文献番号 200001118A
研究課題 今後の歯科技工士に対する養成方策等に関する総合的研究
研究年度 平成12(2000)年度
報告書区分 総括
主任研究者(所属機関) 渡辺嘉一(日本歯科大学)
分担研究者(所属機関) 鳥山佳則(東京医科歯科大学歯学部),佐藤温重(明倫短期大学),末瀬一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校),田上順次(東京医科歯科大学歯学部),五十嵐孝義(日本大学歯学部)
研究区分 厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
開始年度 平成12(2000)年度
終了予定年度
研究費 3,000,000円
概要版 研究目的:
近年、高度・最新の知識及び技術を必要とする歯科技工が一般歯科治療の現場に普及し、さらにその需要は従来では想定されていなかった領域にまで広がりつつある。また、医療専門職養成を取り巻く総体的な流れとしても医療人としての人間性の涵養や、チーム医療の重視などが求められている。しかし、現在の歯科技工士養成の現場においてはこれらの状況変化への対応はほとんど行われていない。そこでこうした環境変化や社会的要請に対応するために、教育現場の実態調査を行うとともに、臨床現場からの意見を調査し、歯科技工士学校養成所の現場で容易に適応が可能なカリキュラムモデルの作成を行うとともに、その実施に質することを目的に本研究を行った。
研究方法:
結果と考察:
1.現状の学科課程及び実施時間数
1) 学科課程の大綱化:他の医療専門職種の養成は、学科目の統廃合を実施し、単位制を導入し、大綱化して行なわれている。また、養成施設間又は一般大学との編入の取り組みを促進するためにこれらの導入が必要であると考える。そのため、現状の学科課程を基礎分野,専門基礎分野,専門分野に統廃合する必要があると考える。その場合、現行の選択必修科目については、英語,造形美術概論以外から各校が自由に選択することになっているが、大綱化によりその必要性がなくなるものと考える。
2) 実施時間数について:「医療関係職種の改善に関する検討会」意見書においてもゆとりあるカリキュラム編成の必要性が提言されている中、全国の歯科技工士学校養成所での平均授業実施時間は2582時間と指定規則の2200時間を大きく上回っている。一方、臨床現場からはさらに新分野に対する教育の必要性が示されたことは、これらの改善方法として修業年限延長の必要性示唆されたものと考える。
2.カリキュラムモデルについて
1) 基礎分野:臨床現場が新卒者に対する不満の理由として知識としては基礎分野のレベルが挙げられている。さらに、新卒者の採用のあたり最も重視するものとして社会性・人間性が挙げられた。加えて、今後は情報処理学などの知識も必要になるとの調査結果がある。これらのことから現行教育に留まらず、広く見聞を得るため、120時間8単位程度とすべきである。
2) 専門基礎分野:今後の歯科技工士に必要になる新分野として臨床現場の歯科技工士の意見や海外の現状から、「歯科技工士の健康と環境」「歯科技工所の経営・管理学」が必要であると思われる。また、チーム医療の認識を持つためにもこの分野の拡充は必須であり、22単位程度とすべきである。
3) 専門分野:臨床現場の歯科医師はチーム医療の担い手である歯科技工士にも時代とともに常に進歩し続けることを望んでおり、「歯周病学」「インプラント学」などを新たに加え、43単位程度にすべきである。
4)歯科技工実習:現行の教授要綱において歯科技工に関する知識及び技術を習得させることを目的としているが、その実施内容・方法は養成施設によって異なっている。臨床(診療)見学の必要性を臨床現場の9割以上が認めており、また、他の医療関係職種の多くが卒前教育を臨床の場で行っていることなどから、臨床模型による実習,臨床(診療)見学が不可欠であると考え、20単位程度にすべきである。
結論:
1) 指定規則にある教授要綱は、基礎分野,専門基礎分野,専門分野に大綱化し、これまでの時間数を単位制とすべきである。
2) 臨床現場の歯科医師,歯科技工士は歯科技工士学校養成所の新卒者に対し、知識,技術,人間性・社会性いずれについても満足していない。
3) 臨床現場の歯科医師,歯科技工士は歯科医療の多様化に伴い、新しい教育内容が必要であると考えている。
4) 臨床現場の歯科医師,歯科技工士の9割以上が臨床(診療)見学の必要性を認めている。
5) 現状、養成施設で実施されている授業時間数は2582時間であり、過密教育となっている。このため、歯科技工士の適正教育,資質向上のためには養成年限の延長が不可欠である。しかしながら、現在72校ある歯科技工士学校養成所は、設立母体や所轄官庁がそれぞれ異なるだけでなく、短期大学や専門学校、修業年限の2年制,3年制、昼間制,夜間制と多岐に亘っている。今後はこれらの諸条件による差異などについてもさらに調査するとともに、今回提示したカリキュラムモデルの具体的内容について精査する必要がある。
公開日 -
更新日 -
研究報告書
ファイルリスト 200001118A0001.pdf 200001118A0002.pdf 200001118A0003.pdf
