2005.03 ごまめ 春号 33号
「歯科技工管理学」の提唱
岩澤 毅(秋田市)
2004年日本歯科技工学会第26回学術大会(新潟市)における、東京都技所属の
加藤雅司・中込敏男両氏の発表「歯科技工経済を根本改善へと導く原因解明と具体
策」は、歯科技工士の新潮流の胎動を日本歯科技工学会史に確実に印した。
ややもすると歯科技工学と歯科技工士の思考を、歯科技工技術の研鑚と腕の
「上手下手」の狭く閉じられた世界に封印しようとする潮流とそれを良しとする潮流
が存在する中、両氏の講演は、患者・歯科技工士・歯科医師三者の見えざる関係に、
経済学の知見を応用し、原理的に存在する利害の交錯と緊張関係の構造の解明を試
み、展望をも提示した。
過去、産業技術の発展の果実を歯科領域に吸収応用し、歯科医学の成果を歯
科技工に反映させるため先人の多大な貢献を多としながらも、それと共に解明すべき
課題である「歯科技工とは」「社会と歯科技工」「歯科技工経済」等々、既存の用語
を用いれば「歯科技工管理学」とも表記すべき研究分野への取り組みが一部に過ぎ
ず、個々の孤立した研究となり組織的取り組みとならず、厚みを持ち得なかった。
その解明すべき研究分野を「歯科技工管理学」と命名し対象化することによ
り、諸学の研究手法と諸学の研究者の英知を取り込み、評価方法を学び、歯科技工を
知る者が得心できる「歯科技工管理学」を確立しなければならないと考える。
前記学会において、日本の歯科技工士の英語表記が、Registered Dental
Technologist (RDT)に正式決定した。これもまた、新潮流の胎動の一環を予感させ
る。
「そして、あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハ
ネによる福音書 第8章32節)
2004.11.21記
参考サイト
日本歯科医療管理学会
http://www.jsdpa.gr.jp/
http://www.jsdpa.gr.jp/kaisoku/kaisoku1.htm
資料1
日本歯科医療管理学会会則
第1章総則
(目的)第3条 本会は、歯科医療に関連した近代諸科学を広く導入研究する
ことによって、医療の内容の向上と経営の合理化を図ることを目的とする。
資料2
Web秋歯技
http://www8.ocn.ne.jp/~akisigi/
http://www8.ocn.ne.jp/~akisigi/44-04.jpg
社団法人秋田県歯科技工士会広報『秋歯技』44号 (2003.08.12発行)
歯科技工学の確立のために
中央支部 岩澤 毅
4年前,日技の会員全員が日本歯科技工学会の会員となり、私たち秋歯技会
員も全て学会の会員となった。
昨年、日本歯科技工学会会長に就任した阪秀樹先生(埼玉歯科技専校長・理
事長、歯科医師)は、『新聞クイント』80号(02/8/10クインテッセンス社発行)紙
上で歯科技工学について「補綴学の中では,重要でありながらも深く細かくは踏み込
めていない歯科技工。それを細かく分析し,一つひとつの作業動作を確立すること
で、歯科技工学が確立されていく。技工学会の目的は,臨床技工の疑問点を解決する
歯科技工学を確立することである」「高度化し細分化された現在の歯科技工におい
て、工程管理は歯科技工士の方が経験・知識も豊富であることからも、歯科技工学は
歯科技工士の手で確立すべきである」と述べられている。
私たちが現在、必要としている歯科技工学の全体像は、単なる「補綴学の中
では,重要でありながらも深く細かくは踏み込めていない歯科技工」あるいは「工程
管理」に留まるとは思えない。顎顔面補綴にかかわる技工を、歯科補綴学の中に閉じ
込めることは出来ないであろうし、矯正歯科技工学が、歯科補綴学の中に位置付けら
れるとも思えない。
我々歯科技工士が、社会にその存在を主張する場合の基礎となるのは、昨今
話題の「海外輸入入れ歯」問題、あるいは古くて新しい「健康保険制度と歯科技工」
等々、医事法・歯科医事法分野の課題であり、歯科技工所の管理運営における労務・
税制等まで含めた大きな枠では、「歯科技工管理学」とも捉える事が出来る。
学会会長の「補綴学の一部」「工程管理」との歯科技工学の定義は、再定義
を必要とすると思われる。
(引用者中略)
2003.5.6記
資料3
新聞クイント080号(2002年08月10日発行)
http://www.quint-j.co.jp/cgi-bin/paper.cgi?file=080
http://www.quint-j.co.jp/cgi-bin/paper.cgi?file=080&no=18
かお 顔
日本歯科技工学会会長 阪 秀樹 氏
「補綴学の中では,重要でありながらも深く細かくは踏み込めていない歯科技
工.それを細かく分析し,一つひとつの作業動作を確立することで,歯科技工学が確
立されていく.技工学会の目的は,臨床技工の疑問点を解決する歯科技工学を確立す
ることである」
本年4月に日本歯科技工学会会長に就任した阪秀樹会長は言う.
