歯科技工 42巻11号
特別解説 歯科技工士国家試験の全国統一化への道程と今後の展開
時見高志
はじめに
2014年(平成26年)1月24日より開かれた第186回通常国会において、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保推進法)が、内閣提出法案として国会に提案された。これは医療法、介護保険法に加え、「歯科技工士法」「保健師助産師看護師法」などの19本の法律の一部改正案などにより構成されているものであり、歯科技工士法においては歯科技工士国家試験の実施主体が、都道府県から厚生労働省(指定試験機関)へと移行することが主な変更内容である。
法案は4月15日に衆議院を通過、6月18日には参議院本会議で可決、成立した。改正歯科技工士法の施行は2015年(平成27年)4月1日となり、平成27年度の歯科技工士試験、すなわち2016年(平成28年)春に実施される歯科技工士国家試験から適用される。
1982年(昭和57年)に歯科技工士法の一部が改正され、都道府県知事免許から厚生大臣免許に移行したものの、“当分の間”としながら長く都道府県知事が行ってきた歯科技工士試験が、ようやく国家資格に相応しい全国統一試験が実施されることとなった。本稿では今回の改正に至る歴史的な側面や具体的な改正内容と意義を踏まえ、今後の業界展望などを考察したい。
歯科技工士制度の歴史的変遷
1.歯科技工士法の制定
2.知事免許から大臣免許へ(第一次改正)
3「歯科技工士法」への名称変更と大学化への道(第二次改正)
主な改正のポイント
1.「指定登録機関」と「指定試験機関」
2.「歯科技工士試験委員」による問題作成と採点
国家試験統一化に伴う検討課題
1.歯科技工士教育について
2.国家試験について
3.検討会にて示された今後の課題
政界への働きかけの意義
おわりに