○「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)」の改定について
(平成20年4月1日)
(医政発第0401040号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
今般、医療法施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第36号)及び医療法施行規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第13号)により、広告可能な診療科名が改正されたところである。平成20年3月31日付けで「広告可能な診療科名の改正について(医政発第0331042号医政局長通知)」が発出されたこと及びその他関係法令が改正されたことを踏まえ、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)(平成19年3月30日医政発第0330014号医政局長通知)」について、別添のとおり改めることとしたので通知する。
貴職におかれては、管下保健所設置市、特別区、関係団体等に対し、改めて今回通知する医療広告ガイドラインの周知をお願いする。
(別添)
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)
第1 広告規制の趣旨
1 医療法の一部改正の趣旨
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告(以下「医療に関する広告」という。)については、患者等の利用者保護の観点から医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)その他の規定により制限されてきたところであるが、今般、社会保障審議会医療部会における意見等を踏まえ、患者やその家族あるいは住民自身が自分の病状等に合った適切な医療機関を選択することが可能となるように、患者等に対して必要な情報が正確に提供され、その選択を支援する観点から、従来の法や告示のように一つ一つの事項を個別に列記するのでなく一定の性質を持った項目群ごとにまとめて、「○○に関する事項」と規定するいわゆる「包括規定方式」を導入することにより、広告可能な内容を相当程度拡大することとしたものである。
また、広告規制違反について、行政機関による報告徴収、立入検査及び広告の中止等の改善措置を命ずる規定(法第6条の8)を新設するとともに、命令に従わない場合に罰則を適用する制度(法第73条第3号)、すなわち間接罰の適用に移行(ただし、虚偽広告については、引き続き、直ちに罰則を適用できる制度(法第73条第1号)、すなわち直接罰の適用を維持)とするものである。
2 基本的な考え方
医療に関する広告は、患者等の利用者保護の観点から、次のような考え方に基づき法又は旧告示により、限定的に認められた事項以外は、原則として広告が禁止されてきたところである。
① 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
② 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
今回の広告規制の見直しに当たっては、こうした基本的な考え方は引き続き堅持しつつも、患者等に正確な情報が提供されその選択を支援する観点から、客観性・正確性を確保し得る事項については、広告事項としてできる限り幅広く認めることとしたものである。
(1) 広告を行う者の責務
医療に関する広告を行う者は、その責務として、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならないものである。
さらに、広告は患者の受診等を誘引するという目的を有するものの、患者や地域住民等の利用者へ向けた客観的で正確な情報伝達の手段として広告を実施するべきであり、また、医療機関等が自らの意思により行う必要がある。
(2) 広告可能な事項の基本的な考え方
法又は「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」(平成19年厚生労働省告示第108号。以下「広告告示」という。)により、医療に関する広告として広告可能な事項は、患者の治療選択等に資する情報であることを前提とし、医療の内容等については、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限られるものである。
(3) 禁止される広告の基本的な考え方
広告可能な事項を「包括規定方式」で規定することにより、広告可能な内容は相当程度拡大されているが、引き続きいわゆる「ポジティブリスト方式」であることに変わりはなく、法第6条の5第1項の規定により、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告をしてはならないこととされている。
また、法第6条の5第3項の規定により、内容が虚偽にわたる広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与えること等により、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、罰則付きで禁じられている。虚偽広告と同様の考えから、法第6条の5第4項の規定により、広告の方法及び内容に関する基準が定められることとされており、具体的には医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「省令」という。)第1条の9により、次の広告は禁止されている。
