ところで、
皆さんは「天使に翼はつきもの」だと思ってませんか?
前回の第6回、絵画展での『女天使』の展示において
も、すべての天使たちには翼がありました。
しかしながら、実際には、必ずしも、
天使に翼がついていたわけではなかったのが事実です。
いきなりの衝撃ですが、もともとの天使には翼などは
生えていなかったのです。
たとえば、
わりと有名な『旧約聖書』での逸話(エピソード)に、
「ヤコブのはしご」というくだりがあります。
「天使の梯子」www.osaka-wan.jp
西洋ではこの雲間から差し込む光の筋に対して天から
降ろされた梯子(はしご)を忙しなく行き交う天使たち
の姿に重ね合わせて「天使の梯子」と名づけました。
別名 「ヤコブの梯子」ともいいますが、 その由来は
は『旧約聖書』に出てくるヤコブの夢からきています。
『ヤコブの夢』ウィリアム・ブレイク画
そして、巷では、
雲の隙間から光が差し込む様子を「ヤコブのはしご」と
呼んで重宝がったりもします。
「ヤコブのはしご」雲間から地上に降りる光の帯 ・・・
この逸話はヤコブが旅の途中で野宿した際に、天使が
天に届くはしごを上り下りする夢を見る、という他愛も
ないものです。
さて、
この「天使の梯子」という呼び名は『旧約聖書』から
きていると言いましたが、
ヤコブの夢(ヤコブの梯子)フィリップ・リチャード・モリス画
何か、エスカレーターで上下しているようにも見える
天使たちの背中には翼が生えていますよね。
翼があるなら「梯子など使わずに空を飛べよ」と言い
たくもなりますが、上空は空気が薄く飛びにくいのかも
しれませんね。
ということで、
他愛のない話ですが、知っておいた方がいいと思える
エピソードなので、ザッと見て行こうと思います。
イスラエルの父祖アブラハムの息子イサクと妻リベカ
に、エサウとヤコブという双子が生まれます。
だけど、双子のくせして、二人は全然似ていません。
今風に言えば、兄エサウはアウトドア派、弟ヤコブは
インドア派でしょうか!?
しかも、長子相続が掟のなかで、弟ヤコブは兄エサウ
を騙し、跡継ぎの権利も、父イサクの祝福も欺し取って
しまうのです。
跡継ぎの権利(長子権)を奪ったのも、イサクの祝福
を欺し取ったことも、きっと訳アリの事情があったもの
と推測しますが、『旧約聖書』を読む限りでは経緯だけ
が記されていて、その事情説明はありません。
ちなみに、小生は、
単細胞で一本木すぎる性格のエサウが一族の長になる
のを憂いたヤコブが、汚い手を使ってでもエサウを追い
落とす必要性に駆られたためであったと推理しています。
なぜなら、母のリベカもそれを望んでいたし、父親の
イサクも実はすべてを承知の上で黙認したのではないか
と、そんな気がしてならないからです。
『聖書』の感想から一般的には、母リベカの言いなり
ながらもずる賢く狡猾な男であるという印象が否めない
ヤコブですが、一族の未来を担った英雄として描かれて
いるようです。
その辺りの経緯については、
を参照してみてください。
弟ヤコブが父イサクを欺して祝福を勝ち取ったことを
知らないエサウは意気揚々と狩りから帰ってきて、父親
であるイサクからの祝福を受けようとしますが、すでに
ヤコブを祝福してしまったイサクには、エサウに祝福を
与えることはできません。
祝福は、子孫の繁栄、土地の継承などの神との約束事
にあたるので、絶対に取り消せないし、ただの一度しか
できないイベントらしいのです。
まあ、それはともかくも、エサウは激怒して叫びます!
