらうのが大変だったが、事故の件があったので、観念した様子。

のちに、これで遠くまで行く事はないと、タカをくくっていたと思い知ることとなる。
数か月後、どうも自宅に戻れていないようだと、夕食のお弁当を届けてくれる人からの情報で、警察が出動するも、発見に至らない。
これ以上見つからなければ、いよいよ山狩りだという、その夕方、ようやく見つかった。

これまで見かけた時に連れ帰ってくれたり、捜索してくれた方々にお礼して回ったり、本当に神経がすり減る思いをしたので、ついに引き取る事にした。

思うようにならないと暴れるので、分からないように連れ出し、引き取ったものの、連日家に帰ると大騒ぎし、荷物をまとめ、家を出ようとする。
私は聞き流す事ができず、まともに相手をしているうちに、すっかり疲れ果ててしまい、少し壊れかけている事に気づいた夫がデイサービスを利用するよう手続きしてくれたので、それ以上酷くならずに済んだ。

ところが、疲れて夜寝るように、週5日、デイサービスを利用する事になり、その手続きをする日、家から出た事に気が付かず、行方不明になった。
警察に届けると行方不明者の放送をしているが、休みの日だと放送してくれないのだと、この時知る事となる。
ケアマネさんが言うには、とにかく驚くほどの体力で歩き続ける場合が多いという。
知人も土地勘もない場所での徘徊、本人はどういう意識で歩き続けるのか、住所などを書いてある洋服も歩いているうちに暑くなると脱ぎ捨ててしまうそうだ。

半日と少し経過した頃、幸い、どうもおかしいと気づいた方が警察に届けてくれたので、見つかったけれど、とんでもない距離を歩いて移動していた。
のちにこの届けてくださった方のところにお礼に行ったが、その方も移動距離に驚いていた。

知人の親ごさんも徘徊で夜中の呼び出しは、しょっちゅうだったが、 すぐに迎えに、というのが、何とかならないものかと、心から思う。
車があるからなのか、無い場合、タクシーででも迎えに行かなければならないのか。
ゾッとする。

認知症とのつきあい方 1

2019-08-28 16:18:56 | 介護
先日、従姉妹の新築祝いの席で、約半年ぶりに母方の伯母に会った。
認知症が進みながらも、私のことを覚えていてくれてるのが嬉しい。
伯母は妹である私の母の葬儀にも来ているのだけれど、
「今日は、どうして来ないの?」と言うので、
「死んじゃったから:来れないんだよ」と返事をしたら、
「どうしてそんなウソ言うの?」と泣き出した。
従姉妹が、「おばちゃん、お葬式にも行ったんだよ」と言うと、
「しらない、行ってないわよ」と本気で泣いている。

私は、「今日はお買い物行ってるから、来れないの」と話をそらし、
「いつも値段見ないで買っちゃうから、困っちゃうのよ」と続けた。

伯母は、「そうなの、あの人、全然気にしないのよね」と言い、
「そんなの後にして、来れば良かったのに、せっかくなんだから。」
泣いてた事を忘れたかのように、「この次は一緒に来てね」と続けた。

長女なだけに、弟や妹が自分より先に亡くなる事を受け入れられないのかもしれない。
ともかく、伯母の心の中には、まだ母が生きている。
これから先もずっと伯母には「母は用事で来られない」ということにしておこうと思った。