(i) 比較広告
(ii) 誇大広告
(iii) 広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告
(iv) 公序良俗に反する内容の広告
さらに、薬事法(昭和35年法律第145号)等の他法令やそれら法令に関連する広告の指針に抵触する内容について広告しないことは当然のことであり、それらの他法令等による広告規制の趣旨に反する広告についても、行わないこととする。
おって、品位を損ねる内容の広告等、医療に関する広告としてふさわしくないものについても、厳に慎むべきものである。
3 他の法律における規制との関係
医療に関する広告の規制については、法に基づく規定の他に、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景表法」という。)、薬事法等があり、これら他法令に違反する広告は、当該他法令に基づく指導・処分等の対象となり得るものである。
今般導入した法第6条の5等の規定に違反し、又は違反が疑われる広告は、これら広告等を規制する他法の規定に違反し、又は違反している可能性があり得るものである。このため、法の運用に当たっては、関係法令の内容を十分に理解し、法を主管する課室(以下「法主管課室」という。)を中心に、景表法主管課室等の関係法令を所管する課室も含め、収集した情報の交換等により、密接に連携・協力し、指導等の実効を挙げるように努められたい。
なお、法主管課室が行う苦情相談や指導等の手順その他の実務的な内容については、本指針第5を参照されたい。
第2 広告規制の対象範囲
1 広告の定義
法第2章第2節「医業、歯科医業又は助産師の業務等の広告」の規定による規制の対象となる医療に関する広告の該当性については、次の①~③のいずれの要件も満たす場合に、広告に該当するものと判断されたい。
① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
③ 一般人が認知できる状態にあること(認知性)
なお、①でいう「誘因性」は、広告に該当するか否かを判断する情報物の客体の利益を期待して誘因しているか否かにより判断することとし、例えば患者による体験手記や新聞記事等は、特定の病院等を推薦している内容であったとしても、①でいう「誘因性」の要件を満たさないものとして取り扱うこと。
また、②でいう「特定性」については、複数の提供者又は医療機関を対象としている場合も該当するものであること。
2 実質的に広告と判断されるもの
広告規制の対象となることを避ける意図をもって外形的に上記1の①~③に該当することを回避するための表現を行う者があることが予想される。しかしながら、例えば、
ア 「これは広告ではありません。」、「これは、取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません。」との記述があるが、病院名等が記載されている
イ 「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません。」といった表示をしているが、住所や電話番号等から病院等が特定可能である
ウ 治療法等を紹介する書籍や冊子等の形態をとっているが、特定(複数の場合も含む。)の病院等の名称が記載されていたり、電話番号やホームページアドレスが記載されていることで、一般人が容易に特定の病院等を認知できる
等のような場合には、実質的に上記1に掲げた①~③の要件を全て満たす場合には、広告に該当するものとして取り扱うことが適当である。
また、新しい治療法等に関する書籍等に「当該治療法に関するお問い合わせは、○○研究会へ」等と掲載されている場合のように、上記ウの事例と類似しているが、当該書籍等では直接には、病院等が特定されない場合であって、「当該書籍は純然たる出版物であって広告ではない。」等として、広告の規制の対象となることを回避しようとする場合もある。この場合であっても、連絡先が記載されている「○○研究会」や出版社に問い合わせると特定の医療機関(複数の場合も含む。)をあっせん等していることが認められる場合であって、当該医療機関が別の個人や出版社等の団体を介在させることにより、広告規制の対象となることを回避しようとしていると認められる場合には、これらは、いわゆるタイアップ本やバイブル本と呼ばれる書籍や記事風広告と呼ばれるものとして、実質的には、上記1の①~③に示した要件を満たし、広告として取り扱うことが適当な場合があるので十分な留意が必要である。
3 暗示的又は間接的な表現の扱い
医療に関する広告については、直接的に表現しているものだけではなく、当該情報物を全体でみた場合に、暗示的や間接的に医療に関する広告であると一般人が認識し得るものも含まれる。このため、例えば、次のようものは、医療に関する広告に該当するので、広告可能とされていない事項や虚偽・誇大広告等に該当する場合には、認められないものである。
ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
(例)
① アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジング
アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や薬事法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。
② 最高の医療の提供を約束!