「ヤコブを殺す!」
ヤコブを偏愛していた母のリベカは、エサウの様子に
慌てて物陰にいたヤコブに囁きます。
ほとぼりが冷めるまで私の兄、叔父のラバンを頼って
私の故郷ハランに逃げなさい。
こうしてヤコブは逃げ出すわけですが、ここからが、
ヤコブの夢(ヤコブの梯子)の話になります。
母リベカの故郷へと逃げるヤコブは、その途中に荒野
で野宿しているときに、天まで届く階段の夢を見ます。
その階段(はしご)は地上と天をつなぐもので、天使
たちが上り下りしていました。
ヤコブの夢(ヤコブの梯子)ミヒャエル・ヴィルマン画
そしてヤコブは神の声を聞くのです。
神はヤコブに祝福を宣言します。
その内容を箇条書きにすると、
わたしは、あなたの父祖アブラハムの神、イサクの神、
つまり、ヤコブの主(神)であるとしたうえで ・・・
1、あなたの横たわっている土地をあなたとあなたの
子孫に与える。
2、あなたの子孫は大地の砂のように多くなり、東西
南北に広がる。
3、地上の氏族はあなたとあなたの子孫によって祝福
に入る。
4、わたしはあなたと共にいる。
5、どこへ行ってもあなたを守り、故郷へ連れ帰る。
6、この約束を果たすまで決してあなたを見捨てない。
ヤコブは眠りから覚めると、恐れおののき、枕にして
いた石を記念碑として立て、そこに油を注ぎ、その場所
をベテル(神の家)と名づけるわけです。
ベテル(神の家)の遺跡? 画像元:note.com
ヤコブが『創世記』にあるような狡猾なキャラクター
ならば、こうした神の祝福には疑問点しか残りません。
そういった意味からも、やはりヤコブは一族を助ける
ためにエサウを追い落としたんじゃないかと思います。
そして、神もそれを認めて祝福した、という風に理解
すれば、ヤコブの夢(ヤコブの梯子)の話も腑に落ちる
というものです。
もちろん、日本人的な文化における倫理観や価値判断
からすると、こうした神からの祝福には違和感を覚える
ことも事実なわけで、神の態度としてこの祝福はどうか
とは思うのですけどね!?
ちなみに、
Beitin, late 19th century, by Felix Bonfils
このベテルは、現代のBaytin(テルアビブと死海の間)
だと言われています。
さて、話を冒頭の天使の翼に戻すことにしましょう。
当初(初期キリスト教において)は、AD2世紀から
AD4世紀までの間、天使には翼がありませんでした。
それと言うのも、その時代のキリスト教はまだ新興の
宗教で、公には認められていなかったのです。
要するに、みんな、隠れキリシタンだったわけです。
それでは人々は、どういう神を崇めていたのかという
と、古代ギリシャ・ローマ神話に登場する神々です。
画像元:christianpure.com
それらの神の多くには翼がついていました。
たとえば、
愛の神エロス(クピド)=キューピッドとか ・・・
ええっ!
「天使とキューピッドって違うのか?」と思った方は
まず先にこちらの記事をお読みください。
そこで、キリスト教では、神のメッセンジャーである
天使は「古代ギリシャやローマの神々とは違う」という
ことを意識して主張しなければなりませんでした。
つまり、もしも、
天使に翼をつけたら古代ギリシャ・ローマ神話の神々
と混同されてしまうので、翼はつけないでおこうという
ことになったわけです。
しかしながら、
翼のない天使は、どう見ても人間にしか見えません。
それが大きな問題でした。
ところが、
4世紀後半から突如として天使たちが翼を持つように
なったのです。
ローマのサンタマリア・マッジョーレ大聖堂内のモザイク画
出典 Auteur inconnu, Public domain, via Wikimedia Commons
5世紀の初め頃の絵ですが、ちゃんと翼がついていて、
「天使」らしくなっていますよね。
どうして翼がついたのか?って ・・・
理由は、実に簡単です。
ローマ帝国において、キリスト教が公認されて国教に
なったからでした。
4世紀末に、古代ギリシャ・ローマの神々を追い抜き、
イエス・キリストが主役の座に就いたからです。
実は昔の人も、我々と大差ない考えをもっていました。
「天使に翼をつけないと、神の使者には見えない!」
という実に単純で素朴なモノの見方です。
なにせ、もう、
異教徒の神と間違われることなんて恐れなくてもいい。
だって、キリスト教が国教になったんだから!
