小さな大人のこころの岐路

日常で感じたこころの声を
        日記のように綴る

ものがたり

2016-05-16 | 日記
たくさん泣いて笑った後  言葉を惜しんで出た二人

雨上がりの少し濡れた地面と  ほんのりと湿った香り

人気のいない通りに  どこからか聞こえる虫のせせらぎ

肌寒いのに どこか心地よい風が 遠ざかった心を近づけようとしている

顔を上げると曇りがかった空にかすかな星が輝いている

見とれた二人は 話すことを忘れ 目の前の夜空に見とれる

ふと思い出す あのころの時間 溢れる想い

どちらとも話を切り出さず 黙々と流れる時間

顔を見合わせて 自然にこぼれる笑み

いつもより少し深く息を吸って 小さく溢れた「ありがとう」

またどこかで会えることを約束して 二人は背中を向ける

この出会いを私は忘れることはないだろう

見上げた空 雲が消え 星がいつもより輝いていた