「最高」は最上級の比較表現であり、認められない。また、「最高の医療の提供」は客観的な事実であると証明できない事項でもある。
イ 写真、イラスト、絵文字によるもの
(例)
① 病院の建物の写真
当該病院の写真であれば、広告可能である(法第6条の5第1項第6号)が、他の病院の写真は認められない。
② 病人が回復して元気になる姿のイラスト
効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、また、回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり、誇大広告に該当するので、認められない。
ウ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、体験談などを引用又は掲載することによるもの
(例)
① 新聞が特集した治療法の記事を引用するもの
法第6条の5第1項第11号で認められた「治療の内容」の範囲であり、改善率等の広告が認められていない事項が含まれていない場合には、引用可能である。
② 雑誌や新聞で紹介された旨の記載
自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではないので、広告は認められない。
③ 専門家の談話を引用するもの
専門家の談話は、その内容が保障されたものと著しい誤認を患者等に与えるおそれがあるものであり、広告可能な事項ではない。また、薬事法上の未承認医薬品を使用した治療の内容も、広告可能な事項ではなく、広告は認められない。
エ 病院等のホームページのURLやEメールアドレス等によるもの
(例)
① www.gannkieru.ne.jp
ガン消える(gannkieru)とあり、癌が治癒することを暗示している。治療の効果に関することは、広告可能な事項ではなく、また、治療を保障している誇大広告にも該当し得るものであり、認められない。
② nolhospi@xxx.or.jp
「nolhospi」の文字は、「No.1 Hospital」を連想させ、日本一の病院である旨を暗示している。「日本一」等は、比較広告に該当するものであり、認められない。
4 医療に関する広告規制の対象者
(1) 医療に関する広告規制の対象者
法第6条の5第1項において「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。」とあるように、医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされるものである。
また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象である。
(2) 広告媒体との関係
広告依頼者から依頼を受けて、広告を企画・制作する広告代理店や広告を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者は、依頼を受けて広告依頼者の責任により作成又は作成された広告を掲載、放送等するにあたっては、当該広告の内容が虚偽誇大なもの等、法や本指針に違反する内容となっていないか十分留意する必要があり、違反等があった場合には、広告依頼者とともに法や本指針による指導等の対象となり得るものである。
5 広告に該当する媒体の具体例
本指針第2の1において、広告の定義を示しているところであるが、広告の規制対象となる媒体の具体例としては、例えば、次に掲げるものが挙げられる。
ア チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
イ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
ウ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの
エ 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上のバナー広告等)
オ 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例
(1) 学術論文、学術発表等
学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等は、社会通念上、広告と見なされることはない。これらは、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、①の「誘因性」を有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものである。
ただし、学術論文等を装いつつ、不特定多数にダイレクトメールで送る等により、実際には特定の医療機関(複数の場合を含む。)に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には、①の「誘因性」を有すると判断し、①~③の全ての要件を満たす場合には、広告として扱うことが適当である。
(2) 新聞や雑誌等での記事
新聞や雑誌等での記事は、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、①の「誘因性」を通常は有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものであるが、費用を負担して記事の掲載を依頼することにより、患者等を誘因するいわゆる記事風広告は、広告規制の対象となるものである。
(3) 体験談、手記等
自らや家族等からの伝聞により、実際の体験に基づいて、例えば、A病院を推薦する手記を個人Xが作成し、出版物やしおり等により公表した場合や口頭で評判を広める場合には、一見すると本指針第2の1に掲げた①~③の要件を満たすが、この場合には、個人XがA病院を推薦したにすぎず、①の「誘因性」の要件を満たさないため広告とは見なさない。
