郷土史研究家の故逸見英夫さんの著書「仙台はじめて物語」によると、1896(明治29)年10月16日に宮城野原陸軍練兵場(現宮城野原公園総合運動場周辺)で市内9小中学校の連合運動会があり、午前6時に花火が打ち上げられたと記述がある。
市歴史民俗資料館によると、市内ではこの4年前、旧陸軍第二師団が戦死者を慰霊して銃剣術などを競う招魂祭を行い、開始前に花火を打ち上げたことが分かっている。渡辺直登学芸員は「連合運動会はお祭りの要素が強いので、祭礼のために打ち上げた招魂祭の流れをくんだのではないか」と推察する。
1900年の小学校令改正で体操が必須科目になり、各校に運動場設置が義務付けられると、学校対抗戦だった連合運動会は学校単位で開かれる運動会に変わった。これにより、花火も各校で打ち上げられるようになったと思われる。
東北各県教委によると、花火を打ち上げる伝統は6県全県である。このため、そうした風習のない東京都心などから転居した住民が明け方の爆音に驚き、警察や消防に通報した事例もあったという。
宮城県南の小学校の元校長(65)は「今は花火どころか、休み時間の児童のはしゃぎ声さえ問題視される時代。運動会の朝の風習は、仙台市中心部のようにいずれはなくなるのだろう」と話す。 (桜田賢一
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