そこで、
神の使者らしく天使には翼をつけることにしよう、と
いうわけで、晴れて天使に翼がつくことになったのです。
(めでたし、めでたし ・・・)
そのときに、天使の像のモデルのひとつになったのが、
古代ギリシャの勝利の女神ニケだと言われています。
ルーブルにあるサモトラケのニケ像
出典 Louvre Museum, Public domain, via Wikimedia Commons
「あなたが勝者ですよ」という神からのメッセージを
持って天から舞い降りてくる「勝利の女神ニケ」です。
天から舞い降りてくるので翼がついているわけですが、
神からのメッセージを持ってくる女神ニケから神の伝言
を携えた天使たちへとバトンが引き継がれたということ
になるのでしょうかねぇ?
ところで、宗教画などの影響なのか。
天使という存在に対して「純潔・無垢」といった印象
を抱いている人が多いように見受けられますが、率直に
言って、それは間違いです。
のオチの部分で、ペテロ爺さんが使徒ヨハネに対して
「天使に性別はないんじゃ!」、「まさか、お前さん」
「SEXするとでも?」という具合に問いかけています
が、簡潔に言って、小生には彼ら天使たちはセックスが
大好きなのでは?と思っています。
それでは、ここで問題です!
果たして「天使はセックスをするのでしょうか!?」
この「天使はSEXをするのか?」という問いに対し
ては、2つの回答が必要になります。
その理由は、天使には2種類の存在があるからです。
1つは、霊的な姿で霊界に存在している者たちです。
これは皆さんがイメージしている天使のことですね!
もう1種類は人間の体に肉体転生している天使たちの
存在です。
彼らの正体はスピリチュアル系の人々が言うところの
クリスタル・チルドレンと呼ばれる人たちのことです。
(クリスタル・チルドレンには妖精の転生者もいます)
いずれにしても、
どちらの天使たちもセックスは大好きです。
その根拠の一つが『旧約聖書』に登場するネフィリム
の存在で、彼らの生みの親は堕天使たちです。
画像元:shachilog.com
しかしながら、
ネフィリムの場合は、多分に人間的なSEXですが、
通常の天使たちのセックスは「神との合一」です。
人間の魂が霊界に戻った時に「神との合一」をする、
という話を聞いたことがある人がいるでしょう。
それが霊界におけるセックスである、と解されます。
こうした「神との合一」を、霊界にいる天使たちは
特に好みます。
天使たちは仕事がないときには、神とのセックスを
楽しんでいます。
それは天使たちにとって大いなる安らぎの時であり、
その時間が大好きです。
セックスと言っても、それは仔犬が親の懐で眠って
いるような感覚に近いもので、色々な体位やプレイが
あるわけではなく、包まれるぬくもりに浸って恍惚感
をエンジョイするわけです。
場合によっては、
神ではなく、お気に入りのアセンテッド・マスター
や大天使につながっていることもあるそうですよ。
やたらとしたがりの天使ばかりね!
ま、まさか、お前さん!
「おねだりしておらんか?」
「きゃ!やだぁ、バレてたの!?」
なんでやねん!
「って、おい、おい!」 う~む (^▽^;)(^^ゞ
なんだかなぁ!
繰り返しになりますが、
「天使の梯子」別名:ヤコブの梯子 x.com
太陽が雲に覆われ、雲の隙間から光が放射状に地上に降り注いで見えるこの現象、
学術的には薄明光線(はくめいこうせん、crepuscular rays)と言います。
智天使ケルビム(4枚の翼に4つの顔)の勇姿
「ヤコブの梯子」 christianpure.com
… to be continued !!
堕天使を含めると、天使の種類は3つが正解なのかもしれませんね。
ダ・ヴィンチの推理は続きます。