ただし、A病院からの依頼に基づく手記であったり、A病院から金銭等の謝礼を受けている又はその約束がある場合には、①の「誘因性」を有するものとして扱うことが適当である。また、個人XがA病院の経営に関与する者の家族等である場合にも、病院の利益のためと認められる場合には、①の「誘因性」を有するものとして、扱うものであること。
(4) 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
院内掲示、院内で配布するパンフレット等はその情報の受け手が、現に受診している患者等に限定されるため、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、③「一般人が認知できる状態にあること」(認知性)を満たすものではなく、情報提供や広報と解される。ただし、希望していない者にダイレクトメールで郵送されるパンフレット等については、③の一般人への認知性に関する要件を満たすものとして取り扱うものであること。
(5) 患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメールは、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、③の「認知性」を満たすものではなく、医療機関に関する情報や当該医療機関での治療法等に関する情報を入手しようとする特定の者に向けた情報提供や広報と解されるため、広告とは見なされない。
病院等のメールマガジンも、その病院等から送られてくることを希望した患者等へ送信される場合には、広告とは見なされないが、病院等とは直接関係がないメールマガジンは、当該メールマガジンの配信希望者や会員に限定されるとしても、当該病院等とは関係のない一般人向けとなるので、③の一般人への認知性に関する要件を満たすものとして扱うことが適当である。
(6) 医療機関の職員募集に関する広告
医療機関に従事する職員の採用を目的としたいわゆる求人広告は、通常、医療機関の名称や連絡先等が記載されているが、当該医療機関への受診を誘引するものではないことから、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、①の「誘因性」を有するものではない。そのため、本指針の対象となる医療に関する広告ではない。
(7) インターネット上のホームページ
インターネット上の病院等のホームページは、当該病院等の情報を得ようとの目的を有する者が、URLを入力したり、検索サイトで検索した上で、閲覧するものであり、従来より情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告とは見なさないこととする。
また、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にした場合などでは、バナーに表示される内容や検索結果として画面上に表示される内容等については、実質的に本指針第2の1に掲げた①~③のいずれの要件も満たす場合には、広告として取り扱うこと。
第3 広告可能な事項について
1 医療に関する広告として広告可能な範囲
法第6条の5第1項の規定により、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告をしてはならないこととされているが、今回の広告規制の見直しにより、患者等に正確な情報が提供されその選択を支援する観点から、客観性・正確性を確保し得る事項については、広告事項としてできる限り幅広く認めることとしたものである。
2 従来より広告可能とされてきた事項との関係
従来より広告可能と認められていた事項については、今回の広告規制の改正後においても、引き続き、法第6条の5第1項各号又は広告告示の相当の規定に基づき、広告は可能である。
3 医療機能情報提供制度との関係
法第6条の3による医療機能情報提供制度の対象となる事項については、専門外来を除いて医療に関する広告としても、原則として広告可能な事項である。ただし、都道府県が独自に報告を求める事項については、法又は広告告示で広告可能な事項として定められていない場合には、広告できない。
4 広告可能な事項の表現方法について
(1) 広告の手段
法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけではなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現も可能である。
(2) 広告可能な事項の記載の仕方
広告可能な治療の方法等について、これまでは、広告表現に係る客観性を担保するという観点から、治療の方法についてであれば、診療報酬点数表又はその解釈通知に記載されている語句をそのまま使用することとされていた。しかしながら、今般の広告規制の見直しでは、正確な情報が提供され、患者やその家族あるいは住民自身によるその選択を支援する観点から、規制を相当程度緩和することとしているので、患者等の情報の受け手側の理解が可能となるように分かりやすい表現を使用したり、その説明を加えることは、むしろ望ましいことであり、認めることとする。
例えば「人工透析」については、これまで診療報酬点数表等にある「人工腎臓」や「血液透析」等との表現のみ認められていたが、一般に用いられている「人工透析」の表現も広告可能なものとすること。
(3) 略号や記号の使用
広告可能な事項について、社会一般で用いられていたり、広告の対象となる地域において、正確な情報伝達が可能である場合には、略号や記号を使用することは差し支えないものとすること。
(例)
・社団法人→(社)
・電話番号03―0000―0000→ 画像1 (1KB)
03―0000―0000
・地域で定着していると認められる病院等の略称(大学病院、中央病院等)
また、当該記号やマークが示す内容を文字等により併せて標記することで、正確な情報伝達が可能である場合にあっては、記号やマークを用いても差し支えない。
5 広告可能な事項の具体的な内容
(1) 法第6条の5第1項第1号関係
