(2008年10月8日更新)
談話 歯科医学会の目的を踏み外した「補綴外し」学会長発言
江藤日歯学会長が日本歯科医療管理学会での講演で「補綴を保険外にして活路を」と発言したことに対して、9月24日、当会の南條政策副委員長が談話を発表したので紹介する。
東京歯科保険医協会政策副委員長
南條芳久
学会長の発言は残念
江藤一洋日本歯科医学会長は第43回日本歯科医療管理学会(7月大阪開催)の「歯科再生の道をさぐる」講演で、(「歯科医療」が)医療保険のあるところで崩壊しているのは日本である。システムを考えないといけない。軽々には補綴を外すというわけにはいかないが、そうしない限り歯科医療費の総枠を拡大することは難しい」と発言(医歯薬新報8月25日付)。歯科医学会長の立場で「補綴外し」に言及しています。
日本歯科医学会は、「歯科医学を振興することによって歯科医療を向上し、国民および人類の福祉に貢献することをもって目的とする」(日本歯科医学会の目的・ホームページ)としています。口腔の健康のために歯科医療を向上させ、そのために歯科保険診療の充実を推進する立場にあると言えます。発言は学会の目的に反します。学会の役割をも逸脱し、残念でなりません。
補綴給付が国民の健康を守る
発言すべきは、「補綴外し」ではなく一層の歯科保険診療を充実させるための提言ではありませんか。補綴が保険に適用されているのは日本だけといって過言ではありません。保険が充実しているドイツですら、「定額補助金制度」として給付の制限があります。
歯科医院の収入が少ないから患者に負担してもらうという発想では、国民に受けいれられません。
補綴や保存、歯周治療などが保険適用外になっている韓国に言及していますが、口腔内の状況を確認されているのですか。学会としてやるべきは諸外国と比較して日本の口腔の状況を調査することではありませんか。皆保険の日本国民の口腔状態はけっして悪くありません。
「補綴を保険外にして活路を」みいだすのでなく、先進国の中でも「補綴給付が広範囲」である日本の保険診療の優位性をさらに充実させることが学会としての役割です。
新規技術の保険導入を
保険診療を充実させるには、新規技術の保険導入や低評価の技術の適正な引き上げが必要です。インプラントはどうして先進医療のまま長年放置されているのですか。齲蝕処置はどうして十六点のままなのですか。
技術の評価は学会として重要な仕事です。日本歯科医学会はもっと積極的に役割をはたすべきです。いまやるべきは、新規技術の導入を推進すること、低評価におかれている技術の適正な評価を求めることです。
「補綴外し」発言でなく、日本の歯科界が真に発展する提言を求めます。
談話 歯科医学会の目的を踏み外した「補綴外し」学会長発言
江藤日歯学会長が日本歯科医療管理学会での講演で「補綴を保険外にして活路を」と発言したことに対して、9月24日、当会の南條政策副委員長が談話を発表したので紹介する。
東京歯科保険医協会政策副委員長
南條芳久
学会長の発言は残念
江藤一洋日本歯科医学会長は第43回日本歯科医療管理学会(7月大阪開催)の「歯科再生の道をさぐる」講演で、(「歯科医療」が)医療保険のあるところで崩壊しているのは日本である。システムを考えないといけない。軽々には補綴を外すというわけにはいかないが、そうしない限り歯科医療費の総枠を拡大することは難しい」と発言(医歯薬新報8月25日付)。歯科医学会長の立場で「補綴外し」に言及しています。
日本歯科医学会は、「歯科医学を振興することによって歯科医療を向上し、国民および人類の福祉に貢献することをもって目的とする」(日本歯科医学会の目的・ホームページ)としています。口腔の健康のために歯科医療を向上させ、そのために歯科保険診療の充実を推進する立場にあると言えます。発言は学会の目的に反します。学会の役割をも逸脱し、残念でなりません。
補綴給付が国民の健康を守る
発言すべきは、「補綴外し」ではなく一層の歯科保険診療を充実させるための提言ではありませんか。補綴が保険に適用されているのは日本だけといって過言ではありません。保険が充実しているドイツですら、「定額補助金制度」として給付の制限があります。
歯科医院の収入が少ないから患者に負担してもらうという発想では、国民に受けいれられません。
補綴や保存、歯周治療などが保険適用外になっている韓国に言及していますが、口腔内の状況を確認されているのですか。学会としてやるべきは諸外国と比較して日本の口腔の状況を調査することではありませんか。皆保険の日本国民の口腔状態はけっして悪くありません。
「補綴を保険外にして活路を」みいだすのでなく、先進国の中でも「補綴給付が広範囲」である日本の保険診療の優位性をさらに充実させることが学会としての役割です。
新規技術の保険導入を
保険診療を充実させるには、新規技術の保険導入や低評価の技術の適正な引き上げが必要です。インプラントはどうして先進医療のまま長年放置されているのですか。齲蝕処置はどうして十六点のままなのですか。
技術の評価は学会として重要な仕事です。日本歯科医学会はもっと積極的に役割をはたすべきです。いまやるべきは、新規技術の導入を推進すること、低評価におかれている技術の適正な評価を求めることです。
「補綴外し」発言でなく、日本の歯科界が真に発展する提言を求めます。