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タイルや石の滑り止め工法。ASL工法、ASL Grip工法を施工する施工店の集まりです。

梅雨です  滑り測定値 C.S.R値への過信は禁物

2021-05-26 08:00:17 | 日記

 最近、お問い合わせが増えているのが、

「滑りにくい床材を使ったのに滑る。メーカーから資料を取り寄せたけれど、滑りにくいという数値が出ている。」

これはどういうことか?という内容です。

 

 私たちも以前、悩んでいたことがあります。ASL工法という濡れたタイルや石を滑りにくくする施工を現場で行うのですが、

施工後に数値が下がってしまうことがあるのです。これに関して、ずいぶん前から結論は出ています。少しややこしい話ですが説明をします。

 

 床材(舗装面)の滑りを測定する方法はいくつかあり、BPN、COF、C.S.Rがメジャーです。

 その中でBPNは動摩擦です。時計の3時の位置にセットした時計の針の先にゴム片ついていて、カチンとロックを外すと勢いよく針が回転し、6時を過ぎ、8時くらいまで針が回って止まるとイメージしてください。6時の位置が床に接する位置です。針が7時まで進んだか、8時まで進んだかでどれだけ抵抗があったかを見ます。9時まで上がったら抵抗0です。

 

 COFは静摩擦で床の上に置いた測定器にチェーンがついていて指で引っ張り抵抗がどれだけあるかを見ます。測定器には、最大値が記録されます。

 

 C.S.R値はゴム片を床の上に置いたら機器のハンドルを回して、速やかに斜め上に引っ張り上げどれだけ抵抗があるかを見ます。測定器には最大値が記録されます。

 

 さて、BPNは接点が短く、COFおよびC.S.R値は接点が長いです。接点が長いほうがより実態を表すのではないかと思われるかもしれません。しかし、大きな落とし穴があります。それは、【最大値を記録する】という設計です。これが最大の問題です。

 

 やっと写真の説明に入ります。この写真は、裸足の際の滑りを測定するC.S.R’B(ダッシュはポータブル測定器で測定したということです)値を測定するには、波形を取らなければなりません。その後、計算をして値を求めます。ゴム片も違うものを使用します。

 

 波形で山、谷、山の順に出ています。さて、先ほど最大値を記録すると書きました。この場合は最初の山が最大値になり、通常C.S.R値を求める際にはこの山が採用されます。しかし、谷の数値は無視されます。

 

 では、一番わかりやすいケースを示します。【セラミックタイルが濡れると滑る】。常識ですね。では、体感ではどうなるでしょうか?

きゅーーーーっとあれ?滑らないなあ・・・と思っているとつるっ!と突然滑る。そうではありませんか?セラミックタイルの上に水玉が載っているときにそこを歩くとつるんと滑る。しかし、靴の裏が濡れていて床が濡れていないときゅっきゅ鳴りますが滑らない。そういうものですよね?

 

 なぜか?セラミックタイルの表面が親水性ではなく、撥水性だからです。全体にぴたーっと水の膜ができるのでなく、一部分にだけ生卵の黄身のように水玉が載っている状態です。これにより、全体がすべて滑るわけではないがピンポイントでつるんつるんに滑る。状態です。

 

 さて、やっと結論です。先ほど【最大値を記録する】設計に問題があると書きました。きゅきゅきゅきゅきゅつるんっきゅきゅきゅ という測定をした場合、きゅきゅきゅの数値を記録しています。すなわち【滑らない場所の数値】を記録しています。欲しいデータは【滑るピンポイントの数値】です。

 これが、測定データと体感の明らかな違いの根本原因です。そして、この測定方法が業界標準として採用されてしまったことが業界全体として少し残念です。C.S.R値はdryのデータは問題ないかと思います。しかし、wetのデータ。要は皆さんが測定を依頼したいとか、対処したいと言われる【濡れて滑る】シチュエーションの際に体感とは明らかな違いが出ることが多々あります。また、C.S.R・Bに関してはもっと体感や他の測定方法との違いが出ます。

 

 滑って転ぶの対策をする際に重要なのは、数値が上がることではなく、歩く人が滑らないことです。もう一度書きます。【数値よりも体感。そして持続性】。目的を見失わないように対策をお考え下さい。

 

OGPイメージ

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