「医師又は歯科医師である旨」については、医師法(昭和23年法律第201号)第2条に規定する免許又は歯科医師法(昭和23年法律第202号)第2号に規定する免許を有する医師又は歯科医師である旨を医業又は歯科医業に関する広告に記載できるものであること。
我が国での医師又は歯科医師の免許を有さない場合には、医師又は歯科医師である旨を広告できないこと。
また、外国における医師又は歯科医師である旨の広告はできないものであること。
なお、同項第7号にあるように、病院又は診療所に従事する薬剤師、看護師その他の医療従事者に関する氏名等は、広告可能な事項であり、本号の規定が、病院又は診療所に従事する者が薬剤師、看護師その他の医療従事者である旨の広告を妨げるものではないことに留意すること。
(2) 法第6条の5第1項第2号関係
「診療科名」については、法第6条の6第1項の規定にあるように、医療法施行令(昭和23年政令第326号。以下「政令」という。)第3条の2で定められたものであること。
(平成20年4月1日)
(医政発第0401040号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)
今般、医療法施行令の一部を改正する政令(平成20年政令第36号)及び医療法施行規則の一部を改正する省令(平成20年厚生労働省令第13号)により、広告可能な診療科名が改正されたところである。平成20年3月31日付けで「広告可能な診療科名の改正について(医政発第0331042号医政局長通知)」が発出されたこと及びその他関係法令が改正されたことを踏まえ、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)(平成19年3月30日医政発第0330014号医政局長通知)」について、別添のとおり改めることとしたので通知する。
貴職におかれては、管下保健所設置市、特別区、関係団体等に対し、改めて今回通知する医療広告ガイドラインの周知をお願いする。
(別添)
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)
第1 広告規制の趣旨
1 医療法の一部改正の趣旨
医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告(以下「医療に関する広告」という。)については、患者等の利用者保護の観点から医療法(昭和23年法律第205号。以下「法」という。)その他の規定により制限されてきたところであるが、今般、社会保障審議会医療部会における意見等を踏まえ、患者やその家族あるいは住民自身が自分の病状等に合った適切な医療機関を選択することが可能となるように、患者等に対して必要な情報が正確に提供され、その選択を支援する観点から、従来の法や告示のように一つ一つの事項を個別に列記するのでなく一定の性質を持った項目群ごとにまとめて、「○○に関する事項」と規定するいわゆる「包括規定方式」を導入することにより、広告可能な内容を相当程度拡大することとしたものである。
また、広告規制違反について、行政機関による報告徴収、立入検査及び広告の中止等の改善措置を命ずる規定(法第6条の8)を新設するとともに、命令に従わない場合に罰則を適用する制度(法第73条第3号)、すなわち間接罰の適用に移行(ただし、虚偽広告については、引き続き、直ちに罰則を適用できる制度(法第73条第1号)、すなわち直接罰の適用を維持)とするものである。
2 基本的な考え方
医療に関する広告は、患者等の利用者保護の観点から、次のような考え方に基づき法又は旧告示により、限定的に認められた事項以外は、原則として広告が禁止されてきたところである。
① 医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
② 医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
今回の広告規制の見直しに当たっては、こうした基本的な考え方は引き続き堅持しつつも、患者等に正確な情報が提供されその選択を支援する観点から、客観性・正確性を確保し得る事項については、広告事項としてできる限り幅広く認めることとしたものである。
(1) 広告を行う者の責務
医療に関する広告を行う者は、その責務として、患者や地域住民等が広告内容を適切に理解し、治療等の選択に資するよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならないものである。
さらに、広告は患者の受診等を誘引するという目的を有するものの、患者や地域住民等の利用者へ向けた客観的で正確な情報伝達の手段として広告を実施するべきであり、また、医療機関等が自らの意思により行う必要がある。
(2) 広告可能な事項の基本的な考え方
法又は「医業、歯科医業若しくは助産師の業務又は病院、診療所若しくは助産所に関して広告することができる事項」(平成19年厚生労働省告示第108号。以下「広告告示」という。)により、医療に関する広告として広告可能な事項は、患者の治療選択等に資する情報であることを前提とし、医療の内容等については、客観的な評価が可能であり、かつ事後の検証が可能な事項に限られるものである。
(3) 禁止される広告の基本的な考え方
広告可能な事項を「包括規定方式」で規定することにより、広告可能な内容は相当程度拡大されているが、引き続きいわゆる「ポジティブリスト方式」であることに変わりはなく、法第6条の5第1項の規定により、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告をしてはならないこととされている。
また、法第6条の5第3項の規定により、内容が虚偽にわたる広告は、患者等に著しく事実に相違する情報を与えること等により、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、罰則付きで禁じられている。虚偽広告と同様の考えから、法第6条の5第4項の規定により、広告の方法及び内容に関する基準が定められることとされており、具体的には医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「省令」という。)第1条の9により、次の広告は禁止されている。