高度化し細分化された現在の歯科技工において,工程管理は歯科技工士の方
が経験・知識も豊富であることからも,歯科技工学は歯科技工士の手で確立すべきで
ある.そのためにも,日本歯科技工学会(以下,技工学会)学術大会での発表や機関
誌への投稿活性化を目標に掲げ,会員が喜んで研究に興味を持つような学会運営をし
ていきたいと氏は言う.具体的には,機関誌への掲載論文の投稿規定をわかりやすく
して配布している.
(引用者中略)
■阪秀樹:昭和23年6月21日生.54歳.日本歯科大学卒.52年に埼玉歯科
技工士専門学校を開校,現校長・理事長.全国歯科技工士教育協議会副会長,日本私
立歯科技工学校協会副会長,日本歯科色彩学会学術理事等に就く.
資料4
http://www.nichigi.or.jp/
日本歯科技工士会
歯科技工士生涯研修規定施行細則
別表-1 基本研修課程の教科と単位数
教科課程 教科科目
(教科課程)教養
(教科科目)医療倫理 職業倫理 医事法規 環境衛生 経営管理 労務管理
情報管理 教養科学
(教科課程)専門
(教科科目)歯冠修復技工学 インプラント補綴技工学 有床義歯技工学 顎
顔面補綴技工学 矯正・小児技工学 歯科理工学 歯科技工に関する情報技術
「歯科技工管理学」の提唱
岩澤 毅(秋田市)
2004年日本歯科技工学会第26回学術大会(新潟市)における、東京都技所属の
加藤雅司・中込敏男両氏の発表「歯科技工経済を根本改善へと導く原因解明と具体
策」は、歯科技工士の新潮流の胎動を日本歯科技工学会史に確実に印した。
ややもすると歯科技工学と歯科技工士の思考を、歯科技工技術の研鑚と腕の
「上手下手」の狭く閉じられた世界に封印しようとする潮流とそれを良しとする潮流
が存在する中、両氏の講演は、患者・歯科技工士・歯科医師三者の見えざる関係に、
経済学の知見を応用し、原理的に存在する利害の交錯と緊張関係の構造の解明を試
み、展望をも提示した。
過去、産業技術の発展の果実を歯科領域に吸収応用し、歯科医学の成果を歯
科技工に反映させるため先人の多大な貢献を多としながらも、それと共に解明すべき
課題である「歯科技工とは」「社会と歯科技工」「歯科技工経済」等々、既存の用語
を用いれば「歯科技工管理学」とも表記すべき研究分野への取り組みが一部に過ぎ
ず、個々の孤立した研究となり組織的取り組みとならず、厚みを持ち得なかった。
その解明すべき研究分野を「歯科技工管理学」と命名し対象化することによ
り、諸学の研究手法と諸学の研究者の英知を取り込み、評価方法を学び、歯科技工を
知る者が得心できる「歯科技工管理学」を確立しなければならないと考える。
前記学会において、日本の歯科技工士の英語表記が、Registered Dental
Technologist (RDT)に正式決定した。これもまた、新潮流の胎動の一環を予感させ
る。
「そして、あなたたちは真理を知り、真理はあなたたちを自由にする」(ヨハ
ネによる福音書 第8章32節)
2004.11.21記
参考サイト
日本歯科医療管理学会
http://www.jsdpa.gr.jp/
http://www.jsdpa.gr.jp/kaisoku/kaisoku1.htm
資料1
日本歯科医療管理学会会則
第1章総則
(目的)第3条 本会は、歯科医療に関連した近代諸科学を広く導入研究する
ことによって、医療の内容の向上と経営の合理化を図ることを目的とする。
資料2
Web秋歯技
http://www8.ocn.ne.jp/~akisigi/
http://www8.ocn.ne.jp/~akisigi/44-04.jpg
社団法人秋田県歯科技工士会広報『秋歯技』44号 (2003.08.12発行)
