高揚と絶望の閃光ベクトル

Apple musicのランキング機能にはまった。
グローバルで今この瞬間にヒットしている曲に1秒でアクセスできる。コンビニからの有線でも、イケてるDJのラジオでも、こんなに精度高く、網羅的かつ排他的にぎっちり埋まっている選曲群はないだろう。曲たちは新しい時代の空気感をまとい、オーラを感じさせつつも爽やかにご機嫌に、光線のビームみたいに俺の細胞を駆け抜ける。宇宙からのニュートリノが体内の無数の原子核の電子とぶつかってビリヤードの球みたいにぱちんと弾ける実感さえある。
昼に想像力を使い過ぎた分、頭が冴えすぎているだけだ。音楽に合わせて無心に身体を揺らしたくなる。一人きりの夕飯は美味しくないなと久しぶりにふと思ったり、この速度でこの仕事はぜってぇ俺にしかできないと思ったり、自分がまだ何者でもないという自覚からの自信のなさがぬぐい切れず、やみくもに爆音に頭を揺らしたくなる。
モルヒネとアドレナリンを同時に大動脈に射ち込んでいるような、激しい揺らぎを感じる。

大したことはない。
月の光でも浴びに行こう。
やがては抜けていくだろう。

俺は人類の新しい水平がみたい。