(i) 比較広告
(ii) 誇大広告
(iii) 広告を行う者が客観的事実であることを証明できない内容の広告
(iv) 公序良俗に反する内容の広告
さらに、薬事法(昭和35年法律第145号)等の他法令やそれら法令に関連する広告の指針に抵触する内容について広告しないことは当然のことであり、それらの他法令等による広告規制の趣旨に反する広告についても、行わないこととする。
おって、品位を損ねる内容の広告等、医療に関する広告としてふさわしくないものについても、厳に慎むべきものである。
3 他の法律における規制との関係
医療に関する広告の規制については、法に基づく規定の他に、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景表法」という。)、薬事法等があり、これら他法令に違反する広告は、当該他法令に基づく指導・処分等の対象となり得るものである。
今般導入した法第6条の5等の規定に違反し、又は違反が疑われる広告は、これら広告等を規制する他法の規定に違反し、又は違反している可能性があり得るものである。このため、法の運用に当たっては、関係法令の内容を十分に理解し、法を主管する課室(以下「法主管課室」という。)を中心に、景表法主管課室等の関係法令を所管する課室も含め、収集した情報の交換等により、密接に連携・協力し、指導等の実効を挙げるように努められたい。
なお、法主管課室が行う苦情相談や指導等の手順その他の実務的な内容については、本指針第5を参照されたい。
第2 広告規制の対象範囲
1 広告の定義
法第2章第2節「医業、歯科医業又は助産師の業務等の広告」の規定による規制の対象となる医療に関する広告の該当性については、次の①~③のいずれの要件も満たす場合に、広告に該当するものと判断されたい。
① 患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
② 医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名若しくは名称又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
③ 一般人が認知できる状態にあること(認知性)
なお、①でいう「誘因性」は、広告に該当するか否かを判断する情報物の客体の利益を期待して誘因しているか否かにより判断することとし、例えば患者による体験手記や新聞記事等は、特定の病院等を推薦している内容であったとしても、①でいう「誘因性」の要件を満たさないものとして取り扱うこと。
また、②でいう「特定性」については、複数の提供者又は医療機関を対象としている場合も該当するものであること。
2 実質的に広告と判断されるもの
広告規制の対象となることを避ける意図をもって外形的に上記1の①~③に該当することを回避するための表現を行う者があることが予想される。しかしながら、例えば、
ア 「これは広告ではありません。」、「これは、取材に基づく記事であり、患者を誘引するものではありません。」との記述があるが、病院名等が記載されている
イ 「医療法の広告規制のため、具体的な病院名は記載できません。」といった表示をしているが、住所や電話番号等から病院等が特定可能である
ウ 治療法等を紹介する書籍や冊子等の形態をとっているが、特定(複数の場合も含む。)の病院等の名称が記載されていたり、電話番号やホームページアドレスが記載されていることで、一般人が容易に特定の病院等を認知できる
等のような場合には、実質的に上記1に掲げた①~③の要件を全て満たす場合には、広告に該当するものとして取り扱うことが適当である。
また、新しい治療法等に関する書籍等に「当該治療法に関するお問い合わせは、○○研究会へ」等と掲載されている場合のように、上記ウの事例と類似しているが、当該書籍等では直接には、病院等が特定されない場合であって、「当該書籍は純然たる出版物であって広告ではない。」等として、広告の規制の対象となることを回避しようとする場合もある。この場合であっても、連絡先が記載されている「○○研究会」や出版社に問い合わせると特定の医療機関(複数の場合も含む。)をあっせん等していることが認められる場合であって、当該医療機関が別の個人や出版社等の団体を介在させることにより、広告規制の対象となることを回避しようとしていると認められる場合には、これらは、いわゆるタイアップ本やバイブル本と呼ばれる書籍や記事風広告と呼ばれるものとして、実質的には、上記1の①~③に示した要件を満たし、広告として取り扱うことが適当な場合があるので十分な留意が必要である。
3 暗示的又は間接的な表現の扱い
医療に関する広告については、直接的に表現しているものだけではなく、当該情報物を全体でみた場合に、暗示的や間接的に医療に関する広告であると一般人が認識し得るものも含まれる。このため、例えば、次のようものは、医療に関する広告に該当するので、広告可能とされていない事項や虚偽・誇大広告等に該当する場合には、認められないものである。
ア 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
(例)
① アンチエイジングクリニック又は(単に)アンチエイジング
アンチエイジングは診療科名として認められておらず、また、公的医療保険の対象や薬事法上の承認を得た医薬品等による診療の内容ではなく、広告としては認められない。
② 最高の医療の提供を約束!
「最高」は最上級の比較表現であり、認められない。また、「最高の医療の提供」は客観的な事実であると証明できない事項でもある。
イ 写真、イラスト、絵文字によるもの
(例)
① 病院の建物の写真
当該病院の写真であれば、広告可能である(法第6条の5第1項第6号)が、他の病院の写真は認められない。
② 病人が回復して元気になる姿のイラスト