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研究課題 今後の歯科技工士に対する養成方策等に関する総合的研究
研究年度 平成12(2000)年度
報告書区分 総括
主任研究者(所属機関) 渡辺嘉一(日本歯科大学)
分担研究者(所属機関) 鳥山佳則(東京医科歯科大学歯学部),佐藤温重(明倫短期大学),末瀬一彦(大阪歯科大学歯科技工士専門学校),田上順次(東京医科歯科大学歯学部),五十嵐孝義(日本大学歯学部)
研究区分 厚生科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究事業
開始年度 平成12(2000)年度
終了予定年度
研究費 3,000,000円
概要版 研究目的:
近年、高度・最新の知識及び技術を必要とする歯科技工が一般歯科治療の現場に普及し、さらにその需要は従来では想定されていなかった領域にまで広がりつつある。また、医療専門職養成を取り巻く総体的な流れとしても医療人としての人間性の涵養や、チーム医療の重視などが求められている。しかし、現在の歯科技工士養成の現場においてはこれらの状況変化への対応はほとんど行われていない。そこでこうした環境変化や社会的要請に対応するために、教育現場の実態調査を行うとともに、臨床現場からの意見を調査し、歯科技工士学校養成所の現場で容易に適応が可能なカリキュラムモデルの作成を行うとともに、その実施に質することを目的に本研究を行った。
研究方法:
結果と考察:
1.現状の学科課程及び実施時間数
1) 学科課程の大綱化:他の医療専門職種の養成は、学科目の統廃合を実施し、単位制を導入し、大綱化して行なわれている。また、養成施設間又は一般大学との編入の取り組みを促進するためにこれらの導入が必要であると考える。そのため、現状の学科課程を基礎分野,専門基礎分野,専門分野に統廃合する必要があると考える。その場合、現行の選択必修科目については、英語,造形美術概論以外から各校が自由に選択することになっているが、大綱化によりその必要性がなくなるものと考える。
2) 実施時間数について:「医療関係職種の改善に関する検討会」意見書においてもゆとりあるカリキュラム編成の必要性が提言されている中、全国の歯科技工士学校養成所での平均授業実施時間は2582時間と指定規則の2200時間を大きく上回っている。一方、臨床現場からはさらに新分野に対する教育の必要性が示されたことは、これらの改善方法として修業年限延長の必要性示唆されたものと考える。
2.カリキュラムモデルについて
1) 基礎分野:臨床現場が新卒者に対する不満の理由として知識としては基礎分野のレベルが挙げられている。さらに、新卒者の採用のあたり最も重視するものとして社会性・人間性が挙げられた。加えて、今後は情報処理学などの知識も必要になるとの調査結果がある。これらのことから現行教育に留まらず、広く見聞を得るため、120時間8単位程度とすべきである。
2) 専門基礎分野:今後の歯科技工士に必要になる新分野として臨床現場の歯科技工士の意見や海外の現状から、「歯科技工士の健康と環境」「歯科技工所の経営・管理学」が必要であると思われる。また、チーム医療の認識を持つためにもこの分野の拡充は必須であり、22単位程度とすべきである。
3) 専門分野:臨床現場の歯科医師はチーム医療の担い手である歯科技工士にも時代とともに常に進歩し続けることを望んでおり、「歯周病学」「インプラント学」などを新たに加え、43単位程度にすべきである。
4)歯科技工実習:現行の教授要綱において歯科技工に関する知識及び技術を習得させることを目的としているが、その実施内容・方法は養成施設によって異なっている。臨床(診療)見学の必要性を臨床現場の9割以上が認めており、また、他の医療関係職種の多くが卒前教育を臨床の場で行っていることなどから、臨床模型による実習,臨床(診療)見学が不可欠であると考え、20単位程度にすべきである。
結論:
1) 指定規則にある教授要綱は、基礎分野,専門基礎分野,専門分野に大綱化し、これまでの時間数を単位制とすべきである。
2) 臨床現場の歯科医師,歯科技工士は歯科技工士学校養成所の新卒者に対し、知識,技術,人間性・社会性いずれについても満足していない。
3) 臨床現場の歯科医師,歯科技工士は歯科医療の多様化に伴い、新しい教育内容が必要であると考えている。
4) 臨床現場の歯科医師,歯科技工士の9割以上が臨床(診療)見学の必要性を認めている。
5) 現状、養成施設で実施されている授業時間数は2582時間であり、過密教育となっている。このため、歯科技工士の適正教育,資質向上のためには養成年限の延長が不可欠である。しかしながら、現在72校ある歯科技工士学校養成所は、設立母体や所轄官庁がそれぞれ異なるだけでなく、短期大学や専門学校、修業年限の2年制,3年制、昼間制,夜間制と多岐に亘っている。今後はこれらの諸条件による差異などについてもさらに調査するとともに、今回提示したカリキュラムモデルの具体的内容について精査する必要がある。
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