人のお役に立たせていただくこと

都心の百貨店でお洒落な50代の男性が目に留まりました。メガネもバックも素敵だな、コーディネートの色のトーンも春らしく清潔感がありズボンの線もピシッとしてる、静かそうだが眼力も鋭くこの人は仕事が出来る人なんだろうなーと。その単独の男性を通り過ぎた直後、交差点で24歳くらいの目を惹くような可愛らしい色白の、髪はしっとりとしたゆるゆるカールの美女が、少しかったるそうな義務感？を含む微笑を浮かべ歩いてきて、また目に留まりました。
小さな驚きが起きたのが、女性を見つめた3秒後。別々に私が認識していたその二人は交差点で手をドッキング。待ち合わせをしていたのでした。
二人の空気感からおそらく女性はクラブ嬢で、その夜のランデブーは、太い客との慣れた同伴出勤の様でした。
二人の間に働くのは、貨幣や経済という円滑油。
同じ価値と価値の交換、等価交換が成り立ちます。男は若い異性の肉体を得て、女は金を得る。
明確でシンプル。嘘もないです。
そして愛情くんはこの世界が好きです。結果を残せる人や先祖の勇気ある行動の連続の上に立つ人は、ギフトは受け取るべきだし、人生では人の目など気にしている暇なんてないと思うからです。

視点を移すと、
精子提供において、等価交換が成り立たない場合があります。
私が現代の完璧な男性像の要件にあてはまるとは到底思いませんし、でもなんだか上からな目線となってしまうのをお許し頂きたいのですが、容姿や社会的立場、若さ、経済的な水準、知能などで特に困ったことを感じていない男性ドナーからは、精子提供活動で得られるものは特に何もないことがほとんどです。
セックスによる満足感や、容姿のきれいな知性ある女性へと遺伝子が広がるのは男性目線で確かに充足もありますが、それらは普通の生活で得られたりするし、未来に課すリスクとの天秤では明らかに平衡しません。

では何を求めているかといえば、ありがとうの一言や、行為の中で育まれる人格のためかもしれないということです。
匿名で人のお役に立たせて頂くということは、生涯をかけて貫いていきたいことだと思っています。
その世界観は、経済的な合理性や強い欲望をも超える気がしています。