寺岡は手短に説明した。
「なっ、なんですと。広島の原爆投下のボタンを押したのが韓国人? しかも原爆投下を依
頼したのが当の日本政府ですと!? そんなことがもし、オリンピックの開会式当日に暴露さ
れたら、とんでもないことになる」
金《きん》がそう叫んだとき、ドアが開き、グレーの背広のやせた目の丸い男があらわれ
た。
「東京地方検察庁の田所《たどころ》と申香港金银业贸易场します。寺岡|義徳《よしのり》を収賄《しゆう
わい》容疑で逮捕します」
「クッ!」
寺岡は、くやしそうに田所を睨みつけると、灰皿を窓に叩きつけた。
午前三時半。香港《ホンコン》。
チェは九竜《カオルン》塘の丘に建つ李正元の館に向け、バズーカ砲を一斉にぶっぱなし
た。
砦のはるか上を飛んだ砲弾は、冬虫夏草是什么一階の窓を吹き飛ばした。
チェはそこに向かってハンドマイクで、叫んだ。
「おう、こっちに来たいヤツはこい!!」
寝こみを襲われた李正元の部下たちが転げんばかりに駆けこんできた。チェは、ガハハと
笑い、
「おい、おまえら、ファイルを渡しやがれ!」
と叫んだ。
と、ドサッと音がして部下たちが次々と倒れていく。
「む?」
振り向いた。皆が殺されるまでに一分もかかっていない。
カン・マンスーは、わめきちらした。
「こんなヤツら何人wset三級殺したって同じなんだ。女はどこにいるんだ!」
この香港で、外国の女が一人でいておかしくないところはどこだ。
「うむ」
月あかりが、いらだつカン・マンスーのそげた頬を照らしだした。
カン・マンスーの足がピタリと止まった。
浜辺で釣をしていた男がいた。
「そうだ、あの九竜城にいるんだ」
門に向かって飛び出そうとすると、
「隊長、李閣下がお呼びです」
「クソーッ」
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