提案 歯科補てつ物法「歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関する法律」
医療法の趣旨に準じた歯科補てつ物法の考え方
(第1稿)2008.08.22
(第2稿)2008.08.24
(第3稿)2008.08.25
(第4稿)2008.08.26
岩澤 毅(秋田市)
[説明]
歯科医療機関から外部委託される歯科技工に関し、経済問題等の他に最近では海外委託等の混乱が見られる。現在と将来予想される混乱に対し、医療法の業務委託の趣旨(第一条) 「業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与する」に準じた規定を設けることにより、歯科医療機関と歯科技工所の業務委託関係に法令の規定を設け明確化する必要があると考える。
第一選択として医療法改正により必要な文言を挿入する方法も考えられるが、医療法改正史を概観すれば歯科分野単独の改正の壁は厚いものと思われる(医療法は利害関係者が多数に渡り且つ複雑。医科・薬科・看護等の関係者の歯科に対する理解は低い)。立法技術上(既存の厚生労働省の窓口と審議会の存在)また国会情勢(桜井充議員の存在と参議院における民主党優位)等を考慮すると、医療法の趣旨に準じた特別法として「歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成の業務委託に関する法律」の成立を期すことが、現時点では最良の選択ではないかと考える。また、歯科技工指示書に関する片務的状態の解消等も同時に解決を目指すことが出来る。
歯科技工士法と(通称)歯科補てつ物法の関係は、重なり合う部分もあるが、これは相互にその存在を前提とし、医療法と臨床検査技師法・クリーニング業法・栄養士法・食品衛生法・臨床工学士法・ガス害事業法・道路運送事業法等々と同様の関係であり、矛盾するものでは無い。
政令・省令等への委託規定は、みんなの歯科ネットワークによる「契約機能付き技工指示書」構想、東京都歯科技工士会による品質管理構想等を具体化する際には、政令・省令・通知等の形で法を根拠とすることが出来るものと考える。
そのためには、構想者には自らの構想を法文化する努力が求められる。
本試案は、簡潔な幹と将来の枝葉がバランス良く成長し、歯科業界の長年の悪癖を除去する道具となることを願ったものである。
本稿を目にされた方々により、本試案の更なる進化と現実の立法化へとつながることを願う。何らかの提案等は、岩澤宛に送付頂ければ幸いである。
[資料編]
医療法(昭和二十三年七月三十日法律第二百五号)
第一条 この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
第十五条の二 病院、診療所又は助産所の管理者は、病院、診療所又は助産所の業務のうち、医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務又は患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の入院若しくは入所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは、当該病院、診療所又は助産所の業務の種類に応じ、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
○医療法施行規則(昭和二十三年十一月五日)
(厚生省令第五十号)
第九条の八 法第十五条の二の規定による人体から排出され又は採取された検体の微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査及び生化学的検査(以下この条において「検体検査」という。)の業務を病院又は診療所の施設で適正に行う能力のある者の基準は、次のとおりとする。
(中略)
[法案編]
歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関する法律(岩澤案)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関し必要な事項を定めること等により、良質な歯科補てつ物の質の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において、「歯科補てつ物」とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置等をいう。
2 この法律において、「歯科技工所」とは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第五章第二十一条から第二十七条に定めるものをいう。
(品質基準)
第三条 「歯科補てつ物」の品質基準は、良質な歯科補てつ物の確保を図るものでなければならない。
(業務委託)
第四条 病院、歯科診療所の管理者は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
(歯科技工指示書)
第五条 歯科医師は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第四章第十八条に定める歯科技工指示書を発行しなければならない。
(省令への委任)
第六条 「歯科補てつ物」の品質基準は、厚生労働省令で定める。
2005/12/09作成 2005/12/11修正2008/8/22修正
http://blog.goo.ne.jp/akisigi/e/97c7b9e0e533f085e857765beed06c93
[注]
岩澤試案は、2005年某歯科技工所経営者団体の某氏の依頼により作成したものである。
その後、京都で発行されていた歯科技工士の同人誌『ごまめ』に投稿し、36号(2006年9月発行)掲載された。現在、その原稿は、上記歯科技工管理学ブログ(http://blog.goo.ne.jp/akisigi)に掲載している。
※本資料の原型は、あるご縁で知遇を得た仙台市在住の歯科医師Y氏の手を経て、桜井参議院議員とその歯科ネットワーク幹事会に提出されたとの報告を得た。桜井議員が幹事会の席上において資料性を高めることを求められたとの報告を得た。
