核兵器禁止条約 日本政府 署名・批准直ちに
被団協・原水協が要求
赤旗 2020年10月26日(月)
核兵器禁止条約の発効確定を受け、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)がそれぞれ声明・談話を発表しました。
日本被団協は、核兵器が条約で禁止され、「被爆者が訴え続けてきた『核兵器なくせ』を実現する確かな道が開かれた」と強調し、「生きていてよかったと心から大きな喜びを分かち合う日を迎えた」と述べました。
日本政府と国会に対し、速やかに条約に署名・批准を要求。「核兵器も戦争もない世界の実現に向けて歩み続ける」としました。
日本原水協は、「核兵器廃絶への重要な一歩であり、核兵器の禁止・廃絶を求めてきた被爆者や世界と日本の運動、諸国政府とその共同の努力の大きな成果」と強調しました。
核兵器=安全保障という道理のなさは明らかだとして、日本政府に直ちに禁止条約への署名・批准を要求。「日本の禁止条約への参加」の一点で国民的行動の前進に力を尽くすと表明しています。
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日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員
核兵器禁止条約が発効に必要な50カ国・地域の批准に達したことについて、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の田中熙巳さん(88)=埼玉県新座市=は「待ちわびた瞬間だ」と喜んだ。
田中さんは25日朝、核廃絶に取り組む非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」からのメールで、50カ国・地域に達したことを知った。「採択から3年もかかるとは思わなかったが、ようやくここまで来られて大変うれしい」
13歳のころ、長崎市で被爆。自身は幸いにして無事だったが、親族5人を失った。1970年代から被団協の運動にかかわり、計20年間、事務局長を務めながら国内外で被爆の実相を伝え続けてきた。
前文で「ヒバクシャの受け入れがたい苦しみに留意する」と明記した核兵器禁止条約への思いも強い。2016年には、全ての国に核兵器廃絶を求めるヒバクシャ国際署名をスタート。17年に国連で核兵器禁止条約が採択されると、批准を求める内容に変更し、現在までに1260万筆を集めた。18年には、長崎市の平和式典に被爆者代表として登壇し、「被爆者が目の黒いうちに見届けたいと願った核兵器廃絶への道筋が見えてきた」と条約の意義を語った。
条約は「核なき世界」の実現を求める被爆者の願いと重なるが、日本政府は背を向け続けている。「唯一の戦争被爆国である日本は大きな責任を負っている。今後は、核兵器で安全を保とうとする日本の政策を変えさせるように声を上げなくては」と話す。
被爆者の平均年齢は83歳を超え、被爆証言などの活動は先細りしつつある。「私たち被爆者が求めているのは、地球上に1発も核兵器がないということ。条約が発効することは大きな一歩ではあるが、さらに発展させていかなくてはいけない」と語った。(木谷孝洋)
東京新聞 10月25日