効果に関する事項は広告可能な事項ではなく、また、回復を保障すると誤認を与えるおそれがあり、誇大広告に該当するので、認められない。
ウ 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、体験談などを引用又は掲載することによるもの
(例)
① 新聞が特集した治療法の記事を引用するもの
法第6条の5第1項第11号で認められた「治療の内容」の範囲であり、改善率等の広告が認められていない事項が含まれていない場合には、引用可能である。
② 雑誌や新聞で紹介された旨の記載
自らの医療機関や勤務する医師等が新聞や雑誌等で紹介された旨は、広告可能な事項ではないので、広告は認められない。
③ 専門家の談話を引用するもの
専門家の談話は、その内容が保障されたものと著しい誤認を患者等に与えるおそれがあるものであり、広告可能な事項ではない。また、薬事法上の未承認医薬品を使用した治療の内容も、広告可能な事項ではなく、広告は認められない。
エ 病院等のホームページのURLやEメールアドレス等によるもの
(例)
① www.gannkieru.ne.jp
ガン消える(gannkieru)とあり、癌が治癒することを暗示している。治療の効果に関することは、広告可能な事項ではなく、また、治療を保障している誇大広告にも該当し得るものであり、認められない。
② nolhospi@xxx.or.jp
「nolhospi」の文字は、「No.1 Hospital」を連想させ、日本一の病院である旨を暗示している。「日本一」等は、比較広告に該当するものであり、認められない。
4 医療に関する広告規制の対象者
(1) 医療に関する広告規制の対象者
法第6条の5第1項において「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。」とあるように、医師若しくは歯科医師又は病院等の医療機関だけではなく、マスコミ、広告代理店、患者又は一般人等、何人も広告規制の対象とされるものである。
また、日本国内向けの広告であれば、外国人や海外の事業者等による広告(海外から発送されるダイレクトメールやEメール等)も規制の対象である。
(2) 広告媒体との関係
広告依頼者から依頼を受けて、広告を企画・制作する広告代理店や広告を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者は、依頼を受けて広告依頼者の責任により作成又は作成された広告を掲載、放送等するにあたっては、当該広告の内容が虚偽誇大なもの等、法や本指針に違反する内容となっていないか十分留意する必要があり、違反等があった場合には、広告依頼者とともに法や本指針による指導等の対象となり得るものである。
5 広告に該当する媒体の具体例
本指針第2の1において、広告の定義を示しているところであるが、広告の規制対象となる媒体の具体例としては、例えば、次に掲げるものが挙げられる。
ア チラシ、パンフレットその他これらに類似する物によるもの(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
イ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物によるもの
ウ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光によるもの
エ 情報処理の用に供する機器によるもの(Eメール、インターネット上のバナー広告等)
オ 不特定多数の者への説明会、相談会、キャッチセールス等において使用するスライド、ビデオ又は口頭で行われる演述によるもの
6 通常、医療に関する広告とは見なされないものの具体例
(1) 学術論文、学術発表等
学会や専門誌等で発表される学術論文、ポスター、講演等は、社会通念上、広告と見なされることはない。これらは、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、①の「誘因性」を有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものである。
ただし、学術論文等を装いつつ、不特定多数にダイレクトメールで送る等により、実際には特定の医療機関(複数の場合を含む。)に対する患者の受診等を増やすことを目的としていると認められる場合には、①の「誘因性」を有すると判断し、①~③の全ての要件を満たす場合には、広告として扱うことが適当である。
(2) 新聞や雑誌等での記事
新聞や雑誌等での記事は、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、①の「誘因性」を通常は有さないため、本指針上も原則として、広告に該当しないものであるが、費用を負担して記事の掲載を依頼することにより、患者等を誘因するいわゆる記事風広告は、広告規制の対象となるものである。
(3) 体験談、手記等
自らや家族等からの伝聞により、実際の体験に基づいて、例えば、A病院を推薦する手記を個人Xが作成し、出版物やしおり等により公表した場合や口頭で評判を広める場合には、一見すると本指針第2の1に掲げた①~③の要件を満たすが、この場合には、個人XがA病院を推薦したにすぎず、①の「誘因性」の要件を満たさないため広告とは見なさない。
ただし、A病院からの依頼に基づく手記であったり、A病院から金銭等の謝礼を受けている又はその約束がある場合には、①の「誘因性」を有するものとして扱うことが適当である。また、個人XがA病院の経営に関与する者の家族等である場合にも、病院の利益のためと認められる場合には、①の「誘因性」を有するものとして、扱うものであること。
(4) 院内掲示、院内で配布するパンフレット等
院内掲示、院内で配布するパンフレット等はその情報の受け手が、現に受診している患者等に限定されるため、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、③「一般人が認知できる状態にあること」(認知性)を満たすものではなく、情報提供や広報と解される。ただし、希望していない者にダイレクトメールで郵送されるパンフレット等については、③の一般人への認知性に関する要件を満たすものとして取り扱うものであること。