※「作成等」 = 特定患者の歯科医療のように供する「作成+修理+加工」全般を表現するために、「等」が挿入された。
医療法の趣旨に準じた歯科補てつ物法の考え方
(第1稿)2008.08.22
(第2稿)2008.08.24
(第3稿)2008.08.25
(第4稿)2008.08.26
岩澤 毅(秋田市)
[説明]
歯科医療機関から外部委託される歯科技工に関し、経済問題等の他に最近では海外委託等の混乱が見られる。現在と将来予想される混乱に対し、医療法の業務委託の趣旨(第一条) 「業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与する」に準じた規定を設けることにより、歯科医療機関と歯科技工所の業務委託関係に法令の規定を設け明確化する必要があると考える。
第一選択として医療法改正により必要な文言を挿入する方法も考えられるが、医療法改正史を概観すれば歯科分野単独の改正の壁は厚いものと思われる(医療法は利害関係者が多数に渡り且つ複雑。医科・薬科・看護等の関係者の歯科に対する理解は低い)。立法技術上(既存の厚生労働省の窓口と審議会の存在)また国会情勢(桜井充議員の存在と参議院における民主党優位)等を考慮すると、医療法の趣旨に準じた特別法として「歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成の業務委託に関する法律」の成立を期すことが、現時点では最良の選択ではないかと考える。また、歯科技工指示書に関する片務的状態の解消等も同時に解決を目指すことが出来る。
歯科技工士法と(通称)歯科補てつ物法の関係は、重なり合う部分もあるが、これは相互にその存在を前提とし、医療法と臨床検査技師法・クリーニング業法・栄養士法・食品衛生法・臨床工学士法・ガス害事業法・道路運送事業法等々と同様の関係であり、矛盾するものでは無い。
政令・省令等への委託規定は、みんなの歯科ネットワークによる「契約機能付き技工指示書」構想、東京都歯科技工士会による品質管理構想等を具体化する際には、政令・省令・通知等の形で法を根拠とすることが出来るものと考える。
そのためには、構想者には自らの構想を法文化する努力が求められる。
本試案は、簡潔な幹と将来の枝葉がバランス良く成長し、歯科業界の長年の悪癖を除去する道具となることを願ったものである。
本稿を目にされた方々により、本試案の更なる進化と現実の立法化へとつながることを願う。何らかの提案等は、岩澤宛に送付頂ければ幸いである。
[資料編]
医療法(昭和二十三年七月三十日法律第二百五号)
第一条 この法律は、医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
第十五条の二 病院、診療所又は助産所の管理者は、病院、診療所又は助産所の業務のうち、医師若しくは歯科医師の診療若しくは助産師の業務又は患者、妊婦、産婦若しくはじよく婦の入院若しくは入所に著しい影響を与えるものとして政令で定めるものを委託しようとするときは、当該病院、診療所又は助産所の業務の種類に応じ、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
○医療法施行規則(昭和二十三年十一月五日)
(厚生省令第五十号)
第九条の八 法第十五条の二の規定による人体から排出され又は採取された検体の微生物学的検査、血清学的検査、血液学的検査、病理学的検査、寄生虫学的検査及び生化学的検査(以下この条において「検体検査」という。)の業務を病院又は診療所の施設で適正に行う能力のある者の基準は、次のとおりとする。
(中略)
[法案編]
歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関する法律(岩澤案)
(この法律の目的)
第一条 この法律は、歯科補てつ物並びに歯科補てつ物等の作成等の業務委託に関し必要な事項を定めること等により、良質な歯科補てつ物の質の確保を図り、もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
(用語の定義)
第二条 この法律において、「歯科補てつ物」とは、特定人に対する歯科医療の用に供する補てつ物、充てん物又は矯正装置等をいう。
2 この法律において、「歯科技工所」とは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第五章第二十一条から第二十七条に定めるものをいう。
(品質基準)
第三条 「歯科補てつ物」の品質基準は、良質な歯科補てつ物の確保を図るものでなければならない。
(業務委託)
第四条 病院、歯科診療所の管理者は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、当該業務を適正に行う能力のある者として厚生労働省令で定める基準に適合するものに委託しなければならない。
(歯科技工指示書)
第五条 歯科医師は、歯科補てつ物等の作成等の業務を歯科技工所に委託しようとするときは、歯科技工士法(昭和三十年八月十六日法律百六十八号)第四章第十八条に定める歯科技工指示書を発行しなければならない。
(省令への委任)
第六条 「歯科補てつ物」の品質基準は、厚生労働省令で定める。
2005/12/09作成 2005/12/11修正2008/8/22修正
http://blog.goo.ne.jp/akisigi/e/97c7b9e0e533f085e857765beed06c93
[注]
岩澤試案は、2005年某歯科技工所経営者団体の某氏の依頼により作成したものである。
その後、京都で発行されていた歯科技工士の同人誌『ごまめ』に投稿し、36号(2006年9月発行)掲載された。現在、その原稿は、上記歯科技工管理学ブログ(http://blog.goo.ne.jp/akisigi)に掲載している。
※本資料の原型は、あるご縁で知遇を得た仙台市在住の歯科医師Y氏の手を経て、桜井参議院議員とその歯科ネットワーク幹事会に提出されたとの報告を得た。桜井議員が幹事会の席上において資料性を高めることを求められたとの報告を得た。
※「作成等」 = 特定患者の歯科医療のように供する「作成+修理+加工」全般を表現するために、「等」が挿入された。