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PRESIDENT 2017年1.2号
患者だけが知らない
特集/医者の診断のウラ側―― 一家に一冊、保存版
コラム▼「矯正」「インプラント」を勧める歯医者のウラ事情●岩澤倫彦
PRESIDENT Online
2016年12月12日 09:00
http://blogos.com/article/201653/
なぜ街の歯医者は「矯正」「インプラント」を勧めるのか
ジャーナリスト 岩澤倫彦 撮影=岩澤倫彦
虫歯の治療に訪れた歯医者で、高額なインプラントや矯正を勧められることが少なくない。なぜなのか。業界の裏事情を明らかにする。
講習会に出れば「認定医」になれる
チタン製のボルト(人工歯根)を顎の骨に埋め込む、インプラント治療。強く噛めて、入れ歯のように取り外す手間もない。「ブリッジ治療(抜歯した後に人工の歯をはめ込む)だと周囲の歯を削るので、歯の寿命を短くしてしまう可能性がある」とインプラント治療を勧める歯科医も多く、インターネットで派手に宣伝を繰り広げている。
歯科医院が1カ月に得る保険の診療報酬は、平均約292万円(厚労省・第20回医療経済実態調査より算出)。保険対象外のインプラント治療は、1本あたり20万~50万円。売り上げの多いクリニックでは、1日で保険診療の1カ月分以上を稼ぎ出す。インプラント治療は極めて利益率が高いのだ。
それでも満足のいく治療を受けられればいいのだが、実際は経験の浅い歯科医を寄せ集めて手術を担当させ、コストダウンをしている施設もあると元関係者が証言する。歯科医であれば、誰でもインプラント治療を行うことが許されているからだ。
きちんとしたインプラント手術を受けられるクリニックは、どう見分けたらいいか。ホームページでインプラントの「専門医」「認定医」をアピールする歯科医は多い。だが、そこにはカラクリがある。インプラント関連の学会が、おのおのの基準で「専門医」「認定医」の称号を出しているのだ(表参照)。メーカーが実質的に運営しているコースでは、そこに参加するだけで認定証が与えられるので、「認定医」であってもインプラント初心者という冗談のような現実がある。
(続く)