(5) 患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメール
患者等からの申し出に応じて送付するパンフレットやEメールは、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、③の「認知性」を満たすものではなく、医療機関に関する情報や当該医療機関での治療法等に関する情報を入手しようとする特定の者に向けた情報提供や広報と解されるため、広告とは見なされない。
病院等のメールマガジンも、その病院等から送られてくることを希望した患者等へ送信される場合には、広告とは見なされないが、病院等とは直接関係がないメールマガジンは、当該メールマガジンの配信希望者や会員に限定されるとしても、当該病院等とは関係のない一般人向けとなるので、③の一般人への認知性に関する要件を満たすものとして扱うことが適当である。
(6) 医療機関の職員募集に関する広告
医療機関に従事する職員の採用を目的としたいわゆる求人広告は、通常、医療機関の名称や連絡先等が記載されているが、当該医療機関への受診を誘引するものではないことから、本指針第2の1に掲げた①~③の要件のうち、①の「誘因性」を有するものではない。そのため、本指針の対象となる医療に関する広告ではない。
(7) インターネット上のホームページ
インターネット上の病院等のホームページは、当該病院等の情報を得ようとの目的を有する者が、URLを入力したり、検索サイトで検索した上で、閲覧するものであり、従来より情報提供や広報として扱ってきており、引き続き、原則として広告とは見なさないこととする。
また、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にした場合などでは、バナーに表示される内容や検索結果として画面上に表示される内容等については、実質的に本指針第2の1に掲げた①~③のいずれの要件も満たす場合には、広告として取り扱うこと。
第3 広告可能な事項について
1 医療に関する広告として広告可能な範囲
法第6条の5第1項の規定により、法又は広告告示により広告が可能とされた事項以外は、文書その他いかなる方法によるを問わず、何人も広告をしてはならないこととされているが、今回の広告規制の見直しにより、患者等に正確な情報が提供されその選択を支援する観点から、客観性・正確性を確保し得る事項については、広告事項としてできる限り幅広く認めることとしたものである。
2 従来より広告可能とされてきた事項との関係
従来より広告可能と認められていた事項については、今回の広告規制の改正後においても、引き続き、法第6条の5第1項各号又は広告告示の相当の規定に基づき、広告は可能である。
3 医療機能情報提供制度との関係
法第6条の3による医療機能情報提供制度の対象となる事項については、専門外来を除いて医療に関する広告としても、原則として広告可能な事項である。ただし、都道府県が独自に報告を求める事項については、法又は広告告示で広告可能な事項として定められていない場合には、広告できない。
4 広告可能な事項の表現方法について
(1) 広告の手段
法又は広告告示により広告が可能とされた事項については、文字だけではなく、写真、イラスト、映像、音声等による表現も可能である。
(2) 広告可能な事項の記載の仕方
広告可能な治療の方法等について、これまでは、広告表現に係る客観性を担保するという観点から、治療の方法についてであれば、診療報酬点数表又はその解釈通知に記載されている語句をそのまま使用することとされていた。しかしながら、今般の広告規制の見直しでは、正確な情報が提供され、患者やその家族あるいは住民自身によるその選択を支援する観点から、規制を相当程度緩和することとしているので、患者等の情報の受け手側の理解が可能となるように分かりやすい表現を使用したり、その説明を加えることは、むしろ望ましいことであり、認めることとする。
例えば「人工透析」については、これまで診療報酬点数表等にある「人工腎臓」や「血液透析」等との表現のみ認められていたが、一般に用いられている「人工透析」の表現も広告可能なものとすること。
(3) 略号や記号の使用
広告可能な事項について、社会一般で用いられていたり、広告の対象となる地域において、正確な情報伝達が可能である場合には、略号や記号を使用することは差し支えないものとすること。
(例)
・社団法人→(社)
・電話番号03―0000―0000→ 画像1 (1KB)
03―0000―0000
・地域で定着していると認められる病院等の略称(大学病院、中央病院等)
また、当該記号やマークが示す内容を文字等により併せて標記することで、正確な情報伝達が可能である場合にあっては、記号やマークを用いても差し支えない。
5 広告可能な事項の具体的な内容
(1) 法第6条の5第1項第1号関係
「医師又は歯科医師である旨」については、医師法(昭和23年法律第201号)第2条に規定する免許又は歯科医師法(昭和23年法律第202号)第2号に規定する免許を有する医師又は歯科医師である旨を医業又は歯科医業に関する広告に記載できるものであること。
我が国での医師又は歯科医師の免許を有さない場合には、医師又は歯科医師である旨を広告できないこと。
また、外国における医師又は歯科医師である旨の広告はできないものであること。
なお、同項第7号にあるように、病院又は診療所に従事する薬剤師、看護師その他の医療従事者に関する氏名等は、広告可能な事項であり、本号の規定が、病院又は診療所に従事する者が薬剤師、看護師その他の医療従事者である旨の広告を妨げるものではないことに留意すること。
(2) 法第6条の5第1項第2号関係
「診療科名」については、法第6条の6第1項の規定にあるように、医療法施行令(昭和23年政令第326号。以下「政令」という。)第3条の2で定められたものであること。