歯科技工学の確立のために
中央支部 岩澤 毅
4年前,日技の会員全員が日本歯科技工学会の会員となり、私たち秋歯技会
員も全て学会の会員となった。
昨年、日本歯科技工学会会長に就任した阪秀樹先生(埼玉歯科技専校長・理
事長、歯科医師)は、『新聞クイント』80号(02/8/10クインテッセンス社発行)紙
上で歯科技工学について「補綴学の中では,重要でありながらも深く細かくは踏み込
めていない歯科技工。それを細かく分析し,一つひとつの作業動作を確立すること
で、歯科技工学が確立されていく。技工学会の目的は,臨床技工の疑問点を解決する
歯科技工学を確立することである」「高度化し細分化された現在の歯科技工におい
て、工程管理は歯科技工士の方が経験・知識も豊富であることからも、歯科技工学は
歯科技工士の手で確立すべきである」と述べられている。
私たちが現在、必要としている歯科技工学の全体像は、単なる「補綴学の中
では,重要でありながらも深く細かくは踏み込めていない歯科技工」あるいは「工程
管理」に留まるとは思えない。顎顔面補綴にかかわる技工を、歯科補綴学の中に閉じ
込めることは出来ないであろうし、矯正歯科技工学が、歯科補綴学の中に位置付けら
れるとも思えない。
我々歯科技工士が、社会にその存在を主張する場合の基礎となるのは、昨今
話題の「海外輸入入れ歯」問題、あるいは古くて新しい「健康保険制度と歯科技工」
等々、医事法・歯科医事法分野の課題であり、歯科技工所の管理運営における労務・
税制等まで含めた大きな枠では、「歯科技工管理学」とも捉える事が出来る。
学会会長の「補綴学の一部」「工程管理」との歯科技工学の定義は、再定義
を必要とすると思われる。
(引用者中略)
2003.5.6記
資料3
新聞クイント080号(2002年08月10日発行)
http://www.quint-j.co.jp/cgi-bin/paper.cgi?file=080
http://www.quint-j.co.jp/cgi-bin/paper.cgi?file=080&no=18
かお 顔
日本歯科技工学会会長 阪 秀樹 氏
「補綴学の中では,重要でありながらも深く細かくは踏み込めていない歯科技
工.それを細かく分析し,一つひとつの作業動作を確立することで,歯科技工学が確
立されていく.技工学会の目的は,臨床技工の疑問点を解決する歯科技工学を確立す
ることである」
本年4月に日本歯科技工学会会長に就任した阪秀樹会長は言う.
高度化し細分化された現在の歯科技工において,工程管理は歯科技工士の方
が経験・知識も豊富であることからも,歯科技工学は歯科技工士の手で確立すべきで
ある.そのためにも,日本歯科技工学会(以下,技工学会)学術大会での発表や機関
誌への投稿活性化を目標に掲げ,会員が喜んで研究に興味を持つような学会運営をし
ていきたいと氏は言う.具体的には,機関誌への掲載論文の投稿規定をわかりやすく
して配布している.
(引用者中略)
■阪秀樹:昭和23年6月21日生.54歳.日本歯科大学卒.52年に埼玉歯科
技工士専門学校を開校,現校長・理事長.全国歯科技工士教育協議会副会長,日本私
立歯科技工学校協会副会長,日本歯科色彩学会学術理事等に就く.
資料4
http://www.nichigi.or.jp/
日本歯科技工士会
歯科技工士生涯研修規定施行細則
別表-1 基本研修課程の教科と単位数
教科課程 教科科目
(教科課程)教養
(教科科目)医療倫理 職業倫理 医事法規 環境衛生 経営管理 労務管理
情報管理 教養科学
(教科課程)専門
(教科科目)歯冠修復技工学 インプラント補綴技工学 有床義歯技工学 顎
顔面補綴技工学 矯正・小児技工学 歯科理工学 歯科技工に関する情報技術