※内閣府・南海トラフの巨大地震モデル検討会資料より
先日また衝撃的な発表がありましたね。
内閣府が発表した「東南トラフ大地震による震度分布・津波高さ」に関する報告書。
一部の地域では想定津波が20m以上になるなど、かなり衝撃的な結果が示されました。
また、地震の震度も今までは最大震度6強だったのが震度7と修正され古い家屋の倒壊率も極端に高くなりました。
報告書を内閣府のHPよりDLして目を通したのですが、地震の解析方法などはあまりよくわかりませんでした。
しかし、どういう前提に基づき作成された試算であるかは把握する事はできました。
冒頭で「現在の科学的知見の下で、今回推計し設定する最大クラスの地震・津波の発生確率、そしてその発生時期の予測をすることは不可能に近いという前提の下に作られている」と記載がありました。
それなので、必ず起こるわけでもないし、起きてももっと規模が小さいかもしれないという事は踏まえて目を通すべきですね。
でも、最後には「東北地方太平洋沖地震発生後一年余りという短い期間の中で、その詳細な分析を行った上で、これまでの想定地震への真摯な反省の上に立って、幅広い分野の、現時点の最新の科学的知見を駆使して得られた成果である」と締めくくっていました。
ですから、単純に大丈夫だろうとこの結果から目を背けるのでなく、様々なケースを想定して対策を普段から考えておく事が重要なわけです。
また、今後のスケジュールとして液状化危険度、浸水域、深さの計算、長周期振動についても検証が進められるという事で、次回の報告がとても重要な意味を持つような気がします。
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さて、想定震度が7に引き上げられた事。
この事に対しわれわれ建築家はキチンと答えを出していかなければならないのですが・・・
はっきり言って建物の基準が追いついていないのが実情で、こうすれば絶対安全ですよという事が簡単にいえない状況です。
震度6強と7とでは地震の規模として雲泥の差があり、単純に地震規模を数値化して比較できないのが要因なのですが、
震度6から7に変わると揺れは3倍上になるとも言われていますが(確かなデータではありません)、震度7以上の震度階が無いため、将来来るかもしれない震度7がどの規模かがわからないのです。
現在の建築基準法の強度が震度6強から7の地震に対して倒壊しないという基準を元に設定していて幅がずいぶんあるんですね。
耐震等級3の住宅でも基準法の1.5倍の強度ですから、元の強度が震度6強だとすると、震度7の地震には絶えれない事になってしまいます。
尚、先ほどの内閣府の資料では各市町村別の想定震度が記載されていました。
これですと、東京であれば区単位なので精度はまだまだですが、建設地の想定震度を確認できるので、安心できる材料になるかもしれません。
いずれにせよ、建築家の意見だけを鵜呑みにするのではなく、キチンと自分自身で調べ答えを見つける事が重要だと思います。
コレは、別に建築家としての責任を放棄するのではなく、それだけ不明な事が多いという事。
把握不可能な地震に対してどう向き合うか。
とても難しい問題です。
→内閣府・南海トラフの巨大地震モデル検討会
のページへ
ほんと何を信じてよいかわからない時代になってしまって子供たちがかわいそう。
地震対策などは保険の一部ですよね。
でも、万一のときにお金だけもらってもしょうがない。
そうならないための防衛柵。
子供のためにはできる限りの事をしたいですね。