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歯科技工士・岩澤 毅

『日本歯技』2016年9月号 巻頭言 日本歯科技工士会の国際貢献

2016年09月02日 | 基本・参考


『日本歯技』2016年9月号 巻頭言


日本歯科技工士会の国際貢献


 “日技新発展『7』プラン”の外部組織交流戦略において、発展途上国への歯科技工に関する支援として、公益財団法人国際医療技術財団の協力の下、当該国の歯科技工技術・知見の普及を図ることを目的とし、前任期より調査・視察の上、対象国をベトナムに絞り事業展開することになった。

 現時点では、今年度の具体的な事業としてベトナムでセミナーを開催することになっているが、内容はまず、現地で必要とされていることを柱に検討しなければならない。その結果、長い年月を要すると思われるが、ベトナム国民に良質な歯科補綴装置等が提供されるようになれば、公益法人としての日技の事業目的は達成されることになるであろう。

 現在、日技はアジア・太平洋地域歯科技工士連盟協議会のメンバーとして、2年に一度、各国持ち回りで行われる会議の中心メンバーとして情報収集を行っている。参加国は、日本、韓国、中国、台湾、マレーシア、フィリピン、インドで構成されている。昨年は10月に福岡市で第18回の協議会が開催された。事前に各国に対し教育制度や歯科技工料金等のアンケート調査を行い、その回答をもとに意見交換が行われ、それぞれの国の状況を知ることが出来た。その結果、日技がどの国に対しても様々な方面から貢献できる要素があることが見えてきた。

 例えば、韓国では公的医療保険制度の給付に歯科補綴装置等の一部が加わり、日技としてアドバイスをすることが可能である。また台湾では、歯科技工士の資格制度が始まってまだ日が浅く、新しい技術や顎口腔機能学等の識者が足りないように思えるので、今後、講師派遣等の支援をすることも可能である。このように、日技の様々な方面での国際貢献が期待されており、アジアの中で日本の歯科技工士が果たす役割は非常に大きい。

 しかしながら、国際貢献を行う立場として、免許更新制や教育年限、歯科技工所の開設届の制度等、日本より進んでいる国があることも認識しなくてはならない。国際貢献という事業により、相手国の足りない部分を補うと同時に自国の足りない部分も見えてくる。お互いが共に成果を得ることができるという意味で、この